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目次
宗教改革に平民の怒り爆発。イングランド国王ヘンリー8世を描く歴史ドラマの第3章
第1シーズンのサム・ニール、第2シーズンのピーター・オトゥールに続く今シーズンの名優は、「エクソシスト」のメリン神父役が印象的なマックス・フォン・シドー。
1536年、ヘンリー8世はジェーン・シーモアと結婚し、皇帝や娘メアリーとの関係修復など、宮廷は落ち着きを取り戻したかに見えた。だが、クロムウェルが推し進める宗教革命に抗議するため、地方では平民たちが暴動を起こそうと決起していた…。
反乱の狼煙
外交官を退任すると思われたスペイン大使チャプイスは宮廷に戻ってきた。ヘンリーから離婚を迫られている王妃キャサリンを陰ながら支えるためだった。チャプイスはモアに、キャサリンの支援を依頼する皇帝からの手紙を渡そうとするが、ヘンリーとの信頼関係が崩れることを恐れるモアは手紙を受け取らなかった。ただしモアのローマ教会に対する信仰心は篤く、ヘンリーから聖職者の不正を指摘されても断固として教会を擁護し、異端の思想を批判するのだった 議会では司教たちが招集され、ヘンリーをイングランド国教会の最高権威とする法令についての会議が行われた。聖職者が王より故ウルジー枢機卿や法王を重んじていたことを罪だとして、ヘンリーは自分がローマ教会の干渉を受けないことを主張する。
恩寵の巡礼
議会には国王ヘンリーから、王権はローマ教会より優位であるとする法案が出されていた。議会ではフィッシャーが教会と聖職者は不可侵であると熱弁を振るい、またモアも味方になりそうな議員の取り込みに躍起になっていた。しかし、王側もクロムウェルがウォーラム司教に王の意に従うように暗に脅しをかけたり、ヘンリーも司教達を集めて、ローマ教会に服従するのか自分に服従するのかどちらだと迫るなど、締め付けを強めていた。クリスマスが来たが、キャサリンとその侍女達のいないクリスマスは火が消えたようだった。その席でブランドンはアンとワイアットの噂をヘンリーに告げ、アンとの結婚をやめるように進言しヘンリーの不興を買う。そしてそのことを知ったアンの言葉を入れて、ヘンリーはまたもブランドンを宮廷から追放してしまった。
国王の報復
ブランドンがアンに対して快く思っていないことで、ブランドンの従僕とブーリンの従僕が諍いを起こした。ブランドンの従僕ペニントンは教会の中へと逃げるが、勢い余ったブーリンの従僕に殺されてしまう。この事件についてブランドンはブーリンの責任だと告げ、ブーリン家に対する憎しみをさらに増す。アンはヘンリーの子を身ごもり、腹もせり出してきた。医者や占い師にも生まれてくるのは男だと太鼓判を押され、ヘンリーと共に世継ぎの誕生を心待ちにする。 ヘンリーはアンとの結婚を進めるべく、クランマーをカンタベリー大司教に任命した。ローマ法王パウルス3世はクランマーが異端のルター派であることを知りながらも、無名の聖職者であるクランマーを軽視し、叙任を認可する。ヘンリーはローマ法王に恩義を受けていることなど意に介せず、大司教となったクランマーにとうとう正式に教会から結婚無効を宣言させた。
失われた光
エリザベス王女の洗礼式も無事に済み、まだ男子の相続者がいないヘンリーは、アンとの間に生まれた子のみを王位継承者とするという法案を提出することにし、クロムウェルにその草稿を作らせた。出来上がった法案は、王権の教会に対する優越性も盛り込まれており、それを承認する宣誓を強制するものだった。エリザベスは母親と離され、屋敷と家臣を与えられてそこに住むことになった。そして王女の身分を剥奪されたキャサリンの娘のメアリーも、王に命じられ、エリザベスの侍女としてこの屋敷にやってくる。アンは2人目の子を妊娠した。だがそのためにアンはヘンリーの夜の相手ができない。アンに拒否されたヘンリーが侍女のエレノアを愛人にしていることを察したアンは気が気でなかった。そこで兄のジョージに頼んで、エレノアを宮廷から追い出してしまう。
改革の揺り戻し
教会に対する王権の優越性を認める、国王至上法への宣誓を拒み投獄されたトマス・モアとフィッシャーは、断固として誓いを立てることを拒否し続けていた。ヘンリーは、悪意を持ってこの法令を否定する者は反逆罪とする法をさらに定める。2人目の子を身ごもったアンは、子供のために細心の注意を払って生活していたが、突然の腹痛に見舞われ流産してしまう。浮気性のヘンリーのことをよく知るアンと父ブーリンは、ヘンリーの愛が自分たち一家から失われていくことを恐れはじめる。そんな折、アンのもとへ姉メアリーが訪ねてきた。メアリーはすでに妊娠しており、結婚した相手は地位も名誉もない兵士だという。王妃の姉にふさわしくない結婚をしたメアリーに対してアンとブーリンは憤慨し、メアリーを夫婦で宮廷から追放してしまう。
妃を求めて
ローマ法王がモアとフィッシャーの追悼の祈りを捧げている頃、イングランドでの宗教改革は着々と進んでいた。民衆の意識改革のために印刷機が導入され、芝居を利用することもクロムウェルによって提案された。 アンの兄ジョージが結婚し、マッジにも求婚相手が現れる。ジョージの結婚はしかし新郎側にとっては持参金目当、新婦側には政略結婚でしかない。アンはエリザベスの嫡出として正統性を疑問視する人々に対抗し、フランス王の息子との婚約をヘンリーに提案する。それを入れたヘンリーは、その縁談をフランソワに伝えるよう、フランス大使に命じた。クロムウェルが提案したプロパガンダのための芝居が国王夫妻の臨席の下、行われた。聖職者出身の改革家・劇作家のジョン・ベイルの作品である。その観劇の最中、ヘンリーはフランスからの特使の接待をブランドンに命じる。
愛なき婚姻
クロムウェルの指示により、イングランドにおけるすべての修道院が調査されその財産と内部の実情について目録が作成された。修道院が堕落しきり私腹を肥やしている一方で、王国は財政難に陥っているという報告を受け、ヘンリーはクロムウェルに促されるまま修道院の閉鎖を進める。メアリー王女の存在を内心恐れ、火あぶりにされる悪夢を見続けるアンは、どうしても自分の娘エリザベスをフランソワの息子に嫁がせたく、ヘンリーに懇願する。しかしアンへの愛情が冷めつつあるヘンリーは気乗りせず、逆にアンの差し出がましい態度を制するのだった。暗い表情が続いていたアンだったが、王妃らしく堂々とふるまえと兄ジョージに諭され、王宮でドンチャン騒ぎをはじめる。そこへヘンリーが現れ、二人は情熱あふれるダンスを踊る。まるで憎み合っているような激しい踊り…。ベッドでも過激な行為がエスカレートしていくのだった。
哀れなしもべ
数年来、オスマン・トルコの侵入に悩まされていた神聖ローマ帝国皇帝カールが、チュニスに遠征、トルコに勝利した。余裕のできた皇帝はイングランドにとっては脅威である。キャサリンが死んだ今、皇帝と手を結ぶことに障害はないと考えたヘンリーは、クロムウェルに命じて同盟の可能性をチャプイスと協議させた。チャプイスは本国と連絡を取り、皇帝も同盟には前向きであること、そしてアンとの結婚も認める意思があり、その上法王に破門宣告を思いとどまるようとりなしてもよいとまでクロムウェルに告げる。ただし、ヘンリーがメアリー王女を嫡子と認めることがその条件であった。しかし、それはアンという障害があるために、実現の難しい提案であった。ローマでは巡礼に来ていたフランソワ王が法王パウルス3世に謁見していた。法王はフランソワに、クレメンス7世に次いで彼もまたヘンリーを破門することを告げる。
反乱の狼煙
一五三六年、ヘンリー8世とジェーン・シーモアの結婚式が行われた。クロムウェルとその配下のリッチによる宗教改革も着々と進んでいた。この年、議会でも「小修道院解散法」が通過し、英国教会財産査定委員会の調査官達による小修道院の解体・財産没収は苛烈を極めていた。この解体で得た莫大な財産はすべて王室のものとなった。この功績により、クロムウェルは男爵に叙され、王爾尚書に任じられることになる。 修道院や教会があらゆる生活の中心であり、カトリックの信仰がいまだ根強い北部イングランドでは、国民の不満は頂点に達しており、リンカンシャーで勃発した農民達の反乱はヨークシャーにも飛び火しようとしていた。ヨークシャーの騎士コンスタブルは弁護士のアスクを説いて、その反乱のリーダーに据えようとする。 ヘンリーの元にはメアリーから和解を嘆願する手紙が来ていたが、彼は娘がローマ教会と決別することと、母キャサリンの結婚は違法であったことを認めない限り宮廷に戻す気はなかった。心やさしいジェーンは、チャプイスから頼まれたことでもあり、親子の仲を取り持とうとするが、ヘンリーは聞く耳を持たない。そして廷臣ブライアンを使者を立てて、誤りを認める同意書にサインをするようメアリーに迫る。メアリーはいったんは拒否するが、チャプイスに説得され、渋々サインをした。それを受けて、ようやく国王夫妻はメアリーの館に赴き、親子は対面を果たしたのだった。 夫を処刑されたレディ・ロッチフォード(ジェーン)は王妃に呼び出されて、アーシュラとともに侍女となる。王のお覚えめでたいブライアンは女に手を出すのが早いことでも知られていたが、さっそくこのアーシュラにも手を出していた。 そのころ大陸では、プランタジネット家の血を引くレジナルド・ポールが神父としてイタリアに留学していた。彼はヘンリー8世とは親しかったが、王のローマ教会離反以来、イングランドを離れていた。枢機卿のフォン・ヴァルトブルクは彼に近づき、イングランドでの反宗教改革をはたらきかける。 コンスタブルに反乱の隊長になるよう依頼されていたアスクは、最初は反乱という実力行使に反対だったが、ようやく隊長を引き受ける決心をつける。「恩寵の巡礼」と名付けられたこの反乱には続々と人が集まり、平民だけでなくジェントリー階級まで巻き込んで、次第に勢力を増していた。 反乱の知らせはロンドンにも届き、ヘンリーを烈火のごとく怒らせた。怒りは当然、クロムウェルにも向かった。王はブランドンを司令官に任じ、兵力と武器を約束して急ぎ鎮圧に向かわせる。ブランドンはクロムウェルを追い落とす好機と勇み立つ。このころ、ヘンリーの脚の傷が悪化していた。痛みに苦しむ王は反乱の徹底的な弾圧しか頭になかった。
恩寵の巡礼
リンカンシャー州で起きた民衆の反乱は王の恩赦を与えることで鎮圧されたが、アスク率いる北部のヨークシャー州における反乱軍の勢いはとどまることを知らず、ヨークの街に到達した。反乱軍がヨーク南西にあるポンテフラクト城へ乗り込むとの情報が入り、城を管轄していたダーシー卿は兵力の不足から反乱軍との交渉を試みる。アスクと直接話したダーシーは、アスクが修道院を守り異端を打倒するために巡礼を敢行していることに感銘を受け、反乱軍を城に招き入れることを決意する。 ヘンリーは脚にできた潰瘍が悪化していた。医者にも治療法が分からず苦痛にあえぐ中、反乱軍がポンテクラフト入りしたことを知り激怒する。討伐に送ったはずのブランドンもまだ鎮圧にかかっておらず、ヘンリーはクロムウェルに、事態が悪化した場合は責任を取ってもらうと脅す。ヘンリーにとってはアーシュラの介抱だけが唯一の安らぎだった。
国王の報復
宮廷ではクリスマスが祝われ、国王夫妻とメアリーは祝賀に訪れた人々を謁見していた。その中には、ジェーンとメアリーの計らいでエリザベスも招かれていた。一度はエリザベスを実の子ではないと否定したヘンリーだったが、会えば喜び、我が子として受け入れたのだった。 クリスマス(12月24日〜1月6日)に招かれていたアスクはヘンリーと会見する。ヘンリーは反乱軍に恩赦を与え、ヨークで議会を開くことをアスクに約束する。しかしヘンリーは約束を守る気など全くなく、アスクを招待したのも反乱軍を欺くためでしかなかった。そしてその騙しを徹底させるためか、年が明け、主顕祭(1月6日)のために教会に出かける国王夫妻を門前で待ち受けている人々の前でも、国璽を押して恩赦を保証した書面をブランドンに預け北部に届けさせるつもりだということをわざわざ宣言する。 そうした王の甘言と態度に丸め込まれ、すっかり王を信じてしまったアスクは、ポンティフラクト城に戻って、みんなに故郷に戻るように勧める。しかしコンスタブル以下の人々は王を全く信じていないので、説得には応じず、再度人を集めて蜂起し、カーライルに向かう。 宮廷生活にも変化はあった。ジェーンはヘンリーの子を身ごもった。レディ・ロッチフォードから、王がアーシュラを愛人にしていることを知らされるが、幸せなジェーンはそれを受け流す。また、アーシュラを王に取られたブライアンも新しい愛人を手に入れていた。エドワード・シーモアの妻、アンである。 「恩寵の巡礼」の反乱は、平民だけでなくナイトやジェントリー階級も加わった大がかりな反乱だった。ジェントリー達は反乱のリーダー格にもなっている。そこでヘンリーは、ブランドンに北部に行き、反乱のリーダーやジェントリー達を脅して反乱軍から離反させ、さらに王の軍に協力するという誓約書に署名させろと命じる。名誉にかけて王の約束の遂行を請け合っていたブランドンは戸惑うが、謀反人は罰されるべきだとヘンリーに一喝され、従うしかなかった。 反乱軍はカーライル攻略の前日、ブランドンの軍に襲われ、壊滅する。そして王が要求する誓いに応じないリーダー達七十四人が処刑された。コンスタブルも捕まり、ロンドンに送られ、拷問の後、残酷な処刑を受ける。 反乱は鎮圧されたが、ヘンリーの怒りはそれで収まらなかった。2度目の蜂起には加わらなかったアスク、ダーシー、エレカーの3人もヘンリーは許す気はなく、本人達には逮捕とは知らせずにロンドンに来させ、ロンドン塔に送り込む。彼らはクロムウェルの尋問を受け、ダーシーは斬首される。 しかしヘンリーには七十四人の処刑でも手ぬるかった。もう一度北部に行って報復を徹底させろと、クロムウェルを通じてブランドンに命じる。王の意を受けたクロムウェルは、陛下はあなたを本当は法王派なのでないかと疑っているとブランドンを脅し、更なる処刑を要求した。 クロムウェルの尋問の報告を受けたヘンリーはロンドン塔のアスクに会いに来る。修道院解体を正当化する自説を押しつけるためだ。アスクは再度忠誠を誓う。その忠誠心を疑ってはいないヘンリーはため息をつくのだった。
失われた光
ヘンリーの親戚であるレジナルド・ポールがヘンリーを批判する小冊子を書き、また彼が民衆の反乱を再燃させようとフランス王に謁見したことがヘンリーの耳に入った。当然のことながら、ヘンリーは反逆者ポールをひっ捕らえるよう廷臣のブライアンに命じる。 ロンドン塔に囚われていた反乱の主導者アスクにはついに死刑という判決が言い渡される。彼は故郷のヨークにて絞首刑に処されることになった。一方リーダーの一員であったラルフ・エレカーは王に忠誠を誓う宣誓書に署名し、一命を取りとめた。 反乱を起こした民衆を大虐殺するようクロムウェルから迫られていたブランドンは、後ろめたさを感じながらも王の任務を果たすべく北部へ向かう。そして心の奥にある罪悪感をひた隠しにして、女子供も含む無実の農民たちを一斉に絞首刑に処した。そのあと、ブランドンは一人神に許しを乞うのだった。 アスクの処刑当日、対面したアスクの家族は悔しさをこらえ切れない。アスク本人は家族の命を守るため、潔く王とクロムウェルに許しを乞いながらヨーク城の処刑台へと向かい、首を吊った。鎖に巻かれたその体は、民衆の目にさらされるようしばらく吊るされたままとなった。 ブライアンはエドワードの妻アンとの情事をしばし楽しんだあと、フランスへ発つ。フランス王の代理人と会い、ポールの身柄を引き渡すよう求めるが、ポールはすでにイタリアのカゼルタに追放されたと聞かされる。 王宮では皇帝使節チャプイスがメアリーに縁談話を持ってきていた。皇帝妃イザベルの弟で、見た目も性格も申し分ないという。純情なメアリーはまだ見ぬ未来の旦那様の話に淡い期待を抱くのだった。 ジェーンはお腹がふくらみ臨月を迎えた。ヘンリーは息子が産まれることを信じ、盛大な祝宴の準備も進める。そしていよいよ出産が始まったが、ジェーンは難産に苦しむ。進展のないまま時間だけが過ぎていき、ついに母子ともに危険な状態となった。ジェーンを助けるために子を諦めるか、赤ん坊を取り出してジェーンを死なせるか、ヘンリーは選択を迫られる。答えが出ないまま悩んでいたその時、産声が上がった。生まれたのは男の子だった。 ついに待望の息子を得たヘンリーの喜びははかりしれない。盛大なる祝宴、洗礼式が行われた。しかしその後まもなく、ジェーンの容態が悪化した。産褥熱にかかったのだ。ヘンリーの必死の祈りもむなしく、ジェーンはまもなく息を引き取った。
改革の揺り戻し
ジェーンを失った悲しみで、ヘンリーは政務も捨てて部屋に閉じこもり、道化の老人以外、誰も寄せ付けない生活をしていた。だが一方では大事な世継ぎのエドワード王子のためには、その身の回りを過剰なほど気を配らせており、その采配を振るうのが伯父のエドワードと養育係のレディ・ブライアンだった。 その息子フランシス・ブライアンとジェーンの次兄であるトム・シーモアは、ヘンリーの命令でポールを追ってイタリアのカゼルタまで来ていた。そしてやっと隠れ家を突き止めたが、間一髪のところで逃げられてしまう。 引きこもり中のヘンリーは、美しさで讃えられるフランス王の持ち城シャンポール宮殿に対抗すべく、ノンサッチ(比類なく素晴らしい)と名付けた宮殿を建てようと計画していた。クロムウェルはその宮殿建設の準備を命じられる。
妃を求めて
謀反人レジナルド・ポールが逃亡中のため、ヘンリーはレジナルドの家族を捕らえることにした。年老いた母親のレディ・ソールズベリー、兄のモンタギュー卿、まだ幼いモンタギューの息子がロンドン塔に監禁される。 一方でヘンリーは新しい妃を娶るべく花嫁探しにいそしむ。個人的趣味ではフランス人女性を娶りたいと望んでいるものの、なかなか条件が合わずに候補者選びは難航した。神聖ローマ皇帝つながりのミラノ公爵夫人に目をつけたヘンリーは、使節を送って様子を伺わせる。肖像画を見たヘンリーはその美しさに惹かれるが、当の夫人はヘンリーの悪い噂を聞いており結婚に乗り気でなかった。さらに、最初の王妃キャサリンの大姪という姻戚問題が障害となっていた。 そんな折、ヘンリーの脚の潰瘍が悪化した。苦痛にあえぎ意識も薄くなったヘンリーは、1週間以上も床に伏せたまま虫の息となる。宮廷では容態が知らされず混乱が高まっていく。医者にも手が出せず、ヘンリーが瀕死の状態になったところ、とうとうブランドンが意を決して外科手術の指示を出し、どうにか一命を取り留めた。 回復後、再び花嫁探しを始めたヘンリーに、クロムウェルはクレーヴズ公爵の姉妹を勧める。プロテスタント同盟とのつながりを持てることがその理由だった。クロムウェルはイングランドをプロテスタントに改革しようと水面下で動いていたが、大学時代の同志が異端として捕らわれ、火あぶりにされたことで動揺する。しかし表面上はヘンリーに忠誠を誓ったため、クレーヴズ公の姉妹に興味を持たせることに成功した。 クレーヴズ公のもとへ発ったイングランド使節たちは姉妹への面会を希望するが、公爵はすぐには姉妹に会わせようとしなかった。ようやく謁見を許されたと思ったら、姉妹は顔を隠しておりどんな顔なのか分からない。使節は困り果てるが公爵に逆切れされてしまい結局引き下がるしかなかった。 監禁されていたポール一家は罪もないのに結局処刑されてしまった。知らせを受けたレジナルドはローマで嘆き悲しむ。ヴァルトブルク枢機卿からは、イングランド王がローマ法王から破門されること、皇帝とフランス王がイングランドに攻め入る気持ちがあることを聞くが、レジナルドは強攻策に乗り気ではなかった。そしてその頃イングランドでは、ヘンリーがレジナルドに恨みを募らせているのだった。
愛なき婚姻
ヘンリーの再婚相手にクレーヴズ公の妹アンを望むクロムウェルは、アンの肖像画を描かせるべく画家ホルバインを先方に送る。ホルバインは、アンがどんなに不細工でも見目良く仕上げるようにとクロムウェルから命じられ、実際仕上がったアンの肖像画は人好きのする顔をしていた。ヘンリーとしては皇帝の親類であるミラノ公夫人との縁談を望んでいたのだが、フランスと神聖ローマ帝国が協定を結び、ローマ法王の強い要請によりイングランドに侵攻しかねない状況となったため、あきらめざるを得なかった。クロムウェルいわく、ドイツのクレーヴズとの縁組が決まれば、軍事的・経済的な支援が期待できるとのことだったため、クレーヴズとの縁談を進める。しかしイングランドからクレーヴズへ使節を送ると、ヘンリーの性急で強引なやり方が気に食わなかったクレーヴズ公はすでにアンの婚約者を別に決めてしまっていた。 諸外国からの侵攻に備えイングランドが防衛の準備をしていると、帝国の船団が海峡に現れる。慌てるヘンリーたちだったが、よくよく聞いてみると船団はスペインへ向かう途中であり、イングランドに危害を加えるものではなかった。皇帝大使のチャプイスからは、フランスとの協定は破談になったことが知らされる。そこでヘンリーの花嫁候補にミラノ公夫人が再浮上するかと思われたが、フランスや帝国に振り回されることに辟易したヘンリーは、クレーヴズに破格の条件を出してアンとの縁談を強引に進めた。 トマス・シーモアとブライアンは、ポール枢機卿の手紙を傍受しカルパントラへと向かう。ポールが潜んでいるとされる売春宿へ乗り込むが、そこにいたのは別人の枢機卿だったため、ポールを捕らえることはできなかった。 ブランドンは仲たがいしていたエドワードと和解する。クロムウェルに反感を抱くブランドンはエドワードと結託してクロムウェルをつぶそうと画策するのだった。 ついにイングランドにクレーヴズのアンがやってきた。顔を見るのが待ちきれないヘンリーは、アンが滞在する城へ馬を走らせ直接会いに行く。期待に胸を膨らませたヘンリーがそこで見たのは、平凡な婦人だった。肖像画とかけ離れた実物のアンを見て、ヘンリーは一気に興味を失う。縁談を断ろうとするが、再び皇帝とフランス王が協定を結びなおしてしまったため、結婚してドイツの後ろ盾を得るのがイングランドに残された唯一の道だった。不服ながらも王国のためにヘンリーはアンと結婚する。しかし初夜を迎えてもヘンリーはアンを抱く気が起こらず、床入りは果たせなかった。アンはヘンリーに気に入られようと努力はするものの、ヘンリーがアンに性欲を抱くことはなかった。
哀れなしもべ
クレーヴズのアンと結婚したものの、彼女が気に入らなかったヘンリーは、重臣達を集め、結婚を解消するための根拠を捜すよう命じた。アンが以前、ほかの男と婚約していたことが心の重荷となり本当の夫婦になれずにいるから、というのが理由であった。アンと結婚したのは、仏王=カール皇帝同盟に対抗するためだったが、この二人が今はまたも反目しあっているため、政略結婚の意味がなくなったという理由もある。 一方、結婚話がいっこうに進まないメアリーに、アン王妃はいとこであるバイエルン公国のフィリップ公が求婚に来ると朗報をもたらす。謹厳なカトリック教徒のメアリーは、ルター派の男では、とためらっていたが、実際にフィリップに会ってみて心が動き、彼の甘い言葉とキスを受け、幸せに酔いしれるのだった。
16世紀のイングランドに君臨した野心的な国王ヘンリー8世の生涯を描く歴史大作 ヘンリー8世役のジョナサン・リス・マイヤーズをはじめ、サム・ニールやヘンリー・カヴィル、ナタリー・ドーマーなど、豪華な物語にふさわしい実力派英国俳優が多数出演。 18歳という若さでイングランドの王位に就いたヘンリー8世は、自国を強大にするという野望達成の第一歩としてフランスとの開戦を宣言。しかし、政治と宗教、権力が複雑に絡み合う宮廷では、教皇の座を狙うウルジー枢機卿が別の策略を進めようとしていた。
血で血を洗う宗教改革の嵐がヨーロッパ中に吹き荒れるなか、キャサリン妃と離縁し、アン・ブーリンとの結婚に意欲を燃やすヘンリー8世。それほどまでに王は世継ぎを望んでいた。そこには陰謀の影がつきまとう。アン・ブーリンの命を狙う者、王妃の復権を目指す者。英国国教会に対する王の権力を否定しようという目論みや、さらには新たな王妃を探す動きなど、様々な思惑が交差する。そんななか、ローマ法王パウルス3世との争いを巡り、ヘンリー王に近しい面々が裏切りのかどで処刑されていく。ヘンリー8世の正統な後継者をめぐって繰り返される審問の数々。慎重な臣下たちは指をくわえて眺めていることしかできない。自分たちの暴君が、危うい未来へとまっしぐらに突き進んでいくのを。
宗教改革に平民の怒り爆発。イングランド国王ヘンリー8世を描く歴史ドラマの第3章 第1シーズンのサム・ニール、第2シーズンのピーター・オトゥールに続く今シーズンの名優は、「エクソシスト」のメリン神父役が印象的なマックス・フォン・シドー。 1536年、ヘンリー8世はジェーン・シーモアと結婚し、皇帝や娘メアリーとの関係修復など、宮廷は落ち着きを取り戻したかに見えた。だが、クロムウェルが推し進める宗教革命に抗議するため、地方では平民たちが暴動を起こそうと決起していた…。
アン・オブ・クレーヴズとの短かった結婚が取り消されると、ヘンリー8世は新たな関係にのめり込む。次なる相手は、まだ十代のキャサリン・ハワードという女性である。だがその関係には、王の長女メアリーの嫌悪だけでなく、キャサリン自身の恋多き過去という影がつきまとっていた。一方で、血なまぐさい宗教改革、スコットランドとの不安定な関係、王宮内の陰謀と、イングランド王の苦難は尽きるところを知らなかった。やがてキャサリンの姦通が明らかになると、男子が産まれなかったということもあり、彼女は今やお決まりとなった末路をたどる。その後、王はキャサリン・パーを妻とするが、その傍でイングランドは軽卒にもフランスと開戦してしまう。この戦争はヘンリー王の健康を損ない、イングランドの国力を削ぐことになる。
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ケン・フォレットの原作を巨匠、リドリー・スコット製作総指揮で映像化した歴史ドラマ 総製作費40億円をかけて再現された中世を舞台に、策略やロマンス、冒険活劇など多彩なドラマが展開。出演俳優83名、エキストラ6千人を動員した大スケールの映像は圧巻。 12世紀の英国、キングスブリッジ。街では大聖堂の建築をめぐり、職人や教会、貴族らの思いが交錯していた。大聖堂の建築に命を懸ける石工・トムとその息子・アルフレッド親子を中心に、運命に翻弄される人々を描く壮絶な愛と欲望の物語。
ヒストリーチャンネルが制作した、初のドラマ『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』。今作のシーズン3は全10話で構成され、2015年に公開された。シーズン2では裏切りの連鎖が相次ぎ、ヴァイキングの王であるホリック(ドナル・ローグ)を殺すことになったラグナル(トラヴィス・フィメル)。ホリックの死によりスカンジナビア全土の王となったラグナルだが、今度はウェセックス国王エグバート王(ライナス・ローチ)の策略に力を貸すことになる。さらに、ラグナルはある出来事によって、死生観や絶対神オーディンの存在も揺らぎ始めてしまう。そんななか、カテガットでヴァイキングたちの帰りを待つアスラウグ(アリッサ・サザーランド)は不思議な男の夢を見る。翌朝カテガットには、手を負傷したハーバード(ケヴィン・デュランド)と名乗る男が放浪の末辿り着くが、それはアスラウグが夢で見た男だった。骨なしアイヴァーの苦しみを取ったハーバードを信頼するアスラウグだが、その日に村の子どもが死んでいるのが発見される。
シェイクスピアの戯曲を元に、イギリス歴代の王たちの物語を映像化したドラマシリーズ 英国放送協会BBCが総力を挙げて制作した歴史群像劇。ドラマチックな展開はもちろん、当時のイギリスを忠実に再現した衣装やセットは歴史資料としても見応えあり。 イギリスの歴史にその名を刻み、王冠をつないできた数々の男たち。その中で、リチャード二世、ヘンリー四世、ヘンリー五世の3人による栄光と没落を一つの物語として描いていく。歴代の王と王朝の移り変わりが、シェイクスピアの重厚なセリフで紡がれる。
女たちの権力闘争が苛烈さを増す!トルコ発、宮廷歴史ドラマの第2シーズン あらゆる陰謀にも負けず、ヒロインが美貌と知恵を武器に皇帝の寵愛を得ていくさまが痛快。主演のメルイェム・ウゼルリは、本作を機に一躍トルコの人気女優となった。 皇帝・スレイマンの首に短刀を突き付けたサドゥカ。その頃、皇帝妃・ヒュッレムの元恋人・レオは彼女を守るため、自ら毒菓子を食べる。完全に敵対した大宰相・イブラヒムとヒュッレムは、互いに宣戦布告。皇帝のお気に入りを自負する2人の戦いが始まる。
栄光を手にするのは誰だ?王冠をつなぐ男たちの物語を描いた史劇ドラマ第2シーズン 『SHERLOCK/シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチが、悪名高い国王・リチャード三世を熱演。スピード感とリアリティあふれる描写で薔薇戦争を活写している。 生後9カ月で王となったヘンリー六世の若さと優しさにつけこみ、群雄割拠の内乱状態に陥ったイングランド。白薔薇のヨーク家と赤薔薇のランカスター家による確執は、復讐が復讐を生み、プライドとプライドが激しくぶつかり合う戦いに発展していく。
『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』は、ヒストリーチャンネルが制作したカナダドラマ。伝説のヴァイキングの半生を、神話を交えて描いている。シーズン2は全10話で構成され、本国カナダでは2014年2月に初回放送された。カテガットの首長ハラルドソン(ガブリエル・バーン)を決闘の末に倒し、新しく首長となったラグナル。シーズン1では娘のギーダ(ルビー・オリアリー)が疫病で死に、ラゲルサ(キャサリン・ウィニック)も流産してしまい、2人の子を失うことに。続くシーズン2では、信頼していた兄・ロロ(クライヴ・スタンデン)の裏切りや家族との別離などが描かれ、とことん家族に縁がないラグナル(トラヴィス・フィメル)に人生の大きな分岐点が訪れる。さらに、ラグナルが首長であることを快く思わない者たちの存在が、ラグナルの大望であるイングランド遠征に大きな影を落とすことになっていく。第1話と第2話の間で4年の月日が流れ、大きくなったラグナルの息子ビヨルンをアレクサンダー・ルドウィグが演じる。ホリック王側についたラグナルと、ボルグ首長との戦いが幕を開ける。ボルグ首長と手を組んだのは、信頼していた兄のロロだった。果たして勝つのはどちらなのか?
『ヴァイキング 〜海の覇者たち〜』は、2013年から放送が開始され2020年にシーズン6をもって完結したカナダのテレビドラマ。シーズン1からシーズン5まではヒストリーチャンネルが制作した初めての海外ドラマとなったが、最終シーズンのシーズン6はNetflixに移行し制作・公開された。今作のショーランナーを務めたのは、『The Tudors ~背徳の王冠~』や『スパルタカス』の監督・脚本などを務めたマイケル・ハースト。総製作費約4,000万ドルをかけて、8世紀末の北欧スカンジナビアで活躍した伝説のヴァイキングであるラグナル・ロズブローク(トラヴィス・フィメル)と、その息子たちの半生を描いている。スカンジナビア半島にあるヴァイキングの村カテガットで、妻と子どもたちと暮らすラグナル。夏季になると東側近隣への略奪行為をおこない生計を立てていたヴァイキングたちだったが、ラグナルは東側の略奪に辟易し始め、まだ誰も行ったことのない西に、肥大な土地や財宝が眠ると確信する。いつしか西へ向かうことが、ラグナルの夢となっていった。ラグナルは、カテガットの首長ハラルドソン(ガブリエル・バーン)に意見を申し立てるも却下される。しかし夢を捨てられないラグナルは、船大工のフロキ(グスタフ・スカルスガルド)と兄ロロ(クライヴ・スタンデン)とともに自分たちだけで西へ向かう計画を立てるが…。
『ヴァイキング ~海の覇者たち~』は、ヒストリーチャンネルが制作した初の海外ドラマ。シーズン3でフロキにより、ラグナルに悪影響を与える男として殺されてしまったアセルスタン。彼の死はラグナルだけでなく、ウェセックス王国の未来までも変えていくことなる。シーズン3までは9~10話で1シーズンだったが、シーズン4からは大きく話数を追加し、全20話で公開された。パリ遠征は成功を収めるも、深手を負ったラグナル(トラヴィス・フィメル)。日に日に体調は悪化していくなか、アセルスタン(ジョージ・ブラグデン)殺害がフロキ(グスタフ・スカルスガルド)の仕業だと知り、フロキを捕らえる。パリでは、キリスト教に改宗したロロ(クライヴ・スタンデン)は貴族となり、ギスラ皇女(モルガン・ポランスキー)と結婚しようとしていた。一方でウェセックス王国のエグバート王(ライナス・ローチ)や、ジュディス(ジェニー・ジャックス)もアセルスタンが死んだことを知るなか、内乱が勃発する。
ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンとアマゾン・スタジオが贈る、スコット・フィッツジェラルドの未完で最後の小説を基にしたドラマシリーズ「ラスト・タイクーン」。
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