4月1日に全編が主人公の主観映像の映画「ハードコア」が公開されました。実験的な映画のため一般的な評価は賛否両論のようですが、今回はこの映画が秘めている魅力を探っていきます。
「観る」のではなく「体感する」映画!
FPSゲームが映画になっちゃった!
この映画について全く情報のない人は、まずはこの予告映像をご覧下さい。
ご覧頂いたようにこの「ハードコア」は全編主観映像のみで作られた、かなり実験的な映画なのです。
この映画は主人公が最先端の研究所らしき場所で目覚めるところから始まります。主人公にエステルと名乗る女性が話しかけ、彼女によると主人公はヘンリーという名前で、重傷を負い記憶がなくなった状態だったが、サイボーグの体へと改造したことで一命を取り留めた、と主人公の現状を説明してくれます。
この冒頭のシーン、どこかで似たようなものを見たことはありませんか?これは完璧にFPSゲームのチュートリアルそのものです。この映画はFPSゲームならぬ、世界初のFPS映画なのです。
息をつく間を与えないジェットコースタームービー!
冒頭のチュートリアル後、すぐさま敵と思われる謎のサイキック男に襲われます。
目の前で爆発、研究者が惨殺、一瞬の隙を突いてエステルと共に逃走、脱出ポットから抜け出して上空から地上へ落下...と、このようにアクションシーンのつるべ打ちで、観客に息をつく間を与えません。
まさに新感覚のジェットコースタームービーと言えるでしょう。
FPS映画を成立させるための工夫とは?
主観映像を映画に取り込んだ映画は多くありますが、最近ではその手法自体が目的化しており、映画として成立しているのか疑問を感じるものさえあります。しかし、この「ハードコア」は主観映像のみによる映画というものを成立させうる工夫をいくつも取り入れています。
工夫① 主人公の行動が制限されている
この映画では次から次へと襲って来る敵から逃げたり、逆に敵を襲ったりしていきますが、注目すべきはこれらアクションの選択肢が常に限られており、主人公の行動を観客が予測しやすいアクションになっているということです。主人公の行動を予測しやすいため、観客は主観映像に感情移入したまま観続けることが出来るのです。
工夫② 主人公に感情を持たせない
主人公は記憶を失っているという設定なので、映画の世界観における立ち位置的には、主人公と観客は対等な立場にあります。また、主人公は喋ることは出来ず、首を動かして「Yes」か「No」を示すことしかできません。もし、観客の予想していないようなことを喋らせてしまったら、たちまち観客は感情移入出来なくなってしまったでしょう。
工夫③ 撮影技術の向上
この映画はエクストリームスポーツのアスリート目線の映像の撮影などで使われる「GoPro」が主に使用されていますが、この映画の撮影のために、映像が常に水平をキープしたまま撮影出来るスタビライザー機能を搭載させることによって、かなり観やすい映像になっています。アクションシーンが多い今作ですが、映像がぶれて対象が見えないということは全くありません。
FPSだけが魅力じゃない!ブラックな小ネタにも注目!
グロが苦手な人は注意!?冒頭の暴力シーン!
ここまで今作のFPS映像の凄さについて書いてきましたが、今作は映像だけではなく、アクションの合間合間に見せる様々な小ネタでも観客を楽しませてくれます。
まず映画のタイトルシーンがこの映画の暴力的な雰囲気を示してくれるのですが、その暴力の映像が「悪趣味」すぎて笑えてしまいます。ぜひ実際に観て頂きたいのですが、グロテスクな映像が苦手な人は観ない方が良いかもしれません...。
「悪趣味」な演出が満載!
冒頭の、研究所が敵に襲われるシーンでは、研究員が爆発で吹き飛んだ巨大なドアの下敷きにされますが、さらにサイキック男にそのドアの上を歩かれて、彼が歩く度に「グジョッ、グジョッ」という音がします。
他にも、ロシア警官が廃墟で女性を襲っている場面や、いかがわしい店での場面が必要以上に長かったりなど、映画全編で「これ必要か!?」と思ってしまうほど小さい悪趣味なネタが満載です!
ラストはクイーンのあの名曲!
小ネタだけでなく、音楽でも映画を盛り上げてくれます。特に注目すべきは、予告映像でも流れていましたが、クイーンの名曲「Don't Stop Me Now」が流れるラストのアクションシーンです。
曲の歌詞と同様に主人公が文字通りアドレナリン全開で闘うラストは、最高に盛り上がるアクションシーンになっています!
グロテスク映像と手ブレ映像が苦手という人には、今作はもしかしたら向かないかもしれませんが、今後のアクション映画の方向性を決めてしまうかもしれない映画になっています。ぜひ劇場でこの「ハードコア」を「体感」してみて下さい!
参考元
- ・参照リンク:映画「ハードコア」公式サイト
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