映像や音楽を制作するクリエイターは、日ごろどんな映画に影響を受けているの? そんな気になる疑問に対し、今回はCM音楽制作やウェブディレクションをおこなうシララ株式会社代表、伊東宏之さんにお答えいただきました!
- aukana編集部
私たちが日々感動したり、影響を受けたりしている映像や音楽。それを作っている立場の人は、どんな作品に影響を受けている!? 気になる作品を見てみましょう!
アクト・オブ・キリング
出典:amazon60年代のインドネシア国内で発生した100万人規模の大虐殺。街を当時うろついていたチンピラ達がその実行部隊となり、今は“共産主義者から国を守った英雄”として地域を支配している。
本作は「その英雄的行為を、映画で再現してみませんか。監督・主演、全てあなたたちで」と彼らにもちかけるというドキュメンタリー。
そんな事実があったなんて…と息を呑むのも束の間、本作が突き付けてくるのは、誰であろうと虐殺の当事者になりうるという「悪の凡庸さ」だ。
すがすがしさとは程遠いラストでは、地獄の底から響くような声をある人物が発する。耳を塞がずに聞きたい。
わたしは、ダニエルブレイク
出典:amazon口は悪くて不器用だけど、正直。長年まじめに働き、困っている人にはすぐ手を差し伸べる男・ダニエル。しかし彼が病に倒れた時、受け止めるべき公器はあまりに冷淡であった。
静かなトーンとは対照的に、そんな国・社会への怒りがスクリーン全面にぶちまけられている。
作中でのダニエルの高潔な振る舞いはもちろん、巨匠ケン・ローチ監督が引退を撤回してまで本作と次作を生み出しているという背景に注目したい。
弱者切り捨ての世界を看過できない作家としての矜持が胸に響く。
メランコリック
出典:amazonうだつの上がらない青年がバイトを始めた昔ながらの銭湯。そこでは夜な夜な殺人が行われていた――荒唐無稽なようで実は銭湯が死体処理に向いていることを活かした設定に、心を奪われる。
『カメラを止めるな!』の翌年公開となった本作は、同様に無名の制作陣によるもの。
ただ、超低予算映画としてはすごい…などという前提で鑑賞する作品では全くない。
テンポの良いストーリー展開、登場人物のリアリティとクセの強さ、迫力のアクションに引き込まれてしまう。
刹那的で余韻を残す結末もさることながら、こんなものを手弁当で作ってしまう制作陣の煮えたぎる熱に浮かされてみよう。
メッセージ
出典:amazon突如、上空に現れた異星人。本作は、彼らのメッセージを解読しようとする学者たちの奮闘を描いたものだ。
(ネタバレ絶対NGな方は、以下を読み飛ばしていただきたいが)自分が紡ぐ言葉によって思考や世界そのものが変わりうることを、SF映画という入れ物を使って我々に問いかけてくる作品である。
鑑賞前に「サピア=ウォーフの仮説」について軽く予習しておくと、より楽しめるかもしれない。
故ヨハン・ヨハンソンによるサウンドも本当に素晴らしい。特に低音が重要になってくるため、自宅であればしっかりしたヘッドフォンやスピーカーで鑑賞したい。
素晴らしき哉、人生!
出典:amazon30代半ば以上の方限定の話題となるが、伝説的バラエティ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で人気だったエンペラー吉田氏を覚えているだろうか。
彼のキメ台詞は「偉くなくとも正しく生きる」。
1946年公開の本作が体現しているのは、まさにそれ。正しく生きた美しい終着点へストレートに我々を導くと共に、いざという時の己の態度や日ごろの小さな幸せについて振り返らせてくれる。
前述した『わたしは、ダニエルブレイク』も「偉くなくとも~」的おじさんの話だが、70年という時を経て対極的な物語になっている点も興味深い。
感銘を受けた映画5選を振り返ると…
5つ並べてみて、自分が「善い/悪い生き方」「クリエイティブな姿勢とはなにか」について気にしていることに気が付いた。
皆さんが選んだ際に、どういう自分が見えてくるだろうか。
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