機長は英雄か罪人か？運命の208秒『ハドソン川の奇跡』

2009年1月15日、USエアウェイズ1549便に何が起きたのか？

実際の航空機事故を取材した本格サスペンス

飛行機事故といえば、最悪の事態を誰もが思い浮かべるほど、生存率の低い致命的な事故です。過去にもたくさんの飛行機事故があり、そのたびに国内外問わず大々的な報道がされてきました。

だからこそ、人々は2009年にニューヨークで起こった飛行機事故を”ハドソン川の奇跡”と呼びならわし、その当事者である機長に喝采を上げました。

その日、空港を飛びたったUSエアウェイズ1549便は、空中で機体の両翼エンジン停止という最悪の事態をむかえます。しかし、その大きなアクシデントをチェスリー・サレンバーガー機長の機転により、犠牲者ゼロで乗り切ったのです。

飛行機は機長の瞬時の判断と高度な操縦技術によりハドソン川に着水。その後の迅速な救命活動もあり、乗客155人、全員の命が救われました。この事故はタイムリーに全世界に報道され、機長は一躍”英雄”として時の人となります。

――しかし、

機長がヒーローとしてマスコミに持ち上げられる一方で、事故の真実を求める調査委員会から機長の操縦判断への疑惑が浮かび上がります。

”本当にハドソン川への不時着は適当な判断だったのか？””別のルートで安全に近隣の空港に下りられたのではないか？””機長の判断ミスで意味もなく155人の乗客の命を危険にさらしたのではないか？”

英雄のはずの機長は唐突に「容疑者」として疑惑の目を向けられることになるのです……。

イーストウッドの演出とトム・ハンクスの演技が冴えわたる

ハリウッドきっての人気俳優から世界的な映画監督へ……。

その華麗な転身から洋の東西を問わず賞賛の声の止まないクリント・イーストウッド。その彼も御年86歳、本作では全く衰えを感じさせない鋭敏な演出を見せています。

さらに本作はトム・ハンクスが終始抑えた演技でその実力をいかんなく発揮しています。実在する人物を演じるハードルの高さは想像に難くないですが、苦悩し、葛藤するベテランパイロットを静かに、且つ、力強く演じています。

物語はサスペンス的要素が強く、張り巡らされた伏線が徐々に収斂し、クライマックスに一気に局面がひらけてゆく様は観ていて手に汗を握ること間違いなしです。

サレンバーガー機長の判断は正しかったのか？事故発生から不時着までの208秒にはどんな真実が隠されているのか？みなさんもぜひ自分の目で確かめてみてください！

キャスト

チェスリー・サレンバーガー【トム・ハンクス】

もはや説明の必要もないでしょう。ハリウッドを代表する俳優であるトム・ハンクス。『フィラデルフィア』『フォレストガンプ/一期一会』で2年連続アカデミー賞主演男優賞を受賞し、人気・実力を兼ねそろえたトップ俳優です。

本作では不屈の信念を持つベテランパイロットを終始寡黙に演じます。自分の判断が誤っていたのかどうか、苦悩する姿に観客は引き込まれます。主人公の人間性こそが、本作の最大のみどころといっても過言ではないでしょう。

ジェフ・スカイルズ【アーロン・エッカート】

『サンキュー・スモーキング』でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネート、ピープル誌の「世界で最も美しい50人」に選ばれるなど俳優として話題性を失わず、そのキャリアを着実に上がってきたアーロン・エッカート。

本作では副操縦士であるとともにサレンバーガー機長の良き友人でもあるジェフ・スカイルズを演じます。2人の信頼関係、その絆は感動的であり、本作の大きな魅力となっています。機長との男の友情に涙します。

ローリー・サレンバーガー【ローラ・リニー】

数多くの舞台、映画、テレビドラマに出演する実力派女優ローラ・リニー。演技のふり幅が広く、あらゆるキャラクターを演じてきました。97年の『目撃』ではイーストウッドの娘を演じています。

本作ではサレンバーガー機長の最愛の妻を演じます。英雄の妻として急激にマスコミの注目を受け、戸惑いながらも不安にさいなまれる夫を支えます。