コミカルに進むストーリーと楽しいミュージック。あまり上品とは言えないアメリカンなジョークは、アニメで観るのと舞台とでは多少違う様に感じられる。あなたはユーモアセンスのキャパシティーをどのくらいお持ちだろうか?
アニメとミュージカルで「シュレック」を観て
「Shrek」(シュレック)
先ず、「Shrek」について少し紹介をしよう。
アメリカのドリームワークスアニメーションから2001年に出された映画である。
原作は1990年にウィリアム・スタイグによって書かれた絵本の「みにくいシュレック」。
コメディアニメ映画でファンタジーとアドベンチャーの物語である。
この映画の総指揮はスティーブン・スピルバーグ。
声優陣もマイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアス、エディ・マーフィなどの俳優を使い注目を集めヒットした。
日本語版では浜田雅功、藤原紀香、山寺宏一、伊武雅刀などの俳優が務めている。
一時間半の映画だが、後に続編や短編も幾つか出されている。
ストーリー
主人公は見かけによらず心優しいオーガのシュレック。
彼は人里離れた沼地で、一人ひっそりと気楽に暮らしていた。
しかし、ひょんな事からしゃべれるロバと共に、ドラゴンのいる城に幽閉されたフィオナ姫を救出しに行くことになる。
使命は、姫と結婚して完璧な王になりたいファークアード卿にこのフィオナ姫を届ける事。
シュレックは自分の醜い容姿を卑下しており、フィオナ姫にも嫌われていると思っている。
しかし旅の間に、シュレックと彼女の間に心の変化があり、お互いに惹かれ合うようになる。
しかし、フィオナ姫には人知れぬ秘密がある。
彼女は、日が沈んでいる間オーガに容姿が変身してしまうのだ。
惹かれあう二人だが、すれ違いがあり、恋の行方が危ぶまれる。
アニメ「Shrek」を観て
シンプルなストーリーではあるが、コメディ映画でミュージックも楽しく、リズミカルに物語が進んでいく。
ただ、原作といくつか違うところもある。
お伽噺のキャラクターがたくさん出てくるのが、その一つである。
この映画では、「ハーメルンの笛吹」「ピノキオ」や「妖精」など、誰もが知る物語の登場人物がたくさん出てくる。
これらの物語を知る私達には、心くすぐられるポイントである。
そしてまた、この物語の伝えたいメッセージにも考えさせられる。
容姿を気にするオーガの純粋な恋心や、ロバとドラゴンの生き物の種類を超えての恋。
一方、王になりたいが為に結婚をしようとする、恋も愛も考えない人間。
後方の方が動物的ではあるのかもしれない。
しかし人間として、分け隔てのない恋愛は大きなテーマであろう。
ミュージカル「Shrek」を観て
先日「シュレック・ザ・ミュージカル」を観劇した。
大方、アニメのストーリーに忠実に舞台化されている。
やはりミュージカルで楽しいのがミュージック。
アニメでは物語の間に使われていた歌なども、舞台でミュージカルとして聴くと全く違う物として楽しめるし、またアニメでは使われていなかった曲も面白い。
また、「シュレック」はアニメでアカデミー賞を受賞している。
ミュージカルでも、大がかりなセットや凝った衣装で、2009年に衣装デザイン賞を取っている。
フィオナ姫のドレスを始め、ピノキオなどのお伽噺に出てくるキャラクターの衣装も面白いし、ファークアード卿やドューラックなどの衣装も原色使いのカラフルな衣装で見応えがある。
ミュージカルとしての見どころ
主役のシュレックのメーキャップはなかなか様になっている。
シュレックのイメージを壊すことのない、良い出来である。
そして、もう一人の主役・フィオナ姫は、ソロでも歌に踊りにと見せ場がある。
年齢の異なる三人の姫の合唱はミュージカルならではの演出であろう。
彼女の踊る突然のタップダンスにも驚きがあり、これもまた面白い。
もう一人(一頭?)の忘れてはならないキャストが、しゃべれるロバである。
馬とは違う、ロバの大きな耳のコステュームに身を包み、面白いおしゃべりなロバ。
この演技なくして、このミュージカルは語れないであろう。
彼のリアクションやコミカルさに、噴き出さずにはいられない。
シュレックら主役以外の他のキャストにも見応えがある。
アニメをミュージカルや実写にすると無理があったりすることは多い。
その部分をあえてジョークにかえ、面白く見せているのがファークアード卿である。
彼はアニメの中では極端に背が低い。
それを役者がほとんどずっと立膝で演じているのである。
観客もそれをジョークと受け取り楽しんでいる。
しかし、役者の演技・歌唱力が素晴らしく、このギャップがミュージカルとして面白い部分である。
そして、歌が上手いといえばドラゴンである。
このドラゴンは、おしゃべりなロバに恋をしてしまう女の子である。
舞台に出てくる大きなドラゴンのセットと、歌う彼女の歌声もなかなか素晴らしい。
日本とアメリカの笑いのツボ
さて、最近はどんどん国の境があいまいになってきているように感じるが、あなたはどうお思いだろう?
日本人は感情をあまり表現しない国民である。
反対にアメリカ人は、リアクションも大きく、内面をストレートに表現する国民性と言えよう。
また、道徳心やマナーにも結構違いがあるように思われる。
この物語ではアメリカンな表現やジョークが盛り沢山である。
例えば、ジンジャーブレッドマンを拷問にかけるシーンがある。
アニメでは二次元ということで軽く受け流せるところも舞台となるともう少し現実味を感じてしまう。
ジョークを交えてのシーンではあるものの、子供がこれを面白いと思うのか、かわいそうと思うのか、親としては考えるところである。
また、日本のアニメやドラマ、映画などにあまり出てこない物に、「ゲップ」や「おなら」がある。
放送禁止というわけではないのだろうが、日本人にはかなりタブーな行為だろう。
しかし、アメリカではアニメなどの番組にも普通に冗談として使われる。
このミュージカルでも、そのようなジョークが随所に散りばめられたシナリオとなっている。
他にも、物を壊したりする事で感情を表現したりするなどのシーンもある。
物を大事に使うように教えられて育った私達には、少し抵抗のある場面である。
アニメの世界が舞台の上で、人によって演じられているのを目の当たりにすると、少し違和感を覚える。
ただ一つ言えるのは、これは子供にあまり見せたくない、大人が観て楽しいミュージカルだということである。
日本では上演されるのか?
「Shrek the Musical」は2008年にブロードウェイで初めて上演された。
その後、イギリスでも公演され、昨年2016年にはドバイなどでも上演された。
そしてなんと今年は、初の世界ツアーでスウェーデンやマカオなど、色々な国で上演されるそうである。
レビューは賛否両論だが、10年ほどの年月を経ても続くミュージカル。
確かに、ドタバタした、コメディタッチの劇ではあるが、ミュージックも面白い。
アメリカンジョークを理解した上で楽しめるミュージカルではないだろうか。
はたして日本には来るのだろうか?
実際に舞台で観るミュージカルには、他では得られない面白味がある。
機会があればぜひ劇場に足を運んで、自分のユーモアセンスを確かめてみてはどうだろう。
参考元
- ・参照リンク:ミュージカル - Wikipedia
- ・参照リンク:Shrek - Wikipedia
当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。
合わせて読みたい