『響け！ユーフォニアム』は京都府宇治市にある高校の吹奏楽を舞台にした、青春部活動物語です。大人数の部活だからこその複雑な人間関係と、全国大会を目指してひたむきに音楽にとり汲むキャラクター達の姿が、幅広い層に人気となりました。ここではそんな『響け！ユーフォニアム』の世界をたっぷりと紹介していきたいと思います。
『響け！ユーフォニアム』とは？
『響け！ユーフォニアム』は原作・武田綾乃、製作・京都アニメーションによる、青春部活物語です。
舞台は京都にある架空の学校「北宇治高校」。どこか冷めた視点を持つ主人公・黄前久美子は、同級生に流されるままに吹奏楽部へと入部します。そこには中学時代に苦手としてた優秀なトランぺッター・高坂麗奈も所属していました。
時を同じくして、北宇治の吹奏楽部には今年から新しい顧問として滝先生が赴任します。顔合わせの席で先生から「この部の目標は何ですか？」と尋ねられたのに対し、部員たちはスローガンとして「全国大会出場」を口にしました。それを聞いた滝先生は、目標を現実に変えるべくスパルタな指導を開始します。
それまでお気楽な部活をやってきた部員たちは当然、戸惑いを隠せません。コンクールメンバーも年功序列を廃して実力主義となった部活の中で、久美子もまた先輩たちと過去のトラウマ、そして麗奈との関係の間で揺れ動きます。
『響け！ユーフォニアム』のみどころ
『響け！ユーフォニアム』の最大の見どころは何よりも吹奏楽部という大人数のコミュニティの中で繰り広げられる複雑な人間ドラマです。
コンクールメンバーをオーディションで決めることになったために、実力のある後輩とそうでない先輩との間に生まれる軋轢。圧倒的な実力を見せる同級生。一方で、思うような演奏ができない自分。
胸を痛めるほどの人間関係の中で、もっと上手くなりたいという高校生らしい想いと葛藤がたっぷりと詰まっています。それが観ていて苦しくもあり、爽やかでもある一作です。
『響け！ユーフォニアム』のあらすじ
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『響け！ユーフォニアム』はTVシリーズの第1期作品です。
――本気で全国に行けると思ってたの？
主人公・黄前久美子が進学した北宇治高校は地元から少し離れた、吹奏楽の弱小高校でした。中学時代の交友関係をリセットしたいと考えて入学した久美子ですが、なんと最も縁を切りたかった相手・高坂麗奈と再会してしまいます。
全国有数レベルのトランぺッターである麗奈の目的は、今年から北宇治吹奏楽部の顧問になる滝先生でした。新たにできた友人に勧められるがまま吹奏楽部に入部することになった久美子は、部内の淀んだ空気を一蹴する滝先生のストイックな指導に困惑します。しかし部員たちが自分の成長を噛みしめ始めると、目標であった「全国出場」のために次第に部がまとまり始めました。
しかし事件が起こります。滝先生が、全国へ出場するためにコンクールメンバーをオーディションで決定すると言うのです。上級生からは不満の声が上がりますが、全国へ行くためにはそれが最善であることは明白でした。
そして運命のオーディション。部員たちの関心は自由曲の目玉であるトランペットソロを誰が吹くのか、ということに注がれます。候補は2人。3年のパートリーダーで人望が厚い中世古香織か、1年のエースで嫌われ者の麗奈か。
次第に二極化していく吹奏楽部の空気と共に、地区大会である京都大会の日程が迫ります。
『響け！ユーフォニアム』の見どころ
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主人公である黄前久美子が人生を再スタートさせるため、あまり知人のいない高校に入学したにもかかわらず、成り行きで中学校と同じ吹奏楽部へ入部するところから始まるテレビシリーズ1期。
テレビシリーズ1期の見どころはなんと言っても久美子の心情の変化です。
基本的に物事を達観してしまう久美子は、吹奏楽にも達観した気持ちを抱いていました。しかし高校の吹奏楽部に入部し、厳しい顧問の指導のもと、部員全員で目標を全国に定めて練習を始めてから気持ちが変化していきます。常に練習したいと思うようになり、ミスを指摘されれば悔しさで泣くような熱量をその心に抱くようになったのです。
この変化は関西大会への出場や先輩との関係、そして久美子が2年生になる『誓いのフィナーレ』でも非常に重要なファクターとなっています。
もちろん久美子以外のキャラクターたちの心理描写も丁寧に描かれているので、そこにも注目してみてくださいね。
『響け！ユーフォニアム2』のあらすじ
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『響け！ユーフォニアム2』はTVシリーズの第2期作品です。
――もっと上手くなりたい！
ソロパート争いを発端とした部崩壊の危機を乗り越え、北宇治高校は見事に関西大会出場の切符を手に入れました。ここ数年の成績からすれば快挙となる結果に、久美子をはじめ部員たちは朝練に合宿とますます練習に身が入ります。
そんな中で久美子は、かつて吹奏楽部に所属していたという2年の傘木希美と出会います。彼女は北宇治の快挙を知って「吹奏楽部に戻りたい」と久美子に相談してきたのです。それは暗黙の歴史とされている、現2年生の部内トラブルに関わっていくことでもありました。
一方、部内では3年のユーフォニアムのエース・田中あすかが部を辞めるという噂が広がります。難関校を目指すあすかの将来を案じた母親が、厳しい吹奏楽部のスケジュールに難色を示しているというのです。久美子は心から慕う先輩の真意を知るため、謎に包まれた彼女の心中へ足を踏み入れようと試みます。
ただ上手になりたい。全国へ行きたい。それだけなのに。思うように進まない北宇治高校と久美子の前に関東大会、そしてついに全国大会の背中が見え始めます。
『響け！ユーフォニアム2』の見どころ
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滝先生の指導によって猛練習に励んだおかげで、関西大会出場の切符を勝ちとった北宇治高校吹奏楽部。
そこに新たに部に入りたいと申し出てくる傘木希美を加えて展開されるテレビシリーズ2期の見どころは、何と言っても田中あすかその人です。
1期では「ユーフォがめちゃくちゃ上手い」ということ以外は、基本的にほとんど語られることがなかったあすか先輩。しかし、この2期では彼女の素性やユーフォにかける思いなどが赤裸々に語られていきます。
もちろんそれだけでなく、一波乱起こしていくのでそれに振り回される久美子は大忙しです。
また、あすか先輩以外にも久美子たちが入ってくる前にあった事件の詳細や、滝先生の過去などもわかる、1期を見た人にはたまらない展開が多くちりばめられていますよ。
劇場版『響け！ユーフォニアム～北宇治高校吹奏楽部へようこそ～』のあらすじ
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劇場版『響け！ユーフォニアム～北宇治高校吹奏楽部へようこそ～』は、テレビシリーズ1期を再編集した『響け！ユーフォニアム』劇場版1作品目です。
中学時代のしがらみから逃げるように、地元から離れた北宇治高校へと進学した主人公・黄前久美子。主体性がなく流されやすい彼女は、新しくできた友人たちに誘われるがままに、しがらみの原因となった吹奏楽部へ入部してしまいます。
それまで北宇治の吹奏楽部はどちらかと言えば弱小部。しかし今年は新顧問としてやってきた滝先生のスパルタ指導のもと、全国大会を目指す強豪校へと生まれ変わります。
実力主義となりギスギスしはじめた部の中で、久美子は孤高の天才トランぺッター・高坂麗奈と共に、自分の最高の音を追い求めます。
劇場版『響け！ユーフォニアム～北宇治高校吹奏楽部へようこそ～』の見どころ
本作は総集編の映画なので、大筋の物語はTV版1期のものと変わりがありません。しかし、短い時間に纏めるために本作は久美子と麗奈の関係にスポットを当てた編集が行われています。
中でも映画にしかない見どころがダイナミックな演奏シーンです。テレビシリーズでも多くの方が最終回の北宇治高校の演奏力の高さに驚き、地区大会の演奏で驚嘆されたことでしょう。TVアニメでも迫力のあったあの演奏シーンが劇場版となることで、よりグレードアップして帰ってきました。
音楽が重要なカギを握る『響け！ユーフォニアム』において、これは見逃せないポイントではないでしょうか。
他にも2期のキーパーソンである鎧塚みぞれが少し登場していたりと、1期にはなかった演出を見ることができます。さらに劇場版用に声は全て新規録音になっているなど、単なる総集編でない楽しみ方を見出すことができるでしょう。
1期のおさらい、または違いを楽しむ意味でも、TV版を視聴済みかどうかにかかわらずおすすめの1本です。
劇場版『響け！ユーフォニアム～届けたいメロディ～』のあらすじ
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劇場版『響け！ユーフォニアム～届けたいメロディ～』は、『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』と同じく、テレビシリーズ2期を再編集した総集編です。
京都府大会、そして関西大会を金賞で勝ち抜いた北宇治高校吹奏楽部。全国大会を目前に控えたある日、久美子の直属の先輩である低音パートリーダー・田中あすかの退部の噂が広まります。
3年生であるあすかの目標は、国内トップクラスの大学への合格です。そのために彼女の母親は、全国大会がある秋まで練習が続く部活を辞めるよう迫っていたのです。
あすかの音のすごさを誰よりも知り、誰よりも尊敬していた久美子。吹きたいはずなのに本心を見せない彼女を前にして、久美子ははじめてむき出しの感情で向き合います。
劇場版『響け！ユーフォニアム～届けたいメロディ～』の見どころ
TV版2期といえば、2年生の過去の事件や、顧問である滝先生の過去など重要な話が多くあります。しかし、本作ではそれらの話をカットし、久美子とあすかの話に焦点を置いた編集が行われました。
故に、本作の見どころは「田中あすか」という人物の描写です。
劇中では至る所にあすかのシーンが追加されており、「田中あすか」がどのような人物であるのかが丁寧に描写されています。そのため、原作や本編ではやや不足しがちだった「特別でも何でもない田中あすか」の姿がより鮮明になっているのです。
もちろん前作同様に声は新規取りおろし。ダイナミックな迫力ある演奏シーンにも磨きがかかっています。2期を履修している方でも新しい発見を得ながら視聴することができるのが本作です。
劇場版『リズと青い鳥』のあらすじ
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劇場版『リズと青い鳥』は、『響け！』シリーズのスピンオフ作品として製作されたアニメ映画です。
――私ならずっと、青い鳥を籠に閉じ込めておく。
北宇治高校が全国出場の夢を見てから1年後の春。新学期がきて在校生は学年が上がり、部には北宇治の噂を聞きつけた有望な新入生が多数入部してきました。
そんな中で今年のコンクールの課題曲に選ばれたのが「リズと青い鳥」。同名のおとぎ話をモデルにしているというこの曲は、第3楽章にあるフルートとオーボエの掛け合いが鍵となる難関曲でした。
フルートのエース・傘木希美。オーボエのエース・鎧塚みぞれは中学時代からの友人同士。2人でこの曲が吹けることを喜び合います。
しかしみぞれは、第3楽章のテーマでもある「愛ゆえの決断」が理解できずスランプに陥ってしまいます。自分なら何があろうと友人を手放したりしない。独占欲じみた想いが、曲の解釈を邪魔していたのです。
一方で希美は、みぞれが音大を受けるという話を聞いて思わず息を詰まらせます。その時、胸に沸き起こった感情を理解することもできずに、2人の関係はぎくしゃくしてしまい――
2人が本当の意味で「リズ」と「青い鳥」の関係を理解した時、北宇治の音楽は新たなステージへと駆けあがります。
劇場版『リズと青い鳥』の見どころ
劇場版『リズと青い鳥』は原作小説の第二部『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第2楽章』を元にした完全新作アニメとして公開されました。本来は久美子の視点で繰り広げられる物語を、希美とみぞれの視点として大胆アレンジ。それによりコンクールの結果よりも、2人の関係性を主軸にした全く別の作品へと仕上がっています。
みどころはもちろん主人公である希美とみぞれの関係です。
さばさばした性格の希美と、彼女に依存気味のみぞれ。それが『リズと青い鳥』の第3楽章の物語と重ね合わさり、これまでのシリーズにはない独特の淡い雰囲気を作り出しています。
部活に友人関係、そして進路といった高校生らしいテーマの中でやや屈折した感情が交差するさまは、この作品ならではの持ち味と言えるでしょう。
劇場版『響け！ユーフォニアム～誓いのフィナーレ～』のあらすじ
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劇場版『響け！ユーフォニアム～誓いのフィナーレ～』は、『響け！』シリーズの最新作として製作された劇場版アニメです。
――がんばるってなんですか？
北宇治に春きて、大勢の新入生を加えた「新生北宇治吹奏楽部」がスタートしました。新たに「全国大会金賞」を目標に気持ちを高ぶらせる中で、久美子は1年生の指導担当を任されます。
いまや「強豪・北宇治」となった吹奏楽部の新入生は一癖も二癖もある子ばかり。次第にぎくしゃくしてしまう人間関係に久美子は頭を悩ませます。
一方、そんな久美子にも別の意味で春がやってきます。幼馴染の秀一と付き合うことになった彼女は、他の部員たちの目を盗んでささやかな青春を楽しんでいました。しかし久美子に首ったけな秀一と、今は部活に集中したい久美子との間には次第に温度差が生まれ始めます。
そんな中、今年もオーディションの時期がやってきます。久美子には昨年の実績があるとはいえ、決して気を抜くことができません。1年間みっちり北宇治の練習に耐えて腕を上げた先輩の中川夏紀。そして1年生の有望株・久石奏とのパート争いが控えているのです。
奏は礼儀正しく、けれどもちょっとスレた一面を持った久美子にとって可愛い後輩です。しかし彼女は「オーディション」にかつての久美子と同じトラウマを抱えているようで――
部活に恋に人間関係に。2年生という板挟みの学年でますます苦労する久美子の1年が始まります。
劇場版『響け！ユーフォニアム～誓いのフィナーレ～』の見どころ
劇場版『響け！ユーフォニアム～誓いのフィナーレ～』は原作小説の第二部『北宇治高校吹奏楽部、波乱の第2楽章』を元にした完全新作アニメとして公開されました。
先の劇場版『リズと青い鳥』とは裏表の物語となっており、どちらが前後編というわけでもなく、2つ合わせて『響け！ユーフォニアム』の第二部の物語として構成されています。
最大のみどころはなにより、人間関係であっちにこっちにと大忙しの久美子です。
主に大変なのは新入生たちの面倒ではありますが、それに加えて今年が最後のチャンスとなる3年の夏紀、同じ新入生担当になった加部ちゃん先輩、そしてここに来て一気に距離を詰めた秀一と、久美子の前には否応なしに関わらなければならない人たちであふれかえっていくのです。
1年の時に見事な立ち回りで裏から部を支えた久美子でも、流石にパンクしてしまいそうな様子に心が痛みます。しかしそれでも真っすぐに向き合う「素直」な彼女の姿に、きっと元気を貰うことでしょう。
『響け！ユーフォニアム』の総まとめ
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2019年に新作劇場版が公開され、ますます盛り上がる『響け！ユーフォニアム』。吹奏楽部という複雑な人間関係の中で、ひたむきに夢を追う久美子たちの姿は輝かしいばかりです。
今回、ここでまとめた魅力もほんの一握りでしかありません。本編に直接は描かれていないながらも、内々で展開されている部員ひとりひとりの物語。みんな性格もバラバラだけれど、同じ目標をもってひとつの曲を作り上げていく姿に多くのファンが胸を打たれているのだと感じます。
既に視聴済みのファンの方も、これから視聴すると言う方も、ぜひどっぷりと『響け！』ワールドに浸ってみてくださいね。そして来る第三部『決意の最終楽章』をお楽しみに！
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