サンライズが世界に誇るアニメーション『機動戦士ガンダム』シリーズですが、なかでも「宇宙世紀」シリーズには根強いファンが多く存在します。今回は2018年11月に公開された、宇宙世紀シリーズの最新作『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』のあらすじやキャラクター、モビルスーツの魅力などについて迫ります!
今回上映された最新作の『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』は、宇宙世紀シリーズとしては実に27年ぶりの映画作品で、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」の続編にあたる作品でもあります。
脚本を手掛けた福井晴敏氏の原作がベースとなっており、行方不明となっているナラティブガンダムをめぐって、地球連邦軍とネオジオン軍が交戦する展開となっています。
ニュータイプとは何なのか? ナラティブガンダムのパイロットは誰なのか? ストーリーの内容に迫りながらひも解いていきたいと思います。
前作『機動戦士ガンダムUC』の世界で起こったこと【ネタバレあり】
『機動戦士ガンダムNT』の鍵を握る、前作の「機動戦士ガンダムUC」は宇宙世紀0096が舞台となっています。
コロニーインダストリアル7に暮らす、高等専門学校生のバナージ・リンクスは、ある日空から落ちてきた謎の少女オードリー・バーン(ジオン公国のお姫様ミネバ・ラオ・ザビ)を助けることにより、後にラプラス事変と言われる一連の事件に巻き込まれます。
地球連邦政府を転覆させることに繋がる「ラプラスの箱」と呼ばれる箱の中身をめぐり、地球連邦軍と「袖付き」と呼ばれるネオ・ジオン軍の残党とが争うなか、バナージはユニコーンガンダムを父から託され、戦いのなかに身を投じることになります。
戦いの中でたどり着いた箱のありかは、バナージがラプラス事件に関わるきっかけとなったインダストリアル7でした。
地球連邦政府の失墜を目論む、袖付きの指揮官であるフル・フロンタルは、箱の使い方をめぐりバナージと対決、結果バナージはフロンタルを退けます。
一難去ってまた一難。今度は地球連邦政府に対して力を持つビスト財団のマーサは、箱の存在によって長年自分が恩恵を受けていたことが露見されてしまうことを恐れ、地球連邦軍に圧力をかけて、ユニコーンガンダムとバナージを「ラプラスの箱」もろとも一掃することを目論みます。
しかし、それを知ったバナージは、サイコフレームと呼ばれる金属が組み込まれたユニコーンガンダムの発する感応波で、発射されたレーザービームを撃退。
やがて一連の事件は収束します。事件後、ユニコーンガンダムは封印され、のちに解体されたとされていました。
続編・映画『機動戦士ガンダムNT』あらすじ【ネタバレあり】
映画『機動戦士ガンダムNT』は、ラプラス事変から1年後の世界が舞台となっている作品です。
ラプラス事変の重要参考人として、地球連邦軍の手によって移送中であった、ビスト財団のマーサの身柄が何者かの手によって奪われます。
首謀者は、地球連邦軍に大きな影響を持つルオ商会創始者の娘、ミシェル・ルオで、試験中に突然暴走し、消息を絶ったユニコーンガンダム3号機「フェネクスガンダム」の行方を聞き出すことが目的でした。
数週間後、コロニーサイド4宙域において、「不死鳥狩り」と呼ばれる、フェネクスガンダム捕獲の任務を受けていた地球連邦軍の艦艇が、フェネクスと接触し、モビルスーツ部隊で追跡を開始します。
そこへ現れたのは、同じく不死鳥狩りのために現れたナラティブガンダム。ミシェルの幼馴染みでもあるヨナがパイロットを務めるこの機体は、一旦フェネクス捕獲に成功しますが、取り逃がしてしまうことになります。
フェネクスを取り逃がしたヨナが聞いたのは、かつての幼馴染みリタの声でした。一方、袖付きと呼ばれるネオ・ジオンの残党のなかでも、外務大臣モナハンを中心とした一派が不死鳥狩りに乗り出し、ゾルダン大尉の部隊が実行へと移します。
サイド6におけるフェネクスの反応を感知した両軍は、サイド6で接触。即座に交戦へと発展します。
コロニーに被害を出さないように、両軍の兵士が火器の使用を避けているなか、ただひとりゾルダンは発砲を繰り返し、その狂気じみた行為をヨナは必至で止めに入ります。
その渦中にフェネクスがあらわれ、ヨナは再びリタの声を耳にします。
狂気のままに振舞うゾルダンはモビルスーツ「Ⅱ(セカンド)ネオジオング』を稼働させ、自機シナンジュスタインと合体を試みますが、ネオジオングのサイコフレームが共鳴したのは、ヨナの搭乗するナラティブガンダムでした。
想定外の出来事にゾルダンの狂気はますます高ぶります。その後宇宙空間での戦闘へと展開。Ⅱネオジオングと合体し、思うがままの破壊と狂気を繰り返すゾルダン。
ミシェルの操作によりNT-Dモードを発動して挑むナラティブとヨナでしたが、機体がもたず窮地に陥ります。
ミシェルも身を挺して戦い命を散らせるなか、フェネクスのコクピットが開き、ヨナはフェネクスに乗り込み、ゾルダンの撃退に成功します。
フェネクスから放り出されたヨナを救出したのは、バナージ・リンクス。フェネクスが去った宇宙空間を眺めながら唖然とするヨナに向けて、バナージは語り掛けます…。
「今はあの場所に行くことはできないけど、それでも、いつかは……」
映画『機動戦士ガンダムNT』登場人物(キャラクター)全員が被害者!?
映画『機動戦士ガンダムNT』キャラクター・幼馴染みでもあるヨナ、ミシェル、リタの3人
メインとなるのは、幼なじみでもあるヨナ、ミシェル、リタ3人です。オーストラリア疎開中にコロニー落としを予見して的中させたことから、奇蹟の子どもたちと称され、脚光を浴びます。
ニュータイプの登場を予見させるこの事件に注目したのが、ティターンズの強化人間研究者です。
ニュータイプ研究所に入れられた3人は、モルモットのように実験体とされる少年少女たちとともに過ごしますが、やがて引き裂かれてしまいます。
ニュータイプの子供を欲しがるルオ商会へ養女として引き取られたミシェル、さらなる研究材料とされ、後にフェネクスのテストパイロットとなったリタ、研究所の閉鎖後に過去を偽って地球連邦軍に入隊したヨナ…。
劇中にあったミシェルの「選ばれた者と選ばれなかった者」の差が描かれています。
映画『機動戦士ガンダムNT』キャラクター・メンヘラ気味なネオジオン軍のゾルタン
一方で、ネオジオン軍のゾルダンは、フル・フロンタルに続く赤い彗星の再来として強化人間として育てられたものの、失敗作の烙印を押され、そのコンプレックスからか、選ばれなかった者として、サイコパス気味なキャラクターに描かれています。
地球連邦軍、公国軍ともに戦闘員としてのニュータイプを欲し、無理やり子どもを大人の思うように仕立てようとした結果は、「産んだ悲劇」のようにも写り、ある意味全員被害者とも見て取れてしまいます。
映画『機動戦士ガンダムNT』シリーズもうひとつの魅力、モビルスーツについて
映画『機動戦士ガンダムNT』注目のモビルスーツ・ナラティブガンダム
作品のタイトルにもなっている「ナラティブガンダム」は、『逆襲のシャア』でアムロが搭乗するνガンダムよりも前に開発された、サイコフレームで作られた機体です。
試作機として機能していましたが、実戦投入されたのは今回が初めてになります。
とんでもない重装備のノーマルスーツを着用して操縦するうえに、外部からNT-Dを発動させるという「無理やりニュータイプにする」ようなモビルスーツは、ストーリーの終盤であえなく壊れてしまいます。
映画『機動戦士ガンダムNT』注目のモビルスーツ・フェネクスガンダム
ユニコーンガンダム3号機と呼ばれるフェネクスガンダムも、同じくサイコフレームで作られた機体ですが、ユニコーンと同時(?)に作られただけあって、とてつもなく強い機体に設定されています。
黄金の機体に不死鳥のヒラヒラが付き、光の速度で動く…とどめはリタの魂がサイコフレームに入り込んで、パイロットなして動くというトンデモ設定になっています。
映画『機動戦士ガンダムNT』注目のモビルスーツ・シナンジュ・スタイン
ネオジオン軍のモビルスーツで、ゾルダンが搭乗するシナンジュ・スタインは前作『UC』でもフル・フロンタルが搭乗していた機体ですが、機体の色は赤ではなく白銀(?)となっています。
これは赤い彗星になれなかったゾルダンを象徴しているかのようです。
映画『機動戦士ガンダムNT』注目のモビルスーツ・Ⅱ(セカンド)ネオ・ジオング
また、シナンジュ・スタインと合体するⅡ(セカンド)ネオ・ジオングは、『UC』に登場したネオジオングの改良版ですが、こちらも機体の色は赤ではなく、しかもよりによって、敵であるナラティブガンダムと合体してしまいます。
ここでも自分が選ばれ思ものではなかったことに対し、ゾルダンは憤ってしまうのです。
小説版もある『機動戦士ガンダムNT』、映画との違いは?
出典:amazon 出典:amazon今回上映された『機動戦士ガンダムNT』は、脚本を手がけた福井晴敏氏の小説『機動戦士ガンダムUC(11)不死鳥狩り』がベースとなっており、映画化にあたって登場人物や設定を付け加えた作品となっています。
上映作品ではフェネクスが既に暴走して行方をくらませた状況となっていますが、小説版の「不死鳥狩り」のなかでは、試験的に動かしている途中で、フェネクスが暴走したエピソードなどが描かれています。
また、小説版の不死鳥狩りとは別に、小説版の『移動戦士ガンダムNT』もあり、こちらは前述の福井晴敏氏との共著となっています。
映画のストーリー上では省略された「心理描写」などがこと細かに描かれており、劇場版を観てストーリーの内容についていけなかった場合などは、復習の意味で小説版を読み返してみるのもおすすめです。
映画『機動戦士ガンダムNT』まとめ・映画を観てから小説を読んで、ストーリーを完全把握!
出典:amazon『機動戦士ガンダム』から続く、宇宙世紀シリーズの27年ぶりの劇場公開作品となる本作品は、『Gのレコンギスタ」を手掛けた吉沢俊一氏が監督を務め、脚本はベースとなった作品の原作者・福井晴敏が手掛けています。
上映時間が限られているため、ストーリーの展開が早く、映画だけを観た人のなかには「話についていくのがやっと」という声も聞こえています。
一方で映画を観た後で、小説版『機動戦士ガンダムNT』を買い求め、読んでみたところ、ストーリーを反芻することによって理解できたといった声も多数存在します。
前述したように、心理描写があってこそ、セリフの言い回しが解るシーンもありますので、より深く物語を理解したいのでしたら、映画を観たのちに小説版を読んで『機動戦士ガンダムNT』の世界観を深め、ストーリーを深掘りしていくのはいかがでしょうか?
当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。
合わせて読みたい
このニュースに関連する作品と動画配信サービス
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode1ユニコーンの日
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode2赤い彗星
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode3「ラプラスの亡霊」
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode4「重力の井戸の底で」
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode5「黒いユニコーン」
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode6「宇宙と地球と」
動画が配信されているサービス一覧
【EST限定】機動戦士ガンダムUC episode7「虹の彼方に」
動画が配信されているサービス一覧