2017年1月に公開される香港映画「ホワイト・バレット」。この作品の監督であるジョニー・トーは世界中の映画マニアから高く評価されている。この記事では、日本でも人気が高いジョニー・トー映画の魅力を解説しよう。
ジョニー・トーとは
1955年、香港生まれの61歳。
1979年のデビュー以来、その監督作品は30をゆうに越える。
更に、自身が立ち上げた制作会社「銀河有限公司」を経由してのプロデュース作品を含めれば、その作品数は50に迫るだろう。
海外からの評価も高く、2005年の監督作品「エレクション」はカンヌ国際映画祭のパルムドール候補にもなった。
また、ゆうばり国際映画祭や大阪アジアン映画祭など、度々来日していることでも知られている。
枠に囚われない多彩なジャンルへの挑戦
ジョニー・トー監督作品の魅力として、まず手がけるジャンルの幅広さが挙げられる。
「ザ・ミッション」や「エグザイル~絆~」などのクライムアクションは序の口。
「ワンダーガールズ東方三侠」のようなカンフーアクション、「ターンレフト・ターンライト」や「僕は君のために蝶になる」のようなラブコメディも得意中の得意。
更には、「柔道龍虎房」のような青春映画に「アンディ・ラウの麻雀大将」のようなギャンブルコメディ、更には「奪命金」のような社会派も監督しており、その幅広さは香港髄一といってもよい。
このジャンルの膨大さのおかげか、香港における彼のファン層もまた、老若男女を問わないようだ。
一切のムダを廃した濃密な内容
ジョニー・トーの監督作品は、とにかく上映時間が短い。
ハリウッドや日本映画が120分を優に超えるのに比べ、
彼が手掛けたほとんどの作品は90~100分ほどで見終えることができる。
上映時間が短いというのは、内容が薄いということではなく、不必要な展開がないということだ。
必要以上に長すぎる登場人物の心理描写や、不自然に展開されるアクションといったような無駄なシーンがジョニー・トー作品においてはほとんどない。
そのため、その短い時間に関わらず、映画の内容自体はむしろぎっしりと濃縮されていて、十二分に楽しむことができる。
観るものを引き付ける奇想天外な設定
また、ジョニー・トー作品においては、他の映画に観られない奇抜な設定がしばしば用いられる。
たとえば2005年の「エレクション」は、遙か昔から続く裏組織の後継者争いを描いた作品である。
この作品においては「伝統的な香港マフィアは銃を使わない」という噂に則り、劇中において銃が一切効果的に使用されない。
そのため、鉈などの刃物や、素手による暴力を中心とした、いかにも痛々しいバイオレンスシーンが盛りだくさんとなり、クライム・アクション映画のファンからの高い支持を得た。
ベルリン国際映画祭でコンペティション部門で上映された「スリ 文雀」は、三人の貧しいスリを主人公としたいわゆる人情話だが、その劇中後半において「スリ合戦」なるものが展開される。
ある人物が横断歩道を渡りきるまでに、ボディーガードの妨害をすり抜けながらその懐に入った財布を盗むというもので、静かながらも迫真に満ちた映像で繰り広げられるその戦いの描写が高く評価されている。
2008年の香港電映金像奨で最優秀脚本賞を受賞した「MAD探偵」には、なんとも型破りな主人公が登場する。
彼は人の内面を見抜き、物などに触れたり壊したりすることによってそこで起きた過去のできごとを追体験するという超能力者。
だが、その能力ゆえ多大なストレスを抱えた結果、精神に異常をきたし、上司の前で自分の耳を切り落とすなど狂った行動を繰り返すようになってしまう。
彼の行動がその能力で見通した真実なのか、あるいは狂気ゆえの錯覚なのか、その境界線はあえてあやふやに描かれる。
何が真実か、あるいは妄想なのか、鑑賞しているこちらですら惑わされるようなこの作品のストーリー、そして狂気の超能力者たる主人公の言動は、一見の価値ありだ。
最新作「ホワイト・バレット」はどんな作品?
2017年1月に日本公開される「ホワイト・バレット」は、病院の一室を舞台としたクライム・サスペンスだ。
抗争相手から頭に銃弾を撃ち込まれ、重傷を負いながらも脱走を試みようとする凶悪犯の男と、彼を手術しようと説得を続ける女医、そしてそれを見張る刑事。
そこに男の抗争相手がトドメを刺すべく襲撃を仕掛ける。
病院という場所で、立場も身分も異なる登場人物たちはどのようなドラマを繰り広げるのか、注目の一作だ。
キャストは「ドラッグ・ウォー 毒戦」のルイス・クーに「レッドクリフ」のヴィッキー・チャオ、「シークレット・ガーデン」のウォレス・チョン。
ジョニー・トー作品の常連としてファンから愛されているラム・シューももちろん登場。
まだジョニー・トー映画を観たことがない方も、大ファンの方も是非劇場へ足を運ぼう。
参考元
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