『名探偵コナン 漆黒の追跡者』はコナンと黒の組織が真っ向対決！ キャスト・見どころを解説

『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』はどんな映画？

みなさんご存じのように、劇場版「名探偵コナン」のタイトルには「漢字で書いてカタカナで読ませる」言葉がたびたび使われます。本作『漆黒の追跡者』もそのままではなく「しっこくのチェイサー」と読みます。

「チェイサー(Chaser)」とは「追う者」、「追跡者」という意味ですが、ほかにウイスキーなどの酒を飲んだすぐ後に飲む口直しの水のことも「チェイサー」と言います。酒の名前をコードネームに用いる黒の組織とコナンの、追いつ追われつの関係を表しています。

コナンと黒の組織との対決を描く『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』について、さらに詳しく見ていきましょう。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』作品情報

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の制作スタッフとデータをご紹介します。

監督：山本泰一郎
脚本：古内一成
原作：青山剛昌
音楽：大野克夫
撮影：野村隆
編集：岡田輝満
制作：トムス・エンタテインメント
公開：2009年4月18日
上映時間：110分

監督は劇場用第8作『銀翼の奇術師（マジシャン）』以来、継続して監督を務める山本泰一郎、脚本はテレビシリーズを合わせて最古参の古内一成です。制作は一貫してトムス・エンタテインメント。一定のクオリティを維持しています。

上映時間110分というのは、歴代の劇場版「名探偵コナン」のなかでも長めです。充分な尺を取って、最大の敵との対決をじっくりと描いています。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』あらすじ

東京・神奈川・静岡・長野にまたがる広域連続殺人事件が発生。いずれの事件現場にも裏面にアルファベットらしき文字が刻まれた麻雀牌が死体のすぐそばに残されていたことから、同一犯によるものと考えられます。警視庁では各県警の刑事を招集して合同捜査会議を開き、特別顧問として毛利小五郎を迎えました。

最も最後に殺害された6人目の被害者が残した「七夕、きょう」という言葉の意味、麻雀牌の意味、被害者の持ちものが1点ずつ持ち去られていること、さらに被害者6人が持つ共通点など、事件には多くの謎が絡み合いながら残されています。小五郎の服につけた盗聴器を通して会議を聞いていたコナンも通路の椅子にすわりながら腕組みで唸ります。

会議が終わって会議室から出てきた小五郎とともに蘭とコナンは、広域事件捜査のトップである松本警視と通路で少々、立ち話をします。そこに群馬県警の山村警部が鼻唄を歌いながら登場。その鼻唄は「七つの子」…この曲に聞こえる電話のプッシュ音を立ち寄ったトイレで聞いたのだと山村から聞き、コナンは慌てて建物の外へと走ります。

「七つの子」に聞こえるプッシュ音は、黒の組織のボスのメールアドレスをプッシュしたときの音です。黒の組織の何者かが刑事に変装して捜査会議に紛れ込んでいたのでしょう。それらしき刑事を追いかけますが、刑事はコナンの目の前で黒いポルシェ356Aに乗り込み、去ってしまいました。「黒いポルシェ356A」は、ジンの愛車と同型のめずらしい車です。

七夕に何かあると目していたところ、その前日である7月6日に米花町に容疑者の1人が現れるという情報が入ります。合同捜査会議の面々が米花町のショッピングモールで張り込んでいたところ、容疑者が刃物を取り出し無関係の市民を人質に取ってしまいます。コナンの機転で容疑者は取り押さえられましたが、人質となった女性はいつの間にかどこかへ去ってしまいました。

女性はベルモットが変装した姿でした。それを見抜いていたコナンは女性の後を追い、広域連続殺人事件に黒の組織が関与しようとするのはなぜかを問います。ベルモットが言うには、広域事件の被害者にはNOC(Non Official Cover)、つまり一般人を装った組織の工作員がいてNOCリストが入ったメモリーカードを所持していたのですが、広域事件の犯人によって殺害され、メモリーカードは持ち去られてしまったのでした。

NOCリストは極秘情報。早く取り戻さなくてはなりません。黒の組織は警察より早く犯人を捕らえてメモリーカードを取り戻すため、合同捜査会議に「アイリッシュ」というコードネームの人物を、刑事の誰かに変装させて潜り込ませていました。そのアイリッシュは同じ頃、警察のデータベースに侵入して江戸川コナンのデータを見て、さらに独自に入手したコナンの指紋と工藤新一の指紋を照合して、「江戸川コナン＝工藤新一」と確信していました。

そして新たな被害者が。街で偶然見かけた「京都」のポスターにひらめいて服部平次に連絡を取るコナン。過去に京都で起きたホテル火災について捜査を依頼します。そこで突きとめられる新事実。警察・黒の組織も追って事実に近づきます。

星が好きだった人物、北斗七星、星に近い場所。その情報に導かれた先は東都タワー。広域事件の犯人が、コナンが、警察が、そして黒ずくめの男が、日没に東都タワー展望台に集まります。どうなる事件の行方…！

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』のメインは黒の組織!?

『漆黒』とタイトルにある通り、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』は、「黒ずくめの男」ことジンやウォッカら黒の組織が大きく動くストーリーです。黒の組織が動くということは、『名探偵コナン』のストーリーの重要な部分が動くということです。劇場版『名探偵コナン』の中でも見逃せない1作です。

本項では黒の組織に関する『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の見どころを3つ、ご紹介しましょう。

★「黒の組織」のボスは？　彼らの目的とは？★

『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』の見どころ①：黒の組織は映画恒例のオープニングも途中でぶった切る

みなさんご存じの「俺は高校生探偵・工藤新一」からはじまる劇場版『名探偵コナン』のオープニング。「名探偵コナンメインテーマ」に乗せて、新一とコナンのナレーションがこれまでのあらすじや主な登場人物、阿笠博士の発明品などを紹介します。

これまでの劇場用作品ではナレーションによる紹介がすべて終わるまで、BGMに「名探偵コナンメインテーマ」が流れていたのですが、『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではそれが不気味なカラスの鳴き声で途切れてしまいます。闇に浮かぶ黒い影。黒の組織のジン、ウォッカ、ベルモット、キャンティ、コルンらの姿と名が観客に知らされます。

また、シェリーとその両親、姉の宮野明美についての言及もあります。さらにベルモットが黒の組織のボス「あの方」のメールアドレスを知っていて、携帯電話でプッシュすると「七つの子」のメロディになることも、劇場版ではじめて紹介されました。

いつもは紹介される少年探偵団や阿笠博士の発明品については、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではなんと省略です。黒の組織の動きが中心に描かれるということが、上映開始間もなく明らかにされるという構成になっています。

★「黒の組織」の組織図とは？★

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の見どころ②：暗躍するベルモット

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』のストーリー上、ベルモットが具体的に行動したのは、ストーリー前半の米花町のショッピングモールでわざと容疑者の人質になった場面だけでした。そのときもまったく別の女性に変装していましたが、今回のストーリーではこの変装術が黒の組織の動きの要となりました。

警視庁が招集した広域連続殺人事件の合同捜査会議に潜入したアイリッシュの変装も、ベルモットの技術でなされたもの。最初の合同会議のときにはアイリッシュがうまく潜入できているかを確認するため、自らも刑事になりすまし、警視庁内に潜入するという大胆さです。

アイリッシュがある刑事になりすましている間、ほんもののその人物はとある場所に幽閉されていましたが、近くの駐車場には大型のバイクがずっと停車していました。ベルモットのバイクです。幽閉された刑事は身動きが取れないように身体を縛られていましたが、食事は定期的に与えられていたようです。

その食事の世話や見張りは、直接の描写はありませんが、どうやらベルモットがしていたもよう。刑事の居場所が突きとめられ、警察が来た頃に駐車場のバイクで走り出す姿がありました。ベルモットは少し地味な役まわりでしたが、彼女の働きあってこその潜入劇でした。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の見どころ③：ジンとは敵対・傑出した手ごわさのアイリッシュ

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』で初登場の黒ずくめの男・アイリッシュ。独自の捜査で「江戸川コナン＝工藤新一」という事実にたどりついた初めての人物です。そういった明晰さがあると同時にがっしりとした身体と強面の持ち主でもあり、この男でなければ「あの刑事」には変装できなかったということがよくわかる人物です。

「江戸川コナン＝工藤新一」に気づいていながら、アイリッシュはある理由からジンに怨恨があるためこれを知らせず、コナンを捕らえて直接「あの方」に合わせようと目論みます。刑事らが集結する東都タワーに現れますが、たったひとりで7人いた刑事をすべて気絶させ、ナイフをかざして襲ってきた広域事件の犯人もあっと言う間に鎮圧。

自ら空手の「達人」と呼んだ毛利蘭を相手に格闘・圧倒し、コナンとの対峙ではキック力増強シューズとどこでもボール射出ベルトを使用不能にしてしまうという無敵振りです。メモリーカードを手に入れたアイリッシュは悠々とジンと落ち合うはずでしたが…この後の展開がアイリッシュの人気をさらに強めています。その顛末は、ぜひ映像で確かめてください。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』注目のキャスト

『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』にはおなじみのキャストも珍しいキャストも出演しています。本作で注目を集めた人物、本作で幕を引いた人物もいます。ここではそれらのキャストをご紹介します。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』が最後の出演声優／神谷明・加藤精三

毛利小五郎役の神谷明は、劇場版「名探偵コナン」シリーズへの出演が本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』が最後の出演となりました。2009年9月の突然の降板発表に驚いた人も多かったでしょう。

テレビアニメシリーズにおいての神谷演じる小五郎の出演は、2009年9月26日放送の第548話「犯人との二日間（二日目）」をもって最後となり、その後本作まで『名探偵コナン』で神谷の声を聞くことはありませんでした。

また、加藤精三も本作が『名探偵コナン』最後の出演でした。加藤は松本清長警視を演じていましたが、2014年に膀胱癌で亡くなったため、それ以降の出演がありません。加藤の出演回ではありませんでしたが、2014年2月8日のテレビシリーズ第729話「ダイヤと絵画と大女優」放送終了後に、10日違いで亡くなった永井一郎（鈴木次郎吉役）とともに名を連ねた追悼テロップが流れました。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』で活躍の女性声優／井上喜久子・折笠富美子

「井上喜久子、17歳です！　おいおい！」で有名な「17歳教」教祖の井上喜久子の仕事は職人技です。テレビシリーズから担当している、非常にアッパーでハイテンションなキャンティという役をパワフルに演じます。

黒の組織のスナイパーであるキャンティの出番は特に多くはないのですが、その役割は重要。ちょっとイカれた狙撃大好き女性のインパクトを突きつけてきます。

一方、『銀魂』の柳生九兵衛や『聖闘士星矢』の城戸沙織など、個性の強い役を自在にこなす折笠富美子は、『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』ではストーリーの要とも言える存在、本上なな子を演じました。

天真爛漫で星が好きというなな子は人一倍やさしい女性でもあり、そのやさしさが悲劇のきっかけともなってしまいました。折笠はそんな彼女のはかなげな様子を巧みに表現しています。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の犯人役？　ゲスト声優のDAIGO

本上なな子の恋人で、彼女が亡くなる直前まで同棲していた青年・水谷浩介を演じたのは、ゲスト声優のDAIGO。3ピースバンド・BREAKERZのボーカリストでタレントとしても人気の彼が満を持しての登場です。アニメ作品の出演もたびたびで慣れた感がありますが、実は本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』がDAIGO初めてのアニメ出演です。

これ以前は洋画の吹き替えの仕事はありましたが、アニメはこれがはじめて。また、本作に続いていくつかのアニメに出演することになったのでした。声優ではない者がアニメ声優を務めることに否定的な人は多いようですが、少し気弱で穏やかな性格ながら事件の容疑をかけられる浩介の役を、DAIGOは違和感なく演じています。

劇場版「名探偵コナン」シリーズでは例年、ゲスト声優を迎えて重要な役を配していますが、その最初が本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』です。DAIGOは記念すべきその第1号というわけです。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』の登場人物

ここでは『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』に登場する主なキャラクターについて、簡単に解説します。いつも登場する人物、めずらしく登場した人物、本作のみのゲストキャラクターなどがいますが、それぞれにストーリーに関わる役割を担っています。

メインキャラクター

メインストーリーに関わる中心人物と、それに関係する人物たちです。この人たちの動向がストーリーを大きく動かしていきます。

江戸川コナン

ご存じ『名探偵コナン』のタイトルロール、主人公です。高校生探偵・工藤新一が黒の組織が開発したAPTX4869という薬で身体が縮んでしまい、もとの姿に戻るまでの間「江戸川コナン」と名乗ってしのいでいるのです。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では正体が工藤新一であることが黒ずくめの男に知られてしまい、これまでにない窮地に陥ります。このピンチをどう乗り切るのかが本作の見どころです。

工藤新一が「江戸川コナン」に姿に変わった理由は…テレビアニメ『名探偵コナン』第1話を観て確認しましょう！

毛利蘭

工藤新一の幼なじみで、コナンが居候する毛利小五郎宅の長女です。コナンの保護者であり、コナンが一番に守り通そうとする相手でもあります。劇場版では毎回、特技の空手を駆使したアクションを披露しますが、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』でもその強さは健在。しかし、思わぬ強敵にやや苦戦してしまいます。

★蘭ちゃんが愛されるワケとは？★

毛利小五郎

世間では「名探偵」ということになっている、通称「眠りの小五郎」。その実態はコナンに麻酔銃で眠らされている間に小五郎を装って推理を披露し、事件を解決に導くコナンに名探偵に仕立て上げられた「迷探偵」。たまに眠っていないこともありますが、そのときもコナンのヒントや誘導によって真実に近づいていくのです。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では合同捜査会議の顧問として招かれ、懸命に推理しますが、見事にミスリードの先頭に立ってしまいます。その結果やいかに？！

阿笠博士

工藤新一の家の隣に住む発明家。珍妙な道具をたびたび作り出しますが、少年探偵団の面々には遊び道具としてよろこばれています。また、身体が小さくなってしまった新一＝コナンの能力を補うための「秘密道具」も開発。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』でも新しい道具が大活躍します。

★天才！　阿笠博士の発明品一覧はこちら★

小嶋元太／円谷光彦／吉田歩美

小学校に通うコナンの同級生たち。大柄で食い意地が張った元太、知識が豊富な秀才肌の光彦、正義感が強い女の子の歩美の3人は、冒険や謎解きが大好きな仲よしグループ。コナンや灰原哀をも仲間に「少年探偵団」を名乗っています。

阿笠博士とともに新しい発明品を使ったり情報収集に当たり、コナンの推理の手助けや、ときにはピンチから救うなど大いに役立つ子供たちです。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』でも大手柄をおさめています。

灰原哀

黒の組織でAPTX4869という毒薬を開発していた科学者で、コードネームはシェリー。やはり黒の組織の一員として活動していた姉の宮野明美が使い捨てられたことで組織に反発して拘束され、自殺するつもりでAPTX4869を飲んだのですが、工藤新一同様に身体が縮んでしまいました。

阿笠博士に保護され、現在は「灰原哀」と名乗ってコナンと同じ小学校に通いながらAPTX4869の解毒剤の開発に取り組んでいます。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではコナンの正体が黒の組織に知れてしまったのではとの危惧し、危険を冒すコナンを叱りつける場面も。

★灰原哀がいた「黒の組織」とは？★

灰原哀ちゃんの初登場は第129話「黒の組織から来た女　大学教授殺人事件」

服部平次

「西の高校生探偵」と呼ばれる、工藤新一のライバル。コナンの正体を知っている数少ない人物の1人です。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではコナンから京都で起きたある事件について調べてほしいという依頼を受けて捜査に走ります。

詳しい事情は聞かないものの、コナンが窮地に立ったことを察して、何気なく「美味しいお好み焼き屋さん見つけたんや、今度遊びに来いや」と誘った後に「絶対やで」とつけ加えて注意を促すということをしています。平次とコナンはライバルであると同時に親友でもあるのだなと感じられる1シーンです。

★平次が活躍する作品はこちら★

服部平次が初登場するのは第48話「第48話 外交官殺人事件（前編）」！

遠山和葉

平次の幼馴染みでクラスメイト。だいたい平次と一緒にいます。合気道部に所属していて有段者。蘭と同様、実戦で戦える少女ですが、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では特にストーリーには深くは絡みません。しかし、平次が謎解きのキーとなる「おととし京都で大火事があった」ことを思い出すきっかけを与えたのは和葉でした。

鈴木園子

蘭の幼馴染みで同級生。鈴木財閥の令嬢で、伯父の次郎吉が怪盗キッドに対抗心を燃やしているため、キッドが登場するエピソードにはよく登場します。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではストーリーには特に関係しませんが、終盤で偶然テレビに映ったコナンの姿を見て蘭に連絡し、蘭が東都タワーへ向かうきっかけをつくります。

また、事件が落着した後、戦い傷ついた蘭をいたわる大切な役割を負っています。蘭の親友であり、こうしたフォローを担い観客を安心させてくれるのが園子というキャラクターです。

★園子の恋模様が描かれた作品とは？★

黒の組織

『名探偵コナン』という物語において、また、コナン＝新一の最大の敵である国際犯罪組織。それが通称「黒の組織」です。構成員が黒ずくめの服装のことが多いため、このように呼ばれていますが、正式な名称は不明です。

組織のボスも「あの方」とだけ呼ばれていて、何者かは不明。ボスの配下は酒の名をコードネームに持ちます。コードネームを持つ者たちから、本稿では『名探偵コナン 漆黒の追跡者』に登場する6人を紹介します。

★「黒の組織」のボス…「あの方」とは？★

ジン

黒の組織の実動部隊の頂点。「あの方」にかなり近い位置にいて、直接やり取りできる立場にあります。工藤新一にAPTX4869を飲ませた人物であり、それによって新一は死んだものと思っています。

冷酷・残忍な面を持ち、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』でも同じ組織の仲間をかなりひどく扱っています。

ベルモット

黒の組織の幹部。「あの方」のメールアドレスを知っていて、直接メールを交わしています。ワルサーPPKやコルト・ベスト・ポケットなどの小型の拳銃をよく使い、ハーレーダビッドソンを移動に使います。

過去にニューヨークで新一と蘭に遭遇したことがあり、そのときの新一の言動から2人を黒の組織の目論みに巻き込みたくないと考えるようになりました。また、コナンの正体にも薄々気づいていて、「組織に対するシルバーブレットになる」と期待しています。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』でも終盤にそのようなセリフを口にします。

ファクト
コナンの正体にも薄々気づいていて：
ベルモットの口からは「コナン＝新一」という言葉は出てきたことはありません。
しかし、原作単行本42巻FILE.5でベルモットから「工藤新一」宛ての招待状が届きます。第1話で工藤新一はジンに殺害されたことになっているのに手紙を出すということは、生きていると確信があるということと考えるのが妥当です。
同じく42巻FILE.10でベルモットは「彼ならなれるかもしれない（中略）シルバーブレットに」とコナンの描写にかぶせて言っています。
原作42巻FILE.5～FILE.10に相当するエピソードはアニメ345話の2時間SPです。

ウォッカ

概ねジンと一緒に行動している黒の組織の幹部。張った顎とがっしりした体格が特徴。ジンを「兄貴」と呼んで慕いますが、血縁はなさそうです。ジンに比べて情がある様子も見られます。

ジンの手足となって銃器や自動車、ヘリコプター等の乗りもの、IT機器の操作などあらゆるものを扱う能力を持っています。しかし詰めが少々甘く、コナンに出し抜かれることもしばしばです。

キャンティ／コルン

黒の組織の腕利きスナイパーの2人です。キャンティは左目の周囲に蝶のタトゥーを入れていて、口紅は紫色の派手な装い。テンション高く下品なもの言いをします。コルンは野球帽とサングラスでほとんど顔が隠れていて、口数も少なく、地味でおとなしい人物です。

このように対照的な2人ですが、彼らは2人とも移動中の乗りものの中から小さな目標を正確に狙撃できる腕の持ち主です。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では走る自動車のタイヤを撃ち抜いてパンクさせたり、ホバリング中のヘリコプターからピンポイントの狙撃を成功させたり、精密な射撃を見せます。

アイリッシュ

長身で筋骨たくましい体格の男。ジンと対等に口を聞きますが、敵意を持っています。黒の組織のNOCリストが入ったメモリーカードを回収するために、警視庁の広域連続殺人事件の合同捜査会議に潜入します。

単独で「コナン＝新一」の事実を突き止めたり、警察内部で広域事件を解決に導くべく捜査を進めるなど、優れた人物であると同時に、格闘にも長けます。体格に見合って生命力も強く、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』終盤の展開は、銃撃を受けてもなお意識を保つ彼が主役と言っていいほどです。

ファクト
「単独で～銃撃を受けてもなお意識を保つ」の部分は『漆黒の追跡者』の内容そのまま（事実）です。
「彼が主役と言っていいほどです」は私の主観です。

警察官は各県警オールスター

『名探偵コナン』は事件の積み重ねで進んでいくストーリーです。事件が起きるのは米花町や杯戸町だけでなく、日本各地で起きる事件にコナンらはたびたび関わります。そのとき登場するのは地元警察。その土地土地の刑事が捜査に当たります。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では関東方面の各県警から刑事が集合。合同捜査が展開されます。本項では警視庁に集まった刑事たちを紹介します。

目暮十三

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属。階級は警部。でっぷりとした体型に口ひげ、茶色いコートにソフト帽というお決まりのスタイルで現れる、お馴染みの警部です。毛利小五郎の元上司。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』でも事件捜査の中心にいますが、容疑者確保の際に襲われた上原刑事をかばってナイフで腹を刺されてしまいました。しかし、皮下脂肪が厚かったおかげで大事に至らずにすんでいます。

目暮警部の秘密が描かれているのは第217話「封印された目暮の秘密 （前編）」

佐藤美和子

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属。階級は警部補。きびきびとして洞察力も鋭く、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では警察官で唯一、合同捜査会議に参加した刑事の中に外部からの潜入者がいることを疑いました。

モテ女佐藤刑事の恋模様が描かれているのは第146話「本庁の刑事恋物語（前編）」

高木渉

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属。階級は巡査部長。佐藤刑事に想いを寄せる若手刑事です。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では佐藤刑事と行動をともにすることが多く、一時は疑った佐藤の判断を土壇場で支持し、その後の行動の責任を自分が取ると言い切る男気を見せました。

高木刑事の見せ場があるのは第304話「揺れる警視庁 1200万人の人質」

白鳥任三郎

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属。階級は警部。キャリア組のエリートです。すらりとした長身ですが、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では小五郎から「太ったんじゃねえか？」と言われてしまいました。合同捜査会議の進行役をしていますが、本作での働きは少々地味です。

白鳥任三郎の初登場は第146話「本庁の刑事恋物語（前編）」

千葉和伸

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属。階級は巡査部長。ぽっちゃり体型の若手刑事ですが、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』ではコナンから「少しやせたんじゃない？」と言われています。ダイエットをしているらしいです。

ぽっちゃり千葉刑事の初登場は第253話「本庁の刑事恋物語４ （前編）」

大和敢助

長野県警察刑事部捜査一課所属。階級は警部。左目の上に２本の傷が交わっていて、そちらの目は見えません。また、職務中の事故のため身体を傷め、杖をついて歩いています。乱暴なもの言いをしますが推理鋭い敏腕刑事です。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では広域事件の現場のひとつが群馬県と長野県の県境だったため、上原刑事とともに合同捜査に加わっています。

大和敢助の初登場は第516話「風林火山 迷宮の鎧武者」

上原由衣

長野県警察刑事部捜査一課所属。階級は不明。大和敢助の幼なじみであり部下。幼いころからのくせで職務中でも大和を「敢ちゃん」と呼んでしまい、叱られることも。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では大和とともに合同捜査に加わります。米花町に現れた容疑者のひとりにナイフで切りつけられるという危機にさらされますが、寸前のところで目暮警部に助けられました。

上原由衣の初登場は第516話「風林火山 迷宮の鎧武者「」

横溝参悟

静岡県警察刑事部捜査一課所属。階級は警部。天然パーマらしく髪型がふわふわとサンゴのようなかたちをしています。もともとは埼玉県警にいましたが、後に静岡県警に異動しました。

小五郎の大ファンで「眠りの小五郎」を見られないと残念そうにすることもあります。声が大きく張りがあるため、うるさがられることもしばしば。神奈川県警の横溝重吾警部の双子の兄です。

横溝兄の初登場は第9話「天下一夜祭殺人事件」

横溝重吾

神奈川県警察刑事部捜査一課所属。階級は警部。姓は横溝。ここまでは静岡県警の横溝警部とまったく同じですが、髪型が違います。静岡県警の横溝はふわふわした髪ですが、こちらの横溝は丸刈りで顔立ちはほぼ同じなのに強面に見えます。

静岡県警の横溝警部の双子の弟ですが、兄とは対照的な性格で、多少乱暴な面もあります。兄と違って声は張らずに話しますが、声は同じ大塚明夫が演じています。

横溝弟の初登場は第284話「中華街 雨のデジャビュ(前編)」

綾小路文麿

京都府警察刑事部捜査一課所属。階級は警部。劇場版第７作『名探偵コナン　迷宮の十字路（クロスロード）』で初登場した、通称「おじゃる警部」です。白鳥警部と同じくキャリア組でしかも同期ですが、お互いに敬遠し合っているようです。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では警視庁からの依頼で、過去に京都で起きた火災について調査をするという大事な役を担いました。

綾小路文麿がテレビアニメ『名探偵コナン』に初登場するのは第694話「消えた老舗の和菓子」

山村ミサオ

群馬県警察刑事部捜査一課所属。階級は警部に昇進したばかり。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では序盤から警部に昇進したことを自慢げにしていますが、コナンに「群馬県警のヘッポコ刑事」と呼ばれてしまうほど推理力の頼りない刑事です。

作中でも「どうして昇進できたのか」とコナンや小五郎が首をひねり、ドジなために度々よからぬ状況を招いてしまいます。

山村ミサオの初登場は第96話「追いつめられた名探偵！　連続２大殺人事件」

松本清長

警視庁刑事部捜査一課所属。階級は警視。管理官の役職を負っています。大和と同様に左目の上に傷が走っていますが、目は見えています。口ひげに短髪で身体が大きく、一見怖い人のようですが、誠実な警察官です。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では広域連続殺人事件の合同捜査チームの長と陣頭に立ちます。ビートルズ世代で、本作ではそれが重要なキーとなります。

松本警視の初登場は第18話「６月の花嫁殺人事件」

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』のジンをも驚愕させた道具は伸縮サスペンダー

『名探偵コナン』は小さくなってしまった少年の物語です。身体が小さくなったために、大人には体力や腕力で敵わない場面も出てきます。そんなときにその非力を補うために、阿笠博士の発明品がコナンに与えられます。

「キック力増強シューズ」や「どこでもボール射出ベルト」はここぞというときに頻繁に使われるので、みなさんよくご存じでしょう。なかにはほとんど使われたことがない「弁当型携帯FAX」という変わり種もありました。

本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』では「伸縮サスペンダー」が大活躍します。原作では第2巻で初登場という、意外と古参の発明品です。劇場版「名探偵コナン」でも第2作『14番目の標的（ターゲット）』、第10作『探偵たちの鎮魂歌（レクイエム）』で登場していますが、『漆黒の追跡者（チェイサー）』ではパワーアップして、100メートルもの伸縮が可能になって登場します。

見た目は普通のサスペンダー。 金具部分のボタンを押すとベルトの部分が自由自在に伸び縮みして、たとえば1人では動かせないような重い荷物にくくりつけて移動させることも可能です。強靱な素材でできているため、ゴムパチンコのように使って人1人を遠くへ飛ばすことも。

この不思議な道具が、本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』ではクライマックスシーンを盛り上げます。

東都タワーにヘリコプターで乗りつけた黒の組織のジンたち。キャンティとコルンのスナイパー2人のライフルにやたらに銃撃されてコナンは東都タワーの展望台よりも高いところに追い詰められていきます。いよいよ逃げ場がなくなったコナンは東都タワーから飛び降ります。

このときに使ったのが伸縮サスペンダー。コナンはタワーに伸縮サスペンダーを固定して、ライトアップする大きな照明をそれにひっかけるようにしてから抱えてダイブしたのです。サスペンダーはするすると伸びて、展望台の屋根に着地しようかという寸前に、コナンは抱えていた照明から手を離します。

東都タワーのてっぺん近くに取りつけられた伸縮サスペンダーが縮み、大きな照明をパチンコ玉のように空へと跳ね飛ばします。天に飛んだ照明はジンらが乗ったヘリコプターを直撃！　ヘリコプターはバランスを崩し、慌てて撤退をはじめますが、やがてやや離れた公園に墜落してしまいます。

何と奇想天外な道具の使い方でしょう。冷徹で少々のことには動じることがないジンが目をむいて「何者なんだ?!」とつぶやきます。

「そんなバカな」とお思いの人もおられるかもしれません。しかしこれこそがアニメならではのアクションと言えましょう。実写ではまったくうそに見えてしまう動きも演出次第で、アニメでは現実的にも見ることができます。アニメだからこその楽しい「めちゃくちゃ」を、ここでは堪能しましょう。

「伸縮サスペンダー」が劇場版で初めて登場したのは『14番目の標的（ターゲット）』です！

『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』の音楽は？

劇場版「名探偵コナン」は毎作、音楽も凝っていて、劇伴もエピソードごとにアレンジが異なります。また、主題歌も毎年、話題になっています。

本項では『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』の音楽について、詳しく見てみましょう。

エンディングに流れる主題歌「PUZZLE」を歌うのは第4作以来の倉木麻衣

「名探偵コナン」とは縁が深い倉木麻衣。『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』は第5作『天国へのカウントダウン』、第7作『迷宮の十字路（クロスロード）』に続く、倉木が手掛ける劇場版「名探偵コナン」の3作目に当たります。

「PUZZLE」は「Revive」とのカップリングで発売された倉木の31枚目のシングル。「Revive」はテレビ版『名探偵コナン』の主題歌として起用されたこともあり、「PUZZLE / Revive」はコナンファンのマストアイテムとなりました。

倉木麻衣が劇場版「名探偵コナン」シリーズの初主題歌を担当したのは『天国へのカウントダウン』です！

サントラで映画アレンジのメインテーマも

劇場版「名探偵コナン」シリーズは毎作オリジナルサウンドトラックがリリースされます。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』も、テレビシリーズ放送開始から一貫して『名探偵コナン』の音楽を担当している大野克夫による劇伴やメインテーマが収録されたオリジナルサウンドトラック盤が発売されました。

作品ごとにアレンジが異なる「名探偵コナン メイン・テーマ」も『漆黒の追跡者（チェイサー）』ヴァージョンが収録されています。全69トラック＋ボーナストラックが収められたオリジナルサウンドトラックはBGM集としてはもちろん、『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』を見た記念品としても手許に置きたい一品です。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者』まとめ

黒の組織はコナンの最大の敵でありストーリーの中心でありながら、劇場版「名探偵コナン」での登場回数は驚くほど少ないです。本作『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』は劇場版第13作目ですが、黒の組織が登場するのは劇場版第5作『天国へのカウントダウン』以来、まだ2回目です。

『名探偵コナン 漆黒の追跡者（チェイサー）』は、『名探偵コナン』全体のストーリーを追う上で見逃せない作品です。