法廷や法律がテーマになっている映画、ちょっと難しそう…!? いえいえ、そんなことはありません。法廷にも法律にも、ドラマがあふれているのです! 今回は現役弁護士の我有隆司さんに、法律知識がなくても楽しめる法律や裁判がテーマの映画を選んでいただきました!
AZX Professionals Group(AZX総合法律事務所)所属弁護士。 東京大学法学部、東京大学法科大学院卒業。 ベンチャーサポートに強みのあるAZX総合法律事務所で弁護士をしております。 新しい事業へのリスペクトと好奇心を持って、気兼ねなく相談できる弁護士になれるよう日々頑張っております! https://www.azx.co.jp/
映画史に輝く傑作コメディサスペンス『情婦』
出典:amazonベテラン弁護士に舞い込んだ刑事事件。頼みの綱は依頼者の「妻」のアリバイ証言。原作はアガサ・クリスティの「検察側の証人」です。
突き抜けるラストの展開、「結末は決してお話しにならないように」の注意書き、もちろん何も言いません。
そこに触れなくても、この映画の見どころを挙げれば残り4本の映画を紹介するスペースなど無くなってしまいます。
例えば序盤、葉巻に火が点く=主人公のハートに火が点くという演出までに、葉巻ひとつで主人公の性格から最終結末の暗示まで、あらゆるものを描き尽くす仕掛けが仕込まれています。
綿密に計算された一個一個のギミックの連鎖、怒涛のラストのその先、小さな優しい種明かしまでをお楽しみください。
最高の社会派エンターテイメント『判決、ふたつの希望』
出典:amazon難しい問題を分かりやすいエンターテイメントに仕上げることを映画の「強さ」というのであれば、この映画は「最強」の一本です。
主人公が一人のパレスチナ難民に対して「暴言」を吐き、主人公はそれが原因で一発殴られます。たったそれだけの事件のはずが、双方が背負う正義が交錯し、マスコミや政治も巻き込む一大裁判へと発展していくのです。
複雑な社会問題をはらんでいたとしても、個別のケンカに落とし所を見つけるのが裁判の使命です。そして小さな個別の解決を積み重ねることが未来への希望でもあります。
人生を翻弄され続けた男たちが、自らの良心と相手の立場に向き合い、対話に挑み続けて希望を見出す、勇気ある人々の美しい物語です。
決して錆びつかない法律映画の金字塔『激怒』
出典:amazon身に覚えのない誘拐の疑いで逮捕された主人公。誘拐犯に怒り狂った市民たちは、留置所に詰め掛けて主人公をリンチしようと試みます。
逃れた主人公は、市民達への怒りを募らせ、裁判上で復讐を果たすことを決意するのでした。
法律に守られずにノーガード状態になる姿、復讐の道具立てとして法律を使おうとする姿、映画をご覧になった方は、映画の中で描かれていることが、映画が作られてから80年以上経った現在でも姿を変えて起こりうる事柄ばかりだと感じるはずです。
「法律」とはどういうものなのか、この作品ほどクリアに、そしてリアルに描き出した作品を知りません。
人間ドラマとしても面白く、自信を持ってオススメできる一作です。
芯の強い問題作『39 刑法第三十九条』
出典:amazon被告人の精神鑑定をめぐる法廷サスペンス。
老齢の鑑定人が出した鑑定結果に、新米の鑑定人が疑問を抱きます。
理屈の面でも倫理的な面でも、問題点は多くあります。
しかしこの映画には、小さな文句を挟ませない堂々たる異様な完成度があります。
「精神鑑定は信用していいのか」という問題提起が最後まで貫かれ、登場人物の不安定なキャラクター設定も、癖の強い演出も、最後まで一貫しており、この映画でしか味わえない緊張感を作り出しています。
弁護士役の樹木希林と検察役の江守徹の、それぞれの「しかるべく」のセリフ回しなど、役者の演技も見所が多いので、是非とも見て欲しい一作です。
※暴力的な描写があるので苦手な方はご注意下さい。
若手弁護士の痛快な奮闘記『レインメーカー』
出典:amazonロースクールを出たばかりの弁護士が、自分の信念を曲げずに事件に取り組み成長していく、明るいサクセスストーリーです。
主人公はお金の雨を降らせることができるのか!?
尋問の仕方や証拠の提出方法等、訴訟手続上のルールを巡るやりとりにスポットを当てているのが、描き方としてすごく上手いです。
事件がシリアスなので本格法廷ドラマのように思ってしまいますが、作品のベースはデフォルメの効いたコメディです。
中盤、気高き使命感に燃えているはずの主人公がどう考えても人としてアウトなこと(金属バットで一人殺し、逃げる!)をしますが、コメディとしてみればギリギリOKなんでしょうか。
気軽に楽しめる弁護士ものとしてオススメです!
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