今回ご紹介するのは、2017年に実写映画版も公開されることでも話題の、1991年公開のディズニーアニメの「美女と野獣」です。この映画は興行的にも成功を収めるとともに、アニメーション映画としては史上初のアカデミー賞の最優秀作品賞にノミネートされるなど評価の高い作品です。
美女と野獣の原作と映画化の歴史
「美女と野獣」は1740年にヴィルヌーヴ夫人によって書かれた小説が発表されます。
その後、ヴィルヌーヴ夫人版を短くしたボーモン夫人版の小説が1756年に発表されます。このボーモン夫人版が現在で最も親しまれている「美女と野獣」のストーリーです。
このボーモン夫人版を原作にしてディズニーが1991年にアニメーション映画化しました。
また、ボーモン夫人版の「美女と野獣」は、1946年にフランスの詩人のジャン・コクトー監督、ジャン・マレーとジョゼット・デイで主演で実写映画化されています。
このジャン・コクトー版の「美女と野獣」は華やかな衣装や、野獣のグロテスクなメイクなど華麗な美術が印象的な作品です。
一方で、ヴィルヌーヴ夫人版の「美女と野獣」も2014年にレア・セドゥ主演で実写映画化されました。
この2014年公開の「美女と野獣」はオリジナルエピソードとして、原作にもない野獣の過去に焦点が当てられているのが特徴です。
その他にも、「美女と野獣」は2009年にはオーストラリア版が、2017年にはディズニーが今度は実写映画として公開します。
一番ポピュラーなのは、1991年のディズニー作品ですが、それぞれのバージョンを見比べてみると新たな発見があるかもしれません。
美女と野獣のあらすじ(1991年版)
かつての傲慢な振る舞いが原因で、森の奥の城に住む王子と召使いたちは、魔女に魔法をかけられてしまい、人間としての姿を失います。
魔女によって醜い野獣に変えられた王子が元の姿に戻るためには「真実の愛」を見つけなければなりませんが、野獣に変えられてしまった王子は城に閉じこもり誰にも会おうとしません。
そんな野獣の城がある森の中で道に迷った、発明家のモーリスがやってきます。また、父のモーリスのことを心配して娘のベルも城へと足を踏み入れます。
王子はモーリスを牢屋に閉じ込めて解放しようとしませんが、ベルは自分が父の代わりに城にとどまり奉公をする代わりに、父を解放するという交換条件を野獣に提案します。
野獣はベルの提案を受け入れてモーリスを解放します。城に残ることになったベルを、魔法で変身させられたかつての王子の召使いたちはもてなし、ベルも城の生活に慣れようとします。
しかし、姿だけでなく心まで荒んでしまった野獣は横暴な振る舞いでベルを傷つけしまい、ベルは1人雨の中へ逃げ出して行きます。
そして、ベルはその途中で狼たちに襲われますが、野獣が現れて・・・・。
見た目ではなく内面を反映したキャラクター【その1】
野獣はジャン・コクトー版では見た目にも恐ろしい感じが強調されていました。
しかし、ディズニーのアニメなので見た目は確かに野獣なのですが、子供が見ても怖くないようにソフトにデザインされています。
そんな野獣は、わがままな子供がそのまま成長してしまったような性格で、ベルに対して横暴に振舞ったりします。
また、そうした荒っぽいところがあるのに、外の世界へと足を踏み出そうとせずに城の中に閉じこもる臆病な部分もあります。
野獣の見た目は、荒んだ彼の内面へのメタファーでもあります。
しかし、ベルに惹かれるにつれて内面的に変化を見せ始めます。
そうした野獣の心の移り変わりが作品のテーマで、この映画が一番伝えたい部分なのです。
見た目ではなく内面を反映したキャラクター【その2】
一方のベルは、ジャン・コクトー版では西洋絵画に出てくる貴婦人のような文字通りの美人として描かれます。
しかし、ディズニー版ではどちらかという可愛いらしい町娘的な見た目です。
そんなベルは父親を助けるために、恐ろしい野獣の元に自分が残るなど勇気のある娘で、ベルはすっかり荒れた城を明るくするために奮闘するなど活発なところもあります。
そんなベルはあることがきっかけで野獣との距離が縮まって彼の中の優しを見出していきます。
それまでのディズニープリンセスとは違い、ベルはたくましく、自分で考え行動して運命を切り開いていく現代的なキャラクターだといえます。
また、ベルというのは元々はフランス語で美女を表す言葉なのですが、映画の中では見た目の美しさではなくて、心の美しさを象徴しています。
ベルの優しさが野獣になってしまった王子の心を変えてゆくのです。
ミュージカル的な音楽演出の魅力
「美女と野獣」の音楽を担当するのは、「リトル・マーメイド」・「アラジン」・「塔の上のラプンツェル」などの作品でも音楽を担当したアラン・メンケンです。
「美女と野獣」はアカデミー作曲賞を受賞するなど高い評価を受けており、アラン・メンケンの映画音楽の代表作といえます。
特にこの作品では、ミュージカル的な音楽演出が印象的です。
わかりやすいのが、「朝の風景」の場面では歌いながらベルが街に登場すると、街の人々がその歌に続けて朝の情景を歌いつないでいきます。
いわゆる、歌と歌がリレーにようにつながって一つの場面を作り出していくという本格的なミュージカルらしい音楽演出がなされています。
ディズニーの映画では登場人物たちが、歌を歌うミュージカル的な演出は定番です。
その中でも特に「美女と野獣」では登場するキャラクターからキャラクターへの歌を受け渡していく演出が随所に見られ、ミュージカル映画としての要素が強いのが魅了されるポイントのひとつです。
ロマンチックなテーマソング
ディズニー映画のスタンダードナンバーとも言えるテーマソングの「ザ・ビューティ・アンド・ザ・ビースト ̄美女と野獣」はアカデミー歌曲賞をした名曲です。
作詞&作曲はハワード・アッシュマンとアラン・メンケンのコンビが担当しています。
映画の中でも印象的に登場するこのテーマソングは、美しいメロディーがロマンチックな気分を演出してくれます。
また、”指と指ほんのすこしすこしづつ やさしさがひらいてく愛のとびら”という歌詞が象徴するように野獣の心情の変化を上手く表現していきます。
物語のテーマを巧みに反映した歌詞にロマンチックなメロディーを重ねるからこそ名曲となった言えます。
歌は劇中ではポット夫人の声を担当するアンジェラ・ランズベリーが歌いますが、セリーヌ・ディオンとピーボ・ブライソンによるデュエットソングとしてリリースされます。
世界的に有名な歌手のセリーヌ・ディオンが歌うことで大ヒットをして今でも親しまれています。
また、アカデミー賞の授賞式ではアンジェラ・ランズベリー、セリーヌ・ディオン、ピーボ・ブライソンの3人でこの歌を披露する華やかなパフォーマンスが披露されました。
3つの世界を描く美術と圧巻の舞踏会シーン
「美女と野獣」ではベルの住む街の様子は明るい色調で華やかな雰囲気の中で、人々も生き生きと描かれています。
また、野獣の住む城の入り口となる森は、神秘的な雰囲気で表現されています。
そして、野獣の住む城の世界は黒が基調の煤けた世界として描かれており、野獣の心の寂しさを視覚的に反映させています。
映画ではこの3つの世界の美術を巧みに表現しています。
そして、映画の見せ場は何と言ってもベルと野獣の舞踏会の場面です。
テーマ曲に合わせてベルと野獣の動きが本物の人間のようにリアルに動いていくのが見事です。
また、最初は戸惑いを見せる野獣の顔が踊りながら明るく変わっていく表情の様子も細やかに表現されているのも素晴らしいです。
2人の距離が縮まってゆくシーンをロマンチックな映像と音楽で魅せてくれる名シーンです。
まとめ
ディズニーの「美女と野獣」は、魔法によって野獣になった王子がベルと出会い「真実の愛」を探す様子が丁寧に描かれた物語です。
そして、ストーリーを盛り上げる音楽と映像の素晴らしさも相まってラブストーリーの名作として現在でも愛される作品になっています。
参考元
- ・参照リンク:美女と野獣 (1991年の映画) - Wikipedia
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