『進撃の巨人』奇行種とは!? 走り方から発生条件まで徹底考察

巨人、そして奇行種とは!? 謎だらけの奇行種から目が離せない！

『進撃の巨人』の名脇役ともいえる「巨人」たち。巨人は、エレンら9体の「知性巨人」、それ以外はすべて「無知性巨人」に分けられます。「無知性巨人」は、意思の疎通ができない不気味さが特徴であり、人類と調査兵団たちをいくどとなく奈落の底に突き落としてきました。

一見殲滅したい憎き敵ですが、じつは彼らももとは一人ひとりの人間であり、エレンたちと同じエルディア人であるという衝撃的な事実が判明しました。犯罪者としてパラディ島に楽園送りにされ、永遠に巨人としてさまよい生き続けるしかない彼ら。そのように考えたとき、「無知性巨人」がいかに哀れで悲しい存在かを気づかされます。

「無知性巨人」は「通常種」と「奇行種」に分けられます。なかでも「奇行種」は、その不気味な走り方や謎の生態から注目度が高く、見るものの興味を惹きつけてやみません。なかには作品の根幹にかかわる「奇行種」がいれば、ただの通りすがりとして我々を楽しませてくれるコミカルな「奇行種」も。

『進撃の巨人』において謎の存在感を放つ「奇行種」たち。彼らはなぜ、どのようにして発生するのでしょうか。「奇行種」とは何か、謎多き生態について考察してみたいと思います。　　

違いは何？ 通常種・奇行種って？ もっと知りたい「無知性巨人」

「無知性巨人(無垢の巨人)」である「通常種」と「奇行種」について、現時点で公開可能な調査内容を以下にまとめてみました。

通常種とは？ 特徴と倒し方

「通常種」とは一体どんな巨人なのでしょうか？通常種の特徴、奇行種との違いなどを解説していきます！

①ほとんどの巨人が通常種。その生態とは？

・動きが緩慢で、目的もなく彷徨うように徘徊する
・人間と遭遇すると、本能的に人を襲い捕食を繰り返す
・近距離の人間を襲う習性がある

②倒し方とは？ 通常種に遭遇した時の諸注意

「通常種」は動きが緩慢で、ある程度予測可能な動きをするため比較的倒しやすく、訓練兵団や新兵でも安心して対処することが可能です。
壁外調査においても、エルヴィンにより「なるべく巨人と戦わない」ことを目的に考案された「長距離索敵陣形」が効果的です。

奇行種とは？

それでは奇行種とはどのような巨人なのでしょうか？奇行種には独特の「動き」があることがわかっています。

①走り方や強さに注目！ 謎だらけの生態とは

「通常種」の行動定義から外れた動きをするのが「奇行種」と言えます。

・一見無意味な行動を取ったり、予測不可能な動きをする
・近くの人間より、遠くの人口が密集している場所へと向かうときがある
・人間に関心がなく、捕食せずに別の行動を取るときがある
・俊敏な動きが可能で、突然走ったり飛んだりすることができる
・不自然な動きが可能である

高い運動機能があるからこそ奇妙な姿勢で走ることが可能であり、その体制を維持できることは筋力・体幹がそこそこ発達していることを意味します。さらに「奇行種」は、唐突にジャンプしたり走ったり、一瞬で遠くの目標物まで移動するなど、複雑な動きが可能なため、運動機能だけでなく脳回路もかなり発達しているのではと推察されています。

②倒し方とは？ 奇行種に遭遇した時の諸注意

「通常種」に対して「奇行種」は、個体それぞれが独特な動きを取るため、調査兵団から予測不可能な難敵として認識されています。行動予測が難しいことから、「通常種」に有効な「長距離索敵陣形」も、「奇行種」に対しては効果がなく、かえって陣形を崩されるおそれがあります。

遭遇したら即対処し、少しでも危険を回避すること以外に対処法はありません。現時点では「奇行種」への有効な手だてはなく、調査兵団にとって、最も警戒しなくてはいけない厄介な敵といえます。

その正体とは！ Season3にて「無知性巨人」発生原因判明！

「無知性巨人」は9つの「知性巨人」、そして「通常種」「奇行種」すべての巨人の基本と言えます。まずは「無知性巨人」がどのように発生するのか再確認します。

Season3にて、エルディア人(ユミルの民)のみが、巨人になれる薬を摂取することで人間から巨人になれることが判明しました。

壁外の巨人たちの発生方法　～脊髄液注射、そして楽園送りへ～

クルーガーの話により、パラディ島に「楽園送り」にされた大陸のエルディア人が、巨人の“脊髄液”を注射されることで「無知性巨人」になることが判明しました。

壁の王が壁内に持ち去った「始祖」以外の「知性巨人」については、基本的にマーレ政権下で管理されています。そのためジーク・アニ・ライナー・ベルトルトらは、マーレ戦士として「知性巨人」の継承を行ってきました。(「戦鎚」のみタイバー家にて代々管理、104話にてエレンが「戦鎚」を捕食。)

唯一行方不明だった「進撃」の知性巨人のみ、クルーガー→グリシャ→エレンへと、特別なルートで継承されたことになります。

ちなみに巨人化の薬とは「人間の脊髄由来の成分」であり、打たれたすべてのエルディア人は基本的に「無知性巨人」になります。この時点で「通常種」か「奇行種」のどちらかに確定される訳ですが、ジーク・アニ・ライナー・ベルトルトらは継承を無事に終えていると思われますので、おそらく「通常種」であったのだと推察されます。

ただし、マーレ政権において巨人は戦いの武器として認識されているため、「通常種」「奇行種」の認識がなされているかは定かではありません。

壁内での巨人発生方法　～エレン・アルミン・レイス家の場合～

「知性巨人」らも、まずは巨人化の薬を摂取することで人から「無知性巨人」になり、その後9つの巨人それぞれを継承している人間を生きたまま捕食し、脊髄を噛み砕き摂取することで「無知性巨人」から「知性巨人」になります。

エレンの場合は注射で「無知性巨人」にされた後、目の前のグリシャを捕食して「知性巨人」になっています。

王家のフリーダも、注射で「無知性巨人」になった後、前任のウーリを捕食して「知性巨人」になっています。

Season3ではアルミンも、注射で「無知性巨人」にされた後、目の前のベルトルトを捕食して「知性巨人」になっています。

ちなみにエレン、アルミン、フリーダは、目の前の人間を捕食し、問題なく「知性巨人」の継承を終えていますので、「通常種」だったと思われます。

一方で「知性巨人」の継承を失敗したのが、経口摂取にて巨人化の薬を摂取したロッド・レイスです。目の前のエレンを捕食しなかったことから、彼は「奇行種」であったと考えられます。ロッド・レイスの事例は、「奇行種」発生条件を考えるうえで重要な事例と言えます。

猿(獣の巨人)の力による巨人発生方法　～獣の巨人に忠実な「無知性巨人」に～

以上、壁外(マーレ政権下での巨人化)・壁内(王家の巨人継承、エレン・アルミンの場合)での巨人化方法について考察しましたが、Season2においてこれらの発生条件に当てはまらない事例が発生しました。

それが、エレンの腹違いの兄、ジーク・イェーガーです。彼は王家の血筋であることをマーレ政権に隠し、マーレ戦士として「獣の巨人」を継承しています。

ジークはみずからの脊髄液をエルディア人に投与することで巨人を発生させることができ、その巨人たちを意のままに支配することが可能なため、「驚異の子」と呼ばれています。

Season2では威力偵察に訪れたジークによって、ラガコ村の住民が巨人に変えられてしまいました。ジークの巨人たちは、城内の人間に引き寄せられ、捕食を目的として城を襲ったため、「通常種」であると推察されます。
漫画でも、ジークの脊髄液をワインに含ませて飲ませることで、エルディア人を巨人化する場面が描かれており、そのほとんどが「通常種」であると思われます。

ただし、ジークが発生させた巨人の中にも、「通常種」の定義から外れる「奇行種」のような巨人が存在することも抑えておきましょう。

・ジークが発生させた巨人については、ジークの命令に忠実なのが「通常種」と言えます。ミケを捕食した幼いギョロ目の巨人は、ジークの命令を待つことができなかったので「奇行種」である可能性があります。

・漫画110話にて、リヴァイ兵長の部下たちが「無知性巨人」にされてしまいますが、動きが俊敏なことにリヴァイが驚く様子が描かれています。動きが緩慢な「通常種」の定義から外れる「無知性巨人」と言えるため、もしかしたら「奇行種」なのかもしれません。

なぜ「奇行種」が発生？ 「奇行種」発生原因考察！

以上の事例から、すべての巨人の元である「無知性巨人」は、脊髄液を注射するか経口摂取で発生することがわかりました。(さらにジークが発生させた巨人においては、ワインやガスに混ぜての脊髄液摂取であっても巨人化可能となっています。)

しかし残念ながら、「奇行種の脊髄液」という脊髄液はありません。
巨人化の過程において、どのようにすると「奇行種」になるのか、発生方法についての仮説を一覧にして紹介していきます。

仮説1：経口摂取すると奇行種になる？

ロッド・レイスは、こぼれた巨人薬を舐め、超大型巨人よりもさらに大きい超超大型巨人へと変化しました。しかもその動きはまるで「奇行種」さながら、エレンたち近くの人間を無視して人口密集地の壁内へと歩みを進めました。

そのため、ロッド・レイスは経口摂取で奇行種になったのではとの仮説がささやかれました。

しかし、「楽園送り」のエルディア人たちは、全員が注射によって巨人化し、「通常種」か「奇行種」へと変化します。またジークの脊髄液入りワインやガスで巨人化したエルディア人にも、「通常種」が大多数ながら、中に「奇行種」の様な行動を取る「無知性巨人」がいることが分かっています。
よって、経口摂取は「奇行種」発生の原因ではないと思われます。

仮説2：脊髄を損傷すると奇行種になる？

公式にて言及はありませんが、現時点において「奇行種」発生の要因として上位をしめているのが、この脊髄損傷説です。

ロッド・レイスは、経口摂取の直前にヒストリアに背負い投げされ、首を負傷し、身動きを取れないような描写があります。「楽園送り」にされたエルディア人も、注射後にかなり高い堤防の上から蹴られ、転がり落ちるシーンがあるため、巨人化の直前に脊髄を損傷してしまうエルディア人が若干いたとしても不思議はないと思われます。

このことから、脊髄を損傷した人間が巨人化すると「奇行種」になるのではとの仮説は、かなり有力な説として支持されているようです。

仮説3：年齢が高いと奇行種になる？

エレン、ライナー、ベルトルト、アニ、フリーダらは10代前後の時期に巨人化の能力を得ています。巨人化は激しい細胞分裂を必要とするため、ロッド・レイスの年齢だと何らかの障害が起こるのではという説が、高年齢説です。

ですが、そこそこの年齢と思われるクルーガーからグリシャへの巨人継承は問題なく行われています。巨人化の際に、グリシャは目の前のクルーガーを捕食していることから、おそらくグリシャは「通常種」であったと考えられます。

つまり高年齢者同士の巨人継承も可能であり、年齢が高いことは「奇行種」の発生要因にはならないと推察できます。

仮説4：巨人化の薬、多く(少なく)摂取で奇行種になる？

ロッド・レイスが「奇行種」化において摂取した巨人化の薬は、ヒストリアに投げつけられたためほとんどが気化し、かなり少量でした。そのため、巨人化の薬が少量だと「奇行種」になるのではという説があります。

しかし第87話「境界線」にて、グロス曹長が「自在に巨人のサイズ を調整できる」という趣旨の発言をしています。つまり少量であればそれなりのサイズの巨人になり、注射液をすべて使えば普通サイズの巨人になるということです。このことから液体の分量で巨人サイズが調整可能だということがわかります。

よって巨人化薬の分量は「奇行種」発生の要因にはならないと考えます。

仮説5：巨人化の薬、濃度が濃い(薄い)と奇行種になる？

「楽園送り」にて、グロス曹長が注射液の分量を調整しているシーンは漫画に描かれていますが、その場で濃度をどうこうするという手間まではかけていないようです。濃度についての明記は作中にはありませんが、巨人科学の専門家によって、それなりの設備と環境の中で巨人化の注射が作られていることが、ジークの信望者イェレナの説明からも分かっています。よって、グロス曹長らマーレ兵士は、濃度が一律で同じ中身の注射薬を使っていると考えます。

またラガコ村の住民は、ジークの脊髄液を含んだガスを、たとえ少量であっても体内に取り込むことで巨人化していることも追記します。
このことから、巨人化は脊髄液の量や濃度に関係なく可能であり、脊髄液の量や濃度は「奇行種」発生要因と無関係であることがわかります。

仮説6：注射液に異物が混入していると奇行種になる？

注射薬に異物が混入していた場合、突然変異で奇行種が発生するのではという説もあります。しかしマーレほどの文明が発達した国家が、異物混入ばかりの不良品を作成するとは思えず、発生している「奇行種」の方が異物混入の割合よりはるかに多いのではとの推察から、異物混入は「奇行種」発生の要因にあたらないと考えます。

またジークは、脊髄液をワインやガスに混ぜることで、エルディア人を巨人化させています。このことから、異物混入した脊髄液での巨人化は可能であり、脊髄液がわずかでも含まれていれば、巨人化できることがわかってきました。ジークが発生させた「無知性巨人」は、ほとんどが「通常種」と思われるので、ジークの件からも異物混入は「奇行種」発生原因ではないと考えます。

仮説7：「知性巨人」の「叫びの力」で奇行種になる？

以前、女型の巨人が「叫びの力」で「無知性巨人」を引き寄せたことがあります。「知性巨人」の叫びで操られた「無知性巨人」は、アルミンらを無視して女型の巨人のところへと一斉に向かいました。そのためコニーらが「奇行種」と判断しています。

またジークの「叫びの力」で巨人化したジーク巨人らは、ジークの命令に忠実に動く「無知性巨人」となります。

しかしこれらはあくまで限定的な効果であり、命令をうけて、いわゆる「通常種」がその場限定であたかも「奇行種」のような動きをした、ということが事実ではないかと思われます。

エレン初陣においてトーマスを捕食した「奇行種」など、すべての「奇行種」たちは限定的な命令を受けているわけではないので、「奇行種」発生要因とは無関係だと考えられます。

仮説8：人間時の意思や思いが強すぎると奇行種になる？

巨人化する際に、思い残すことや強く願うことがあり、個体としての自我が強いまま巨人化すると、人間であった時の意識や自我が巨人に反映されるのではという説です。これらの「無知性巨人」は「通常種」とは異なる動きを取るため、「奇行種」になりやすいのではと言われています。

例1 グリシャを探して彷徨い続けるダイナ巨人

エレンの母カルラを捕食したことから、カルライーターと呼ばれるダイナ巨人。彼女は巨人化する直前に、グリシャに対して、どこに行ってもグリシャを探し出すと誓っています。そして壁内に侵入した際に、近くにいたベルトルトを無視してグリシャの家に直行しました。またエレン奪還作戦の際もエレン目がけて真っ先に襲ってきたことから、グリシャを探して彷徨い、グリシャの気配に近い人間を襲っていることがわかります。

例2 家族を強く念じ、王都目指して彷徨うロッド・レイス巨人

ロッド・レイスは巨人化の際、家族の名前を呼び、「今行くよ...」とつぶやきながら巨人化薬を舐めました。捕食されることを覚悟したエレンを無視し、調査兵団も無視し、ひたすら人口が密集する街へと歩みを進めたため「奇行種」と呼ばれました。もしかしたら亡きレイス家を強く求め、彷徨っていたのかもしれません。

例3 コニー母巨人、コニーを見て「おかえり」

コニーの帰りを待ちわびていたであろうコニー母。巨人にされた後も、久々の愛息子の帰宅に、人間だった頃の思いが溢れ出たのだと思います。なんとか研究が進み、人間に戻れる日がくるのでしょうか。今後の巨人研究に期待したいところです。

例4 「イルゼの手帳」元ユミル教使徒、イルゼを祀る

「イルゼの手帳」に登場した巨人は、元ユミル教の使徒としてユミルを強く信仰していました。ユミルに似たイルゼに出会った際も、すぐに捕食せず、イルゼを崇め「ユミル様...」と言葉を発しました。そしてイルゼ捕食後も、イルゼを木に祀るなどの特殊な行動をとったことから「奇行種」と考えられています。

例5 トーマス捕食の奇行種、元エルディア復権派？

4話にてエレンたちの初陣を苦しめたのは、巨人化した元エルディア復権派メンバーとの噂が囁かれています。彼らのほとんどが「通常種」と思われますが、トーマスを捕食した巨人のみ、動きが奇怪で特殊であったために、「奇行種」と言われています。

仮説9：人間時の人格・健康状態などがそのまま奇行種として反映される？

巨人化薬を人間の体内に取り込むことは、ユミルの民としての巨人化能力を意図的・強制的に引き出すきっかけであると考えます。そのため、人間一個体としての人格や健康状態などが、巨人化後に反映されても不思議はないのでは、という説です。

漫画には現段階で記述はありませんが、個体それぞれの特性によって「奇行種」の様な行動を取る巨人が発生しても不思議はないのかもしれません。

仮説10：ランダム説。突然発生

エルディア人が打たれる注射薬は、巨人研究の専門家によって作られているため、内容はほぼ一律であると考えます。そのわりに「奇行種」の発生数が多いことから、「奇行種」は意図的に作り出せるものではなく、あくまで偶発的に発生するものではないかとの考えが、ランダム説です。

いろいろな特性を持った人間がいるように、巨人にもいろいろな動きやこだわりを見せる巨人がいて、特段に秀でた能力を発揮する巨人が「奇行種」ではということです。

諌山先生は、意思疎通できない人間の不気味さや恐ろしさを取り入れて、巨人のイメージをまとめていらっしゃったそうです。「奇行種」が今後物語上で重要な意味を持つのか、持たないのかは分かりません。後者であった場合は、より効果的な巨人の魅せ方を求めて、諌山先生が意図せずに作り出した「個性」なのかもしれません。

仮説11：他民族と混血したエルディア人は奇行種になりやすい？

エルディア帝国時代の蛮行として、エルディア人が他人種にたいして無理やり混血し、子を産ませたという民族浄化の歴史が残されています。この史実から、純血のエルディア人と他人種との混血エルディア人では、巨人化した際に「奇行種」という形で違いが出るのでは、という説です。

しかし漫画には明確な記述がないため、要因とは言いがたいのが現状です。

仮説12：巨人の特別段階説？

「奇行種」については現段階では確定している発生要因がないため、ガセや想像が飛び交っています。特別段階説などの噂も見かけますが、やはり原作にまったく記述がないため、発生要因とは言えないと考えます。

仮説13：全ての巨人は命令を受けて動いている？

『進撃の巨人』にはいくつかの未解明な謎があります。その中の一つが、「なぜ巨人は人だけを捕食するのか。なぜ壁の巨人は壁に徹することができているのか」ということです。

人を捕食することは巨人の習性であるという認識が、疑いもなく定説になっていますが、そもそも巨人は人を捕食しなくても生きていける生命体であり、人を捕食する理由は謎なままです。「知性巨人」を捕食すると人間に戻れるため、人を見かけると捕食を繰り返すのではという仮説もありますが、この説だと壁に徹する巨人の行動理由が成り立ちません。

過去のエルディア帝国の時代は、橋を架けるなどのインフラ整備で多くの巨人が活躍していた様子が語られています。現在も、人を食べることもなく、徘徊することもなく、粛々と壁の役割に徹している巨人たちがいます。

たとえば、エルディア帝国が繁栄し争いごとが増えるにつれ、王の命令を受けた一部の巨人たちが、人を捕食する巨人兵器としての役割を担うようになっていったのではと仮定します。そしてその後も戦争において巨人兵器は需要が高く、命令は下され続けます。

大戦敗北後、壁の世界に逃げ込んだ当時のフリッツ王が、新たに「壁の役割をする巨人」を作り、「人を捕食する役割の巨人」には継続して命令を下したとします。すると「人を捕食する役割の巨人」は、マーレの巨人兵器として今まで通り戦争で使用でき、パラディ島においてはエルディア人が増えすぎないように、人工調整にも一役買っているということになります。そしていつの間にか「巨人は本能で人を捕食する」ことが定説となっていったのではないでしょうか。

世界のために、エルディア人は滅んで良いとさえ考えたフリッツ王ですから、今後マーレが侵攻してこようが、壁内への巨人襲来でエルディア人が甚大な被害を被ろうがやむなしとの考えがあったのかもしれないと推察します。

ただし「巨人は命令を受けて動いている説」の場合、「無知性巨人」を「通常種」「奇行種」にまで分けて細かく指令を出しているのかどうかまでは、定かではありません。

また、命令説も現時点では情報が不足しており、あくまで仮説の域を出ません。しかし始祖を持つ王はユミルの民に命令ができる上、体の構造を書き換えることも可能です。おそらく巨人に命令をくだすことは可能と考えます。

しかし歴代の王にも命令系統にルールがあるらしく、「不戦の契りが破れない」ように、なぜ新しい王によって指示を上書きできないのかは謎のひとつです。さらに始祖ユミルや大地の悪魔についても指揮系統が気になります。「巨人が命令されている説」についてはもちろんのこと、物語において命令系統は重要な意味を持ちそうな気がしています。これからの展開を見守りたいと思います。

「奇行種」発生要因まとめ

現時点では推測の域を出ないですが、「脊髄の損傷」「人間時の意思や思いが強すぎる」「人間時の人格・健康状態などが反映される」「ランダム説」などが「奇行種」発生要因としては有力かと思われます。

現時点では明確な記述がないため「奇行種」が誕生する理由は定かではありません。諌山先生が、深い意味を持って「奇行種」を登場させたのか、それとも作品上の演出であり、巨人をより個性的に魅せるために「奇行種」を登場させたのかはわかりません。いずれにせよ、ここまで注目されてしまった奇行種たち。諌山先生の答え合わせがあると嬉しいものですね。

密かな人気！ まだまだいる「奇行種」たち！

その謎めいた生態と不可思議な動きから、ここにきてじわじわと人気急上昇の「奇行種」たち。再度、漫画やアニメを見直すことであらためて「無知性巨人」たちが注目されています。紹介しきれなかった「奇行種」たちをさらにご紹介！　気になる「奇行種」をチェックしましょう。

①訓練兵のミカサに倒された、左右にぶれながらの走りが奇妙な奇行種

この「奇行種」は、元エルディア復権派メンバーの、グリシャを誘った患者の男に似ているとの説があります。(他にもエレン初陣において、エレンの足を喰った巨人、エレンを捕食した巨人も元エルディア復権派メンバーと言われています。こちらの巨人は「通常種」かと思われます)
画像をあげて正体を考察しているこだわりファンの方々もいらっしゃいます。あなたも今一度、漫画・アニメを見直してみると面白いかも！

②女型の巨人出現前、中央突破した奇行種

アルミンを無視して、コミカルな歩きでひたすら中央へと歩む「奇行種」。リンホラさんの「自由の翼」の編曲部分がまた動きにピッタリでした。

③Season2にて、ユミルがエレンに状況説明。森の中での奇行種たち

寝っ転がってくつろぎつつ、木の上のエレンたちに興味のないそぶりを見せる「奇行種」。でも目線はしっかりこちらを捉えていました。木の影から様子を伺う繊細な「奇行種」も、なんとも味わい深いものがありました。

「奇行種」その存在する意味とは。ますます深まる「奇行種」の存在意義に注目

今までは「通常種」の突然変異では、くらいの認識でくくられていた「奇行種」たち。ですが「奇行種」は「通常種」より高知能、高ハイスペックであることがわかってきました。複雑な動きを瞬時にできることから、脳機能・運動機能ともに「通常種」より発達していることもわかりました。

「無知性巨人」の中でも抜きん出た個性を持った生命体である「奇行種」たち。見方を変えると、意外と愛着が湧いてくるかもしれません。

4期まで待てずにアニメや漫画に手が伸びるみなさん、あえて「奇行種」に着目しながら『進撃の巨人』を再度鑑賞してみるのも楽しいかもしれません。