TVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、『機動戦士ガンダム』のテレビシリーズ第16作目として制作されたSFロボットアニメです。多くのシリーズ作品で扱われて来た「戦争」をテーマにした作風とは一線を画し、「貧困」「少年兵」「社会への反逆」といったセンシティブな内容を扱ったことで歴代ファンをはじめ脚光を浴びました。そんな「鉄オル」の魅力をネタバレありで振り返ってみたいと思います。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』とは?
出典:amazonTVアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は、『機動戦士ガンダム』のテレビシリーズ第16作目として制作されたSFロボットアニメです。
多くのシリーズ作品で扱われて来た「戦争」をテーマにした作風とは一線を画し、「貧困」「少年兵」「社会への反逆」といったセンシティブな内容を扱ったことで歴代ファンをはじめ脚光を浴びました。
シリーズ作『機動戦士ガンダム00』同様に2クールを2期放送する分割2期制で全50話。シリーズ構成は「あの花」こと『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』でも有名な岡田麿里さんが担当しています。
『鉄血のオルフェンズ』の舞台設定について紹介!
『鉄血のオルフェンズ』には「地球」「火星」「宇宙空間」という大きく3つの舞台が登場します。
それぞれが表面上は平和を維持しているものの、その実は権力や差別や格差社会といった社会問題の温床となっています。
少年たちが目に見えない問題に暗に立ち向かっている、という構成は『機動戦士ガンダム00』にも通じるところがあるかもしれません。
『鉄血のオルフェンズ』物語の舞台①:地球
人類の多くが住む水と緑に包まれた生命の星です。
本作の時間軸より300年ほど前に、厄祭戦と呼ばれる大規模な銀河間戦争が起こったことにより文明が後退してしまうほどの大打撃を受けました。
その際に投入された兵器がモビルスーツ・ガンダムフレームであり、そのパイロットであったアグニカ・カイエルと後にセブンスターズと呼ばれる英雄たちの手によって治安維持組織が設立。ギャラルホルンと呼ばれるようになった組織の監視のもとで、4つの経済圏による分割統治が行われています。
しかし長年続いた平和のために、富と権力が一部の人間に集中してしまうほどに社会は腐敗。その余波は差別や貧困、人身売買などの問題を生み出していますが、表立って異を唱える者はいない状況です。
また主人公・三日月たちが暮らしている場所が火星ということもあり、本作における地球はとても遠い存在として描かれています。
『鉄血のオルフェンズ』物語の舞台②:火星
過去の宇宙移住計画によりテラフォーミングが行われており、バイオテクノロジーによって地球と同等の生活環境を有した星です。とはいえそれは人間の生活圏に限った話であり、郊外やその先の手付かずの場所にはまだまだ一面の荒野が広がっている状況です。
厄祭戦の被害から地球の経済回復を目指して結ばれた不利な経済協定のせいで実質的に植民地的な扱いを受けており、制限付き自治権を持つクリュセ地区を中心に独立運動の機運が高まっています。
有限である資源の問題から格差は地球圏以上に著しく、浮浪者やストリートチルドレンが当たり前のように蔓延。食い物にされながらも生きるために命を切り売りする道を選ぶ子供たちも少なくありません。
三日月たちが所属するCGS(のちの鉄華団)はクリュセの経済圏に属する民間警備会社です。そこへ独立運動の旗頭となっているクーデリアが護衛依頼を持ち出したことで、彼らの運命が動き出していきます。
『鉄血のオルフェンズ』物語の舞台③:宇宙空間
ガンダムシリーズの共通言語でもあるスペースコロニーは、宇宙に浮かぶ巨大人工衛星型の居住区です。多くが地球圏の企業に属していて、火星圏に比べればギャラルホルンの監視も細やかに行き届いています。
ある程度の能力があれば当たり前の仕事につけるなど経済的に裕福な側面がありますが、それでも富裕層と一般市民との格差は街のいたるところで目にすることができるのが現状です。
そんな状況のため火星独立運動の空気に当てられて同じく独立を目指す機運が高まっているコロニーもあり、反対派の市民はギャラルホルンへの通報を日常化しているなど、内部の軋轢もあらわになっています。
一方で力を持つ企業のコロニーであれば治外法権的な扱いも受けており、そういったコロニーの後ろ盾を得ることが三日月たちが生きていくための最初の目標となりました。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』1期あらすじ
出典:amazonここからは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 1期』のあらすじを紹介します。
斬新な設定と無骨なバトル、そして任侠ガンダムとも呼ばれた物語をざっくりと振り返ってみましょう。
『鉄血のオルフェンズ』1期あらすじ①:クーデターから「鉄華団」を結成
出典:amazon火星の民間警備会社クリュセ・ガード・セキュリティで働く三日月・オーガス、そしてオルガ・イツカらは、少年兵として奴隷のような生活を送っていました。
ある日、火星独立運動の指導者であるクーデリア・藍那・バーンスタインの依頼を受けたことで、治安維持組織「ギャラルホルン」に目をつけられてしまったCGS。ギャラルホルン火星支部の襲撃を受けたことをきっかけに、オルガはCGSへのクーデターを画策します。
クーデターを見事成し遂げた子供たちは、社会と対等に渡り合うため民間軍事会社「鉄華団」を結成。三日月が起動したガンダムフレーム「バルバトス」を旗印に、初めての仕事としてクーデリアの地球護送を請け負います。
『鉄血のオルフェンズ』1期あらすじ②:任侠ガンダムのはじまり
出典:amazon会社を興したとはいえ、社会から見れば「子供のごっこ遊び」として嘗められてしまう鉄華団。そこでオルガはより大きな企業の傘下になることで、社会的な後ろ盾を得ようと画策します。
そこでオルガが目を付けたのが、ひょんなことから出会った名瀬が率いる「タービンズ」と、彼らが属する「テイワズ」でした。火星周辺に強い勢力を持つ「テイワズ」の後ろ盾があれば会社としての箔がつく。
ちょっとしたすれ違いから「タービンズ」と敵対することになる「鉄華団」ですが、オルガが名瀬に対して仁義を通したことで状況は一変。テイワズに認められ、2人は義兄弟の盃を交わすことになりました。
『鉄血のオルフェンズ』1期あらすじ③:コロニーの不満とクーデリアの意志
出典:amazon「テイワズ」の後ろ盾を得て、当初の目的であるクーデリア護送任務のために地球を目指す鉄華団。途中、テイワズの荷運びの仕事として地球圏ドルト・コロニーに立ち寄ります。
久しぶりの街の空気に、戦いづくめの団員達は日常を感じる一方、テイワズから預かった荷物はコロニーの人々が武装蜂起するための武器一式でした。
ギャラルホルンとコロニーの衝突に巻き込まれてしまう鉄華団。武装蜂起の真相が明らかになっていく中で、クーデリアは自らの命を盾に戦いを沈静化します。「鉄華団」と「革命の乙女」の存在が世界に知れ渡る瞬間でした。
『鉄血のオルフェンズ』1期あらすじ④:地球へ、そして最後の命令
出典:amazonギャラルホルンの執拗な妨害を突破し、鉄華団は地球へと降下します。クーデリアを目的であった蒔苗と引き合わせることに成功しますが、蒔苗は後ろ盾になるためには代表戦に当選する必要があると告げました。そのためには議事堂へ彼を送り届ける必要が。
議事堂を前に、ギャラルホルンと鉄華団の最後の戦いが繰り広げられます。ギャラルホルンは阿頼耶識搭載MS「グレイス・アイン」を投入。それに対して三日月はガンダムの力を最大限に引き出し勝利をもぎ取ります。
無事全ての任務を果たし、オルガは団員達に「生きろ」という命令を下します。任務が終わった今、自分たちが生きるために戦えという彼の本懐はついに遂げられました。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期あらすじ
出典:amazon続いて『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 2期』のあらすじを紹介します。いよいよ会社として大きくなった「鉄華団」。クーデリアもまた歴史に名を残す思想家・慈善業者となっています。
そんな中でいよいよ動き始めるマクギリス・ファリドと、それに加担していく鉄華団。生きるための戦いは、世界を変えるための戦いへと変わっていきます。
『鉄血のオルフェンズ』2期あらすじ①:鉄華団が生んだ世界と歪み
出典:amazon地球での抗争でギャラルホルンの信用を失墜させた鉄華団。しかし治安維持組織が力を失ったことで、世界は非合法組織がはびこる暗黒時代へと突入していました。
地球圏では要人を狙ったテロが頻発。アーブラウの代表である蒔苗が狙われたことにより、SAUとアーブラウの武力衝突が勃発します。鉄華団の中にはこのテロに加担する裏切者の存在が露呈し、多くの仲間を失う結果に。
苦渋の決断として裏切者の処刑を断行する鉄華団。そのことは団の中に薄暗い空気を生み出すことになっていきます。
『鉄血のオルフェンズ』2期あらすじ②:厄災戦とアグニカの伝説
出典:amazonその頃火星では、ハーフメタル採掘場から謎の巨大兵器が発掘されます。それが厄災戦の忘れ形見「モビルアーマー」であることを悟ったマクギリスは鉄華団と共に解析にあたります。
しかし、マクギリスを追って来たギャラルホルン部隊が冬眠状態だったMAを起動させてしまいます。三日月は自分の身体の感覚と引き換えにバルバトスの力を引き出し、これを撃破しました。
それから1か月後、テイワズの中では名瀬とジャスレイによる勢力争いが繰り広げられていました。やがて武力衝突へと発展した抗争により、鉄華団と親しいタービンズのメンバーが次々命を落としてしまいます。
怒りから全面抗争を決意した鉄華団は、テイワズから離反しジャスレイの一派を完膚なきまでに駆逐。仁義を通した代わりに後ろ盾を失った一団は、マクギリスの革命軍への参加を心に決めます。
『鉄血のオルフェンズ』2期あらすじ③:マクギリスと革命の狼煙
出典:amazonマクギリスの革命軍は手始めにギャラルホルンの地球本部であるヴィーンゴールヴを占拠します。これは橋頭保を手に入れると共に、基地に封印していあるガンダムフレーム「ガンダム・バエル」を手に入れるためでした。
いよいよ頭角を現したマクギリスに対し、仮面の男ヴィダールことガエリオを中心に討伐部隊が編制されます。一方のマクギリスは偶像崇拝の対象となっているバエルを餌にギャラルホルン上層部を掌握しようとします。しかしバエルには歴史的価値以上の力はなく、誰一人として味方につけることができません。
結果として、ギャラルホルン最大の戦力であるアリアンロッド艦隊と真っ向から戦うことになった革命軍と鉄華団。圧倒的な物量差を前に、団員は次々と命を落としていきます。
『鉄血のオルフェンズ』2期あらすじ④:夢の終わり
出典:amazonアリアンロッドに大敗を期した革命軍は、世論操作のために犯罪者として全宇宙に指名手配されてしまいます。これにより名実ともに負けを悟ったオルガは、マクギリスを差し出すことを条件にギャラルホルンへの投降を申し出ました。しかし裏切るような相手を信用できるわけがないと門前払いに。
仕方なく革命軍から離反し、アーブラウへの逃亡を目指す鉄華団。その最中、オルガが敵の銃撃を受けて死んでしまいます。彼の最後の命令を果たすために団の殿として戦い続ける三日月と昭弘。団員達の脱出を最後まで支えた2人は、アリアンロッドが投入した禁止兵器ダインスレイヴの前に敗北し息を引き取りました。
こうして後にマクギリス・ファリド事件と呼ばれる騒乱の裏で、鉄華団は華々しく散っていったのでした。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』はバッドエンド? 作品の考察とまとめ!
『鉄血のオルフェンズ』は、主要キャラクターの大半が死亡するという衝撃のエンディングから「バッドエンド」と思われていることも多いですね。確かに50話をかけて愛着を持ったキャラクター達が次々命を落としてしまう様子は、見ていて辛いものがあります。
しかしその後の世界として見れば案外そうではない、というのが『鉄血のオルフェンズ』の面白いところです。
例えばマクギリス事件を発端に組織内の反乱分子が一掃されたギャラルホルンは、これまでの貴族主義的な権利構造を撤廃し、民主主義化へと舵が切られて行きます。
火星もまたクーデリアを中心に自治体制を整えはじめ、鉄華団が夢見た世界は現実のものとなっていきました。
鉄華団は確かに時代をとって変わる事はできませんでした。しかしその姿が世界に対しての問題提起となり、意志は脈々と受け継がれていると考えると一概に「バッドエンド」と片付けることはできないかもしれませんね。
当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。
合わせて読みたい
このニュースに関連する作品と動画配信サービス
動画が配信されているサービス一覧
動画が配信されているサービス一覧
動画が配信されているサービス一覧
「アニメ」人気ニュースランキング
-
2019/07/02 159,756 16
『進撃の巨人』の登場人物・キャラクター全64名を徹底解説! 誕生日や身長・体重などのプロフィールも!
-
2019/07/03 187,125 32
『涼宮ハルヒの憂鬱』順番と時系列を完全攻略! TVアニメも劇場版もまとめてご紹介!
-
2019/08/27 242,071 28
【ヒソカ死亡】衝撃の顔の死亡シーンが話題に!何話から読めば楽しめるか|原因や今後の展開は?
-
2019/07/22 890,765 162
【ワンピース】 麦わら海賊団10人目の仲間の正体確定!? 11人目の仲間は?
-
2019/08/27 141,569 13
『進撃の巨人』リヴァイ兵長の心に響く名言たちを時系列でご紹介!