今年のGWの過ごし方に、映画、ドラマ三昧が上位にランクイン!! でも時間があり過ぎて、何をみたら良いか迷っている人も急増中!? そんなアナタに贈る、映画評論家“松崎健夫”が薦めたい、今年のGWにお家で観てほしいエンタメ作品8選をご紹介します!
- 「やっぱり、お家が一番だわ」という名台詞が心に沁みる『オズの魔法使』(1939)
- SNSに頼りがちな情報の真偽や誹謗中傷について考えてみる『リチャード・ジュエル』(2019)
- ロマンティックにヨーロッパを旅行した気分になれる『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(1995)
- いつか仲間と屋根裏から始まるような冒険に出かけたくなる『グーニーズ』(1985)
- 家族の絆と人間の文明のあり方を今一度考えてみる『モスキート・コースト』(1986)
- 擬似家族を先駆的に描きながら、家族みんなで笑って泣ける『カーリー・スー』(1991)
- 人類の歴史を学び、史実を知れば知るほど面白くなる! TVシリーズ『ウォッチメン』(2019~)
- 9年にわたって記録されたキャストの成長をイッキ観したい! TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~2019)
- 映画評論家 松崎健夫(まつざきたけお)さんのプロフィール
外出自粛が続き、自宅で過ごす時間が増える中、今までは時間がなくて観られていなかった映画や海外ドラマを楽しんでいる方も多いのでは?
映画・ 海外ドラマ三昧なGWを過ごす方も多いはず!
すでに「観尽くしてしまった」「どんな作品を観たらいいのか迷っている」、そんな方のために、映画評論家松崎健夫氏が数々のエンターテイメントを送り出してきたワーナー・ブラザース往年の名作から最新作まで、今だから観てほしい映画・海外ドラマ8選を一挙ご紹介します。
今この時だからこそ知りたい歴史や史実をベースにした作品、また家族、友人、恋人、同僚などあなたのまわりにいる大切なひととの“絆”を感じられる心温まる作品など、気分に合わせてこの機会にぜひご覧ください。
「やっぱり、お家が一番だわ」という名台詞が心に沁みる『オズの魔法使』(1939)
製作当時は映画がまだ白黒の時代。竜巻に飛ばされて農場からオズの国にやってきた主人公が扉を開けた瞬間、映像が白黒からカラーへと切り替わる驚きは今観ても鮮やかで、魔法使いの正体も衝撃的!
この映画の「There’s no place like home」=「やっぱり、お家が一番だわ」という映画史に残る名台詞は、こんな時代だからこそ家族の大切さを実感し、言葉の本質をより深く理解できるはずです。
SNSに頼りがちな情報の真偽や誹謗中傷について考えてみる『リチャード・ジュエル』(2019)
テロ事件で人々を救い英雄となった男が一転、メディアの実名報道で容疑者扱いされ、世間の誹謗中傷によって国民の敵となった実話を描きます。
SNSが発達した現代だからこそ、我々の生活とも無縁ではないという実感を抱き、「いつか自分も巻き込まれるのではないか?」という恐怖を覚えるはず。
お家に籠ることで外界との情報をSNSに頼りがちな今、情報の真偽についても考えさせられます。
ロマンティックにヨーロッパを旅行した気分になれる『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』(1995)
列車内で偶然出会った男女が惹かれ合い、異郷の地で朝がやってくるまで共に過ごすという数時間だけが描かれます。
街を散策しながら語られる何気ない会話。その積み重ねだけで、どうしてこんなにもロマンティックなのか! また、ウィーンの街並みを旅行気分で観られる点もこの映画の魅力!
主演のふたりが本作の9年後、18年後にリアルに共演した2本の続編も併せて観てみたいですね。
いつか仲間と屋根裏から始まるような冒険に出かけたくなる『グーニーズ』(1985)
「海賊が隠した財宝を探し出す!」そんな大冒険が、自宅の屋根裏部屋から始まるという高揚感!
脚本を書いたのは『ハリー・ポッター』シリーズや『ホーム・アローン』を監督することになるクリス・コロンバス。
ジェットコースターのようなスリルと先行き不明の展開が魅力の本作で、友達との仲間意識や兄弟の絆、家族を想う少年少女たちの気持ちを描くのに長けている理由はそんなところにもあります。
家族の絆と人間の文明のあり方を今一度考えてみる『モスキート・コースト』(1986)
アメリカを離れ、中央アフリカの大自然の中で文明と隔絶された生活を試みる家族の姿が描かれます。
「やっぱり、自然が一番だよね」などという生易しさは、この映画にはありません。むしろ、文明が自然に与える影響や、人間の傲慢さを浮き彫りにすることで、人が本来あるべき姿について考えさせられます。
憂いある眼差しを持った、ブレイク前のリヴァー・フェニックスの忘れ難い演技も見どころです。
擬似家族を先駆的に描きながら、家族みんなで笑って泣ける『カーリー・スー』(1991)
当たり屋で生計を立てているホームレスの親子が、女性弁護士との出会いから人生が変化してゆく姿が温かく描かれます。
ネタバレを恐れずに言うと、この親子には血縁関係がないことが映画の前半で明らかになります。
つまり、血の繋がりのない他人同士が「擬似家族」を形成する意義を、本作は『万引き家族』の四半世紀以上前に描いているのです。
しかも、笑って泣けるという点が素晴らしいです!
人類の歴史を学び、史実を知れば知るほど面白くなる! TVシリーズ『ウォッチメン』(2019~)
「もしもあの時、こうだったら?」と、過去を思い返しながら別の現在があったのではないかと夢想することは、誰にだってあるでしょう。
このドラマでは、そんな個人レベルの「たられば」から、国家や世界レベルにまで拡張した、史実に対する「たられば」が、スーパーヒーローの存在意義と共に描かれていきます。
そのユニークなパラレルワールドは、人類の近代史を知れば知るほど面白くなります!
9年にわたって記録されたキャストの成長をイッキ観したい! TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~2019)
巨額な製作費による圧倒的な映像はもちろん、同一のキャストが継続して参加したことで、物語の中だけでなく、実際に年齢を経たキャストたちの姿が記録されている点もこのドラマの魅力です。
巨大な権力を持つと、その力を使いたくなる。そんな人間の本性が導く驚きの終盤は、長年積み重ねてきたキャラクター造形があるからこそ、リアルで衝撃的。
この機会に9年の歴史をイッキ観したい作品です!
映画評論家 松崎健夫(まつざきたけお)さんのプロフィール
映画評論家。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。
テレビ・映画の撮影現場を経て、映画専門の執筆業に転向。
「ぷらすと」「japan ぐる~ヴ」などテレビ・ラジオ・ネット配信番組に出演中。
「キネマ旬報」「ELLE」「FINDERS」などに多数稿。
共著「現代映画用語事典」(キネマ旬報社)ほか。
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