ジョジョ立ちってなに？　超初心者向け『ジョジョの奇妙な冒険』入門講座

『ジョジョの奇妙な冒険』は、ジョースター一族とディオの血縁と因縁の物語

『ジョジョの奇妙な冒険』は、1987年に『週刊少年ジャンプ』で連載がスタート。単行本にして100巻を超えるロングセラーの大作です。

『ジョジョ』シリーズで一貫しているテーマは「人間讃歌」。

“運命に立ち向かい、強くなる人間たちの姿”、“主人公は死んでも何かを伝え、残されたものに受け継がれていく”ことが描かれています。

第1部の主人公ジョナサン・ジョースターと宿敵ディオ・ブランドーの間で19世紀に生まれた因縁は、子孫たちの代まで続き、なんと第6部の空条徐倫が生きる21世紀まで受け継がれます。

歴代のジョジョ一族が主人公や舞台、世代や攻撃方法も変化しながら、ディオと戦い続ける因縁の大河ドラマです。


■主人公とコミックス単行本掲載巻　(2019年２月現在)

・第1部　ジョナサン・ジョースター　全６巻(１-５巻)
・第２部　ジョセフ・ジョースター(ジョナサンの孫)　全8巻（5 - 12巻）　
・第３部　空条承太郎(ジョセフの孫)　 全16巻（12 - 28巻）
・第４部　東方仗助(ジョセフの隠し子)　全19巻（29 - 47巻）
・第５部　ジョルノ・ジョバァーナ(ディオの息子)　 全17巻（47 - 63巻）
・第６部　空条徐倫(空条承太郎の娘)　全17巻（64 - 80巻）
・第７部　ジョニィ・ジョースター　全24巻（81 - 104巻）
・第８部　東方定助　　　　　　　　既刊19巻（104巻- ）

ちなみに第7部からは、ジョジョの血統から離れてパラレルワールドでの物語に。

しかし、ジョジョシリーズに流れる、勇気をもって敵に立ち向かう、誇り高く戦う姿は、引き続き描かれています。

『ジョジョの奇妙な冒険』原作者　荒木飛呂彦について

原作者はマンガ家の荒木飛呂彦さん。

1960年、宮城県仙台市生まれ。1980年に『武装ポーカー』が第20回手塚賞で準入選を果たしてデビュー。『ジョジョの奇妙な冒険』は『週刊少年ジャンプ』1987年１・２号より連載スタートしました。

現在『ウルトラジャンプ』で第8部『ジョジョリオン』を連載しています。2019年には59歳になる荒木さんは、見た目の若さが変わらないことでも知られています。

第4部と第８部の舞台・杜王町は、荒木さんの地元仙台市に実際にある地区の２～3か所を圧縮して作られた架空の町です。

仙台市で荒木さんの原画展が開かれた際に、第４部に登場するコンビニエンスストア「オーソン」が出現。

詳細な地図が掲載されたことから、舞台となった地域を聖地とするファンも多数訪れて話題になりました。

キャラクター設定を行う際には、身上調査書を作って行うほどの徹底ぶり。

シリーズでのお気に入りキャラは第４部に出てくる「重ちー」こと矢安宮重清。

好きなところは「ゆるくてボケているところ」だそうです。

『アメトーーク！』のジョジョの奇妙な芸人で一気に注目

『ジョジョの奇妙な冒険』が世間一般に知られるようになったきっかけのひとつは、テレビ朝日系のバラエティー番組『アメトーーク！』。

『ジョジョ』好きのお笑い芸人を集めた『ジョジョの奇妙な芸人』は過去に２度もオンエアされました。

出演したのは、ケンドーコバヤシさん、オリエンタルラジオ・中田敦彦さん、中川翔子さん、バナナマン・設楽統さん、南海キャンディーズ・しずちゃん、スピードワゴン・小沢一敬さん、バッファロー吾郎さん、野性爆弾さん、なだぎ武さん、麒麟・田村裕さん。

人気芸人さんたちが独自の視点で難解な『ジョジョ』のストーリーやキャラクターや作品の楽しみ方を熱っぽく紹介。

オンエア以降、一気に『ジョジョ』の一般知名度が上がりました。独特の擬音や名ゼリフのほか、「ジョジョ立ち」などのカルチャーもフィーチャーされ、ファンが大幅増加。

男性だけでなく女性にもジョジョ好きが広がり、アニメ化・実写映画化にもつながりました。

ジョジョ立ち、スタンド…気になる『ジョジョワード』を徹底解説！

『アメトーーク！』の『ジョジョの奇妙な芸人』でも紹介され、注目を集めたのが独特の『ジョジョワード』。

ジョジョの世界に飛び込む前に押さえておきたい4つのワードについて解説します。

ジョジョ立ち

登場人物がエキセントリックかつアバンギャルドに決めるポーズ。

重力や体の構造を無視した美しくも激しいポージングは、原作者の荒木さんがミケランジェロの彫刻などからヒントを得たというもの。

渋谷や大阪城公園で大勢で「ジョジョ立ち」を行うイベントも開催され、一大ムーブメントに。

『現代用語の基礎知識』にも2005年にも掲載。

NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』でピエール瀧さんがドラマの中で披露して話題になりました。

波紋

第１部と第２部で登場する特殊能力。

独自の呼吸法で肉体に波紋を起こしてエネルギーを生み出し、攻撃や防御を行います。

波紋は、太陽と同じ波動を持ち、吸血鬼やゾンビに大きなダメージを与えられるのが特徴。

その波紋を岩に注入して投げつけるなど攻撃のほか、肉体に入れて傷を治したり、若返らせることも。

いつまでも見た目が若く、変わらない荒木先生は「波紋使い」ではないかとの噂が。

スタンド(幽波紋)

第３部以降のストーリーに登場する超能力。スタンド能力者の持つ力が人やモノなどの姿になって現れるもの。

持ち主のそばに守護霊のように立つこと(スタンド・バイ・ミー)から「スタンド」と名付けられました。

持ち主に代わって攻撃したり、守ったりしてくれ、ダメージを受けると持ち主も同じ痛みを感じます。

また、スタンドはスタンド使いにしか見えず、スタンド同士でしか戦えないのも特徴のひとつです。スタンド同士が自然と惹かれ合い、集まることも。

その姿は、人間や動物のほか、船や銃などさまざま。その能力も、水や炎を操るものから、指先で触れたものを爆弾に変えるなどバラエティー豊か。

第３部で登場した鉱物に姿を変えるスタンド「ハイプリエステス」は「海底」になり、主人公たちを飲みこもうとしました。

第１部　ファントムブラッド　～ジョジョ一族とディオとの因縁のはじまり～

舞台は19世紀のイギリス。主人公は名門貴族の息子“ジョジョ”ことジョナサン・ジョースター。正義感が強く、心優しい少年です。

そんなジョナサンの家に養子として引き取られたのがディオ・ブランドー。貧しく尊敬できない父のもとで育ったディオは、頭脳明晰で冷徹な野心家。

裕福で優しい家族に囲まれて育ったジョナサンを憎み、密かにジョースター家の財産乗っ取りを画策します。

青年となったディオは計画を実行するもジョナサンにばれて、万事休す。ジョースター家にあった石仮面を使って不老不死の吸血鬼に変身します。

ディオとの激しい戦いで家や父を失ったジョナサンは、波紋の師ウィル・A・ツェペリと出会い、吸血鬼を倒せる唯一の技「波紋」を習得。

誇り高きジョースター家のプライドをかけて宿敵ディオとの戦いに挑みます。波紋使いvs吸血鬼の戦いの行方は？　

この物語から世代を超えて受け継がれるジョースター家とディオの因縁の戦いがはじまります。

第２部　戦闘潮流　～波紋戦士VS柱の一族の戦い～

第1部から50年後、1938年のニューヨークから物語がはじまります。主人公は、ジョナサンの孫で明るくお調子者の青年ジョセフ・ジョースター。

ある日、メキシコで多数の石仮面と1万年以上も生き続けている「柱の男」が発見されます。

ジョセフは、石仮面の力を増幅できる「エイジャの赤石」を代々守ってきた波紋使いのリサリサと出会います。

石仮面の創造主・カーズ率いるエシディシ、ワムウら「柱の一族」は、リサリサを追いかけていました。

カーズが目指すのは、究極の生命体への進化。そのためには「エイジャの赤石」が必要なのです。

究極の生命体への進化が達成されれば、世界は滅亡の危機に。リサリサは、ジョセフの波紋の素質を見抜き、カーズを倒すために厳しい修行を行います。

そして、ジョセフは最強の波紋戦士に成長。ともに戦うのはジョナサンに波紋を教えたウィル・A・ツェペリの孫シーザー・A・ツェペリ。

波紋戦士たちと柱の一族が「エイジャの赤石」をめぐって激突！　熱きバトルを制するのはどっちだ！

第３部　スターダストクルセイダース　～DIO復活でスタンド出現！～

舞台は第２部から50年後、1989年の日本。ジョセフの孫、高校生の空条承太郎が主人公です。普段は寡黙ですが、やる時はやる性格。

そんな承太郎は「悪霊がとりついた」と自ら留置所にこもっていました。祖父のジョセフは、悪霊の正体は「スタンド(幽波紋)」であると説明しました。

承太郎のスタンドは「スタープラチナ」。オラオラと言いながらのスピード連打や時を止める能力があります。そのスタンド出現の原因はDIOの復活。

100年の眠りから覚めたDIOの邪悪な波動の影響で、ジョセフの娘でジョースター家の血を引く承太郎の母ホリィは危篤状態に。

承太郎は、母を救うために同じくスタンド能力を持つ花京院典明やモハメド・アブドゥル、ジャン・ピエール・ポルナレフ、犬のイギーと祖父のジョセフら仲間とともにDIOがいるエジプトへと出発します。

旅の途中で、待ち受けるのはDIOの息がかかった手強いスタンド使いたち。

正義のスタンドVS悪のスタンドの戦い…時を超えたジョースター家とDIOの因縁の対決は決着するのか！？

第４部　ダイヤモンドは砕けない　～実写映画化されたM県S市杜王町編～

1999年の日本、M県S市杜王町が舞台。主人公はジョセフの隠し子で高校生の東方仗助。

ヘアスタイルをリーゼントにした不良で、髪型をバカにするとキレる性格。

スタンド使いが増加してトラブルが町では多発していました。

スタンド使いを生み出す謎の弓矢を追って、仗助の叔父・承太郎は町へ赴きます。

甥の仗助にもスタンド「クレイジーダイヤモンド」が出現し、物や人を破壊し、同時に治す能力を持っていました。

仗助の友人の広瀬浩一や虹村億恭、山岸由花子、町に住む人気漫画家の岸部露伴らもスタンド使いに。

仗助たちが弓矢の謎を追ううちに、吉良吉影という殺人鬼の存在に気づきます。

個性的なスタンド使いがあふれるこの町に再び平穏は訪れるのか？

第５部　黄金の風　～アニメ版放送中のイタリアでのギャングストーリー～

2001年のイタリアが舞台。風光明媚な観光地ですが、ギャングに支配されている街・ネアポリスで物語は始まります。

主人公は、ディオの息子のジョルノ・ジョバァーナ。父親譲りのカリスマ性と誇り高い精神の持ち主で、スタンドは物体に命を与える「ゴールド・エクスペリエンス」。

幼少の頃に人間の尊厳を教えてくれたギャングに憧れていたジョルノは、念願かなってギャング組織「パッショーネ」に入団。ブローノ・ブチャラティのチームの一員となります。

パンナコッタ・フーゴ、ナランチャ・ギルガ、レオーネ・アバッキオ、グイード・ミスタらチームの仲間はすべてスタンド使い。

そして皆、辛い境遇のもとに生まれながらも強く生きていました。

チームは、ボスからの指令でパッショーネ幹部がカプリ島に隠した財産を回収した後、ボスの15歳の娘・トリッシュ・ウナを目的地までの護衛するよう命じます。

ボスに反感を持つ組織内の「暗殺者チーム」がウナを狙って不穏な動きを見せはじめ…。

命をかけてボスの指令に従うブチャラティチーム。彼らの進む道の先には、思いがけない裏切りと悲しい運命が…。

2019年３月現在、第5部のアニメ版を放送中です。

第６部　ストーンオーシャン　～女性が主人公！世代を超えて甦る血の運命～

2011年のアメリカ、海に囲まれた刑務所が舞台。シリーズ初の女性主人公、空条承太郎の娘である空条徐倫が登場します。

父のようなタフさと冷静な判断力を持ち、スタンドは糸を操る「ストーンフリー」。

徐倫が収監されたのは、アメリカ州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所。

通称「水族館」と呼ばれるこの場所にひき逃げ犯として投獄されました。この収監にはジョースター家の因縁の相手DIOがからんでいたのです。

DIOの親友だった刑務所の黒幕・教誨師のエンリコ・プッチがジョースター一族の抹殺を画策。

徐倫を救出しに刑務所に乗り込んだ父親の承太郎は、娘をかばって仮死状態に…。

スタンド使いの囚人たちの協力を得ながら、プッチに立ち向かうヒロイン徐倫。

ジョースター家VSディオの戦いが時を越えてふたたび繰り広げられる！

第７部　スティール・ボール・ラン　～パラレルワールドで展開する物語～

第7部からは、今までのジョースター家の血統のストーリーから離れたパラレルワールドでの『ジョジョ』シリーズとなります。

舞台は19世紀末のアメリカ。北米大陸を横断する乗馬レース「SBR(スティール・ボール・ラン)」の模様が描かれます。

主人公は、元天才騎手のジョニィ・ジョースター。自らの慢心によって引き起こした事故で下半身不随になりました。

ネアポリス王国の死刑執行人の家系に生まれたジャイロ・ツェペリと出会い、レース参加を決意。

ジャイロの目的は、不当な罪で死刑を言い渡された少年の恩赦を得るため。ジョニィはジャイロのスタンド「鉄球」で下半身が動いたことに希望を見い出し、ふたりは協力関係を結びます。

総距離6000km、優勝賞金は5000万ドル。世界中から3852名が参加した壮大なレースを利用しようとしている人物がいました。

それは、SBR後見人・第23代アメリカ合衆国大統領のファニー・ヴァレンタイン。

レース中にスタンド能力が出現したジョニィ、そしてジャイロは大統領の真の目的を知って戦いを挑む！　前人未到のレースの行方は？　

そして、大統領の陰謀をストップできるのか？

第８部　ジョジョリオン　～杜王町ふたたび。記憶喪失の青年の正体は？～

第８部も引き続き、パラレルワールドでのストーリー。舞台は、2012年のS市紅葉区杜王町。

3月11日の地震によって謎の隆起物「壁の目」出現しました。

女子大生の広瀬康穂は「壁の目」に全裸で埋まっていた記憶喪失の青年を助けるところから物語ははじまります。

青年は肩に星形のアザがあり、自分に関する記憶を失っていました。

日常生活に必要な知識や歴史上の人物の記憶はあるのに自分のことは思い出せない…。

身元不明の青年は、地元の名士・東方憲助に引き取られて「東方定助」と名付けられます。

素性を探るうちに定助にスタンド「ソフト＆ウェット」、康穂の「ペイズリー・パーク」が出現。

定助はいったい誰なのか？　謎が謎を呼ぶ青年の正体を探るストーリー。2019年２月現在『ウルトラジャンプ』誌上で連載中。

擬音や名言、ジョジョ立ち…楽しみ方が無限大の『ジョジョの奇妙な冒険』

『ジョジョの奇妙な冒険』の世界へ旅立つための準備なこれで万端です。気になったストーリーはありましたか？　

原作コミックスから目を通すか、アニメから見るか、劇場版映画から攻めるか…決めかねているなら、コミックス第１部から読むことをおすすめします。

『ジョジョ』シリーズで世代を超えて受け継がれる因縁の誕生の瞬間やジョジョ独特の世界観が味わえる「ジョジョ立ち」「名言」「擬音」も豊富。

しかも、第１部は単行本では１巻～５巻までとシリーズの中で一番コンパクトです。アニメ化もされているので、アニメから見るのもよいでしょう。

濃密なストーリー、魅力的なキャラクター、熱いスタンドバトル、独特のジョジョ用語…楽しみ方は無限大です！　

『ジョジョの奇妙な冒険』の世界に、ぜひ足を踏み入れてみてください。