ルパンが結婚!?30年ぶりに待望のTVシリーズとなった「ルパン三世～PART Ⅳ～」

30年の時を経てTVシリーズが復活！

2015年に放映されたルパン三世・第4シリーズ

TVアニメ第4シリーズである「ルパン三世～PART Ⅳ～」は、2015年10月から2016年3月まで日本テレビ系にて放送されました。

この作品は日本テレビのスペシャルアニメや、2012年に連続放映されたTVアニメ『峰不二子という女』のようなスピンオフとは違い、ルパン三世を主役とした正統なシリーズ作品となります。
また、全4シリーズの中では、唯一の深夜放映枠でした。

本作はイタリア・サンマリノを舞台にしており、その関連からか日本に先駆けイタリアでは2015年8月30日から放送されました。

さらには、日本でのTV放送は全24話であったのに対し、イタリアでは全26話が放送されています。
日本未放送分の2話に関しては、それぞれBD及びDVDの映像特典として収録。

その後2016年1月8日の「金曜ロードSHOW!」枠では、本作の1話と3話、そして未放送分1話をベースに作られた『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』が放送されました。

物語のあらすじ

ルパン三世から銭形警部へ一通の手紙が届きます。それは今までのような盗みの予告状ではなく、自身の結婚式の招待状でした。

サンマリノ共和国にて、ロッサリーノ財団の若くて美しい女性会長ことレベッカ・ロッサリーニと結婚することとなったルパン。

この結婚の裏に隠された目的とは、サンマリノ共和国のお宝・リベルタスの王冠を盗むこと。イタリアを舞台に、ルパンとレベッカがお宝を求め競います。

様々な人々の思惑と陰謀が蠢き出し、求めていた真実や過去が解き明かされていきます…。

青ジャケ？OP？美女ふたり？話題となった3つの要素

今度のルパンは“青”ルパン？

ところで、皆さんはルパンのジャケットやシャツ・ネクタイの色が時代ごとに違っているのをご存知でしょうか？

実は今回「第4シリーズ」はイタリアを舞台としているため、現代のイタリアファッションを意識して、この青いジャケットと濃紺のシャツ＋赤いネクタイになりました。

また青は「イタリアンブルー」とも呼ばれ、イタリア人にとって“かっこいい男”の象徴みたいなところもあるのだと、テレコム・アニメーションフィルムの代表取締役社長であり、ルパンシリーズのプロデューサー・浄園祐さんは語っています。

■第1シリーズ(1971年～1972年放映)のルパン三世…浅葱色に近い緑のジャケットと黄色のネクタイ＋黒いシャツの仕様。

■第2シリーズ(1977年～1980年放映)のルパン三世…赤いジャケットと薄ピンクのネクタイ＋青いシャツの仕様。
→こちらが皆さんのお馴染みともいえる配色で、宝塚で演じられているルパンもこの色です。

■第3シリーズ(1984年～1985年放映)のルパン三世…薄ピンクのジャケットとオレンジのネクタイ＋薄緑のシャツの仕様。

……となります。

ちなみに1979年に公開された劇場映画『ルパン三世カリオストロの城』では、ジャケットの色だけを見れば第1シリーズのルパンとなりますが、時期的には1977年からTV放送が開始されている第2シリーズになります。

つまりこの1979年には、緑ジャケットのルパンと赤ジャケットの“時代の違う”ルパン、その両方が存在していたことになります。

他にもルパンのジャケットや衣装は、スピンオフ作品などでも微妙に変化しています。

また五ェ門の髪や着物の柄や色も、時期や作品によりかなり変化していますので、作品を視聴する際には確認してみてください。

ネット騒然！その秀逸なOP画像とは？

今回のルパンで最も話題となったのは、このOP画像に隠された“秘密の技術”でしょう。

耳慣れたお馴染みの主題歌音楽と共に、軽快に動くルパンや五ェ門ら面々。
ところが、このOPを見た視聴者から「画面が立体(3D)に見える！」という声が多く上がり、ネット上でも大変な話題となりました。

こちらは「片目3Ｄ」と呼ばれる技術を使用したもので、いわば正確に物を捉える両目ではなく、片目で見ることで起きる視覚の誤認を利用したもの。

例えば画面上に登場する「Ⅲ」を意識したかのような黒い柱や、画面を囲む鉄格子にも似た画像など、これらが視覚誤認に大きく作用しているのです。

3D眼鏡が無くとも楽しめる立体的映像を、是非ともルパンの世界で楽しんでみてください。

対照的なふたりの美女

ところで本作では魅力的な“ふたりの美女”が登場します。

ひとりはルパンファミリーとも呼ばれる、謎の女・峰不二子。そしてもうひとりが今作に登場した、若き大富豪当主・レベッカ。

実はこのふたり、その外見の美しさや派手さだけではなく、身体能力の高さや変装能力など、大変すぐれた才能を身に付けた女性でもあるのです。

また宝石やお金に対して執着を持つ不二子とは対照的に、大富豪のレベッカは元から持っているもの(お金や財産)に対しては無頓着です。

そんな彼女たちではありますが、不二子が持つ大人の艶やかな色気に対し、レベッカは若くおしゃまな元気さを発揮し、互いに違った魅力を披露してくれました。

登場人物の紹介

新規声優陣による初の本編シリーズ

声優交代を何度か重ね、スペシャルTVアニメやスピンオフ、そして映画公開と今までも様々な形態でのアニメ化を経てきたルパンシリーズ。

ですが本作はメインキャラクターを演じる声優が刷新された本編シリーズとして、記念すべきアニメ作品となりました。

以下ではメインキャラクターと共に、今回登場したオリジナルキャラクターの紹介をします。

ルパン三世

ルパン三世…cv.栗田貫一さん

物語の主人公こと、かの名立たる怪盗アルセーヌ・ルパンの孫(子孫)であり、インターポールにも指名手配されている世界的に有名な大泥棒。
※アルセーヌ・ルパンとは、フランスの小説家モーリス・ルブラン著書「アルセーヌ・ルパンシリーズ」の主人公。

神出鬼没で変装に長け、さらに頭脳明晰な上に身体能力に優れた人物で、狙った獲物は逃がさないことを信条としています。

女性、特に峰不二子には大変弱く何度もだまされています。また義賊然とはしていますが、厳しく非情な一面も覗かせます。

ちなみに原作者であるモンキー・パンチ先生が描くルパン三世は、1967年当時の大人向け掲載誌(漫画アクション)の影響もあってか「目的のためならば手段を選ばない」というダークヒーロ的な側面が大きな特徴でした。

拳銃は第1シリーズEDでも歌われているワルサーP38です。

次元大介

次元大介…cv.小林清志さん

作中において最もルパンと付き合いの長い仲間として描かれ、名実共にクールで頼りになる相棒。

「早撃ち0.3秒のプロフェッショナル」と称される程の凄腕ガンマンで、傭兵や用心棒として過ごしていた過去があるため、度々その道の連中に命を狙われたり、血統を挑まれたりしてきました。

愛煙家で常に煙草をふかしていますが、アニメが海外向けになったことや近年の嫌煙風潮により、その喫煙シーンは減少傾向を辿っています。

使用する銃はS&W M19コンバットマグナム(.357マグナム 4インチモデル)で、第2シリーズにおいては自身の主役回と共にサブタイトル「荒野に散ったコンバット・マグナム」としても使われました。

長く続くこのアニメシリーズにおいて、初代から唯一声の担当が変わっていないキャラクターでもあります。

石川五ェ門

石川五ェ門(いしかわ ごえもん)…cv.浪川大輔さん

実在した大盗賊・石川五右衛門から数え十三代目の子孫。ちなみに五ェ門の名前は先祖の五右衛門とは違う表記で、過去には五ヱ門や五右ェ門表記も存在しています。

白鞘に納められた、何でも切断する日本刀“漸鉄剣”を操る凄腕の使い手。
対剣戟での戦いというよりは、居合い抜きを根底に置いた漸戟と得意とします。

当初はルパン達の敵でしたが、彼の人柄や生き方に魅了され仲間となりました。
女性が苦手かつ弱点であり、そのため幾度と無くピンチに陥れられてしまいます。

また漸鉄剣で何がしを斬った後に呟く「また、つまらぬものを斬ってしまった」は、五ェ門のお約束的な名台詞にもなりました。

ちなみになんでも斬れる漸鉄剣ですが、唯一斬れない物は“こんにゃく”なのだそうです。

峰不二子

峰不二子(みね ふじこ)…cv.沢城みゆきさん

ルパンの敵になり、味方ともなる謎のグラマー美女。
女盗賊として描かれ、彼女の宝石やお宝に対する執念や熱意はルパンも舌を巻くほどです。

生粋の悪女としても描かれますが、彼女のファンは大変多く、芸能界でもファンを自称している方が多く存在します。

身長167cm、バスト99.9cm、ウエスト55.5cm、ヒップ88.8cmは公式発表であり、こちらはクイズ番組などでもよく問題として出される数字です。

ちなみに原作者であるモンキー・パンチ先生の『ルパン小僧』では、ルパンと不二子の息子が登場。
また名前の由来は諸説ありますが、総じて“富士山”からだと言われています。

愛用の銃はFNブローニングM1910や、第2シリーズのOPで口紅を弾奏に詰める印象的なシーンのレミントン・デリンジャーなど。
香水はマリリン・モンローと同じシャネルの5番。

銭形警部

銭形警部/銭形幸一(ぜにがた こういち)…cv.山寺宏一さん

ルパン逮捕を宿願とする警視庁の警部で、野村胡堂の小説『銭形平次捕り物控え』の主人公・銭形平次の六代目(七代目とも言われる)。

国際刑事警察機構(インターポール/ICPO)にルパン専任捜査官として出向しており、所属は総務局国際協力第1課。

警視庁(東京都)に所属しています。また『カリオストロの城』などでご存知の方もいるかもしれませんが、埼玉県警への出向暦もあるようです。

名前や経歴・家族構成など、様々な設定においてかなりのブレが生じているキャラクターでもあります。

ルパンからは「とっつぁん」の愛称で呼ばれていますが、原作では同じ大学の先輩と後輩設定であり、銭形が大学4年の時にルパンが入学。
つまりルパンと銭形はたった3歳しか違わないのです。

レベッカ・ロッセリーニ

レベッカ・ロッセリーン…cv.藤井ゆきよさん

サンマリノの九大名家のひとつ・ロッセリーニ家の美しくも若き女当主であり、イタリア最大ホテルチェーンの総帥も務めます。

人気モデルとしてデビューしており、ファッションデザイナーや作家に女優など、さまざなま才能にも溢れているため、別名“アドリア海のダイヤ”とも呼ばれています。

自身に近づくルパンの意図を知りながら彼と結婚するなど、退屈を嫌いスリルを求める女性。

美貌や財力のみならず、その身体能力や変装技術は大変高く、ルパンを出し抜こうと何度も画策しますが失敗続きの中で徐々に彼へと惹かれてゆきます。
愛用の銃はベレッタ92。

浦賀航

浦賀航(うらが こう)…花輪英司さん

かってレベッカの恋人だった男性で、脳科学のエキスパート。
奇書「イタリアの夢」を遺した後、謎の死を遂げました。

ロブソン・ズッコーリ

ロブソン・ズッコーリ…cv.山野井仁さん

ロッサリーニ家の執事でありレベッカの補佐。

軍人あがりの優秀な人物で、執事である時は控えめですが、レベッカの泥棒の手伝いをする場面では銃器やジェット機の操縦・格闘などもお手の物です。

ニクス

ニクス…cv.咲野俊介さん

表向きはジャスティン・パーソン(正義の人)という外交官を名乗るも、実はイギリス情報局MI-6のエージェントことコードネーム“ニクス(夜の女神)”。

物音と反響だけで相手の居場所を性格に掴む特殊能力「エコーロケーション」の持ち主で、この能力を使い次元を捕らえ、ルパンもあと一歩のところまで追い詰めました。

他にも暴走時に目が赤くなり、周囲の動きがスローモーションのように見える能力なども持っています。

常に冷静沈着で、全ての自称を数学的に分析する完璧主義者。諜報員としてのあらゆる技能を習得し、殺しのライセンスも所持しますが、実は“知られざる爆弾”を抱えている人物です。

謎の男

謎の男/ダ・ヴィンチ…井上和彦さん

MI6に囚われていた謎の男。
その正体とは、科学者たちがとある過去の偉人たちの人格を抽出し、それを脳に植え付けたクローン人間。

彼の野望こそが、この物語の核となり、謎を解き明かします。

LUPIN THE ⅢRD第二段

本編となる第4シリーズは、2016年3月に終了しました。

ですが作品はその後も、日本テレビ「金曜ロードSHOW！」枠にて、テレビスペシャルで本作の幾つかのエピソードを下地に制作された『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』が放送されています。

また2017年2月4日からは劇場用アニメ『LUPIN THE ⅢRD 血煙の石川五ェ門』が公開されました。

2月10日にはこちらも「金曜ロードSHOW！」枠にて、銭形警部を主役に実写ドラマ化した『銭形警部』や、WOWOWオリジナル版の『銭形警部-漆黒の犯罪ファイル(2/19～3/19・全4話)-』も放送。

まだまだ目が離せないルパンに、これからも注目です。