大人気『キャプテン・アメリカ』シリーズの2作目『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』。本国アメリカでは、公開時の週末興行収入が3週連続1位になるなど、大好評の本作のあらすじや『アベンジャーズ』シリーズとの関連などさまざまな視点から掘り下げて解説します。
いまや映画界屈指の人気シリーズとなった『アベンジャーズ』のリーダー的存在であるキャプテン・アメリカ。
彼を主人公とした映画シリーズの2作目『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』では、前作で登場した敵対組織「ヒドラ」が再登場し、キャプテン・アメリカや彼が属する「S.H.I.E.L.D」を再び脅かします。
そして、前作で戦死したはずの親友・バッキ―が予想だにしないかたちで登場することになり、キャプテン・アメリカの感情や思想が大きく動き始めます。
そんな『アベンジャーズ』シリーズでも重要な位置づけとなる本作についてのあらすじをたっぷり解説します。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の概要
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』はマーベルコミック原作の『キャプテン・アメリカ』シリーズの映画2作目であり、アイアンマンやハルクなどと同じ世界観(ユニバース)を共有する映画プロジェクト「マーベル・シネマティック・ユニバース」(以下MCU)シリーズの9作目にあたる映画作品です。
MCUの画期的なところは、これまで個々の映画として製作されてきたマーベルコミックのヒーローたちが「同じ時代・同じ世界」に存在し、ストーリーもつながっているという設定です。
そして、個々に製作されてきたヒーローたちを一挙共演させた2012年の『アベンジャーズ』はアイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソー、ハルクらが共演・共闘したことで大きな話題となり、歴史的な大ヒットを記録しました。
本作は『キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー』という1作目の続編でもあり、『アベンジャーズ』の続編でもある立ち位置となっています。
さらに、次回作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』とあわせて『アベンジャーズ』シリーズのなかでも背骨となるようなストーリーです。
そのため、『アベンジャーズ』やMCUを理解するうえでも本作を鑑賞しておくことで、より理解が深まり、シリーズを楽しめるようになります。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の監督に抜てきされたのは、アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソという兄弟監督です。
本作での手腕が大きく評価され、次作『シビル・ウォー』そして『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』と、立て続けにシリーズの集大成的作品の監督をまかされるようになりました。
彼らは観客に観やすく、かつかっこいい構図でのアクションだけでなく、政治劇やサスペンス描写にも優れており、本作はアメコミ映画にリアルでシリアスな政治サスペンスを融合させたことも高く評価されました。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のあらすじ
それでは『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のあらすじをネタバレありで解説します。
物語は『アベンジャーズ』から2年後。
キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースはS.H.I.E.L.Dの一員として世界平和に貢献すべく、忠実に任務をこなしてきました。
第二次世界大戦のころと大きく変わった現代世界や軍のありかたに、とまどいや葛藤を感じながら日々を過ごしていました。
ある日の任務で、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフやブロック・ラムロウらと海賊に襲われたS.H.E.I.L.Dの船を救出に向かう任務をこなしていたところ、スティーブは、ナターシャが内密に別任務を同時にこなしている場面に遭遇してしまいます。
以前からS.H.E.I.L.Dのやり方に不満を持っていたスティーブは、長官のニック・フューリーに説明を求めます。
するとニックは、犯罪予備軍とされるものを抹消する「インサイト計画」なるプロジェクトが進行していることを明かします。
この計画にスティーブは猛反対します。
不信感ややるせなさを抱きつつ、スティーブはかつての自分の活躍が展示されているスミソニアン博物館を訪れたり、かつての恋人で前作のヒロインでもあるペギー・カーターと再会をはたします。
一方でニックはインサイト計画延長を組織に働きかけますが、そこから事態は急変します。
ニックは突如謎の武装集団に襲撃され、必死のカーチェイスで振りきったあと、待ち構えていたウィンター・ソルジャーにも襲われます。
なんとか危機を脱したニックはスティーブの家に逃げ込みます。
何も知らずに帰ってきたスティーブに隣人の女性から「あなたの部屋のステレオがなったままだった」と教わり、警戒しながら部屋に入ります。
すると、そこには難を逃れたニックが待っていました。
ニックは盗聴されていることを伝えますが、再び現れたウィンター・ソルジャーに襲撃され、致命傷を負います。
先ほど、駆けつけてきた隣人の女性が、実はS.H.E.I.L.Dのエージェント13であることがわかりました。
ニック襲撃後、スティーブとナターシャは一方的に裏切り者扱いされ、仲間であるはずのS.H.E.I.L.Dの幹部・ピアースから指名手配され、追われる立場となりました。
逃走中に彼らがニックから託された重要データを調べると、なんとS.H.E.I.L.Dは何年もの時間をかけて敵対組織のヒドラに乗っ取られていたことがわかりました。
ピアースもヒドラであり、だからこそスティーブとナターシャを排除しようともくろんだわけです。
再びヒドラの襲撃を受けたスティーブとナターシャは、元軍人の友人サム・ウィルソンの家を訪れ、匿ってもらうようお願いします。
友人・スティーブの頼みならとサムは快く迎え、事情をききます。
そして、スティーブを助けるために軍人時代の姿「ファルコン」として手を貸すことにするのです。
サムの試運転がてら、3人はS.H.E.I.L.Dそしてヒドラ幹部のシットウェルを誘拐し、尋問します。
するとシットウェルは「インサイト計画はゾラ博士のアルゴリズムにより、ヒドラの敵になりそうな人物を排除するものだ」ということを白状します。
計画を阻止しようと動きだした3人ですが、またもウィンター・ソルジャー率いる暗殺集団の襲撃を受けます。
ついにウィンター・ソルジャーと対決するキャプテン・アメリカことスティーブですが、戦いの途中、ウィンター・ソルジャーのマスクがとれ、素顔が明らかになります。
なんと、彼の正体は戦死したはずの親友・バッキ―でした。
驚き動揺するスティーブはバッキ―に呼びかけますが、彼はヒドラの洗脳を受けて改造人間となっており、記憶を失った状態でした。
戦っているうちに、敵の大群にかこまれ、あえなく3人は捕らえられます。
このまま連行されるかと思われたそのとき、ニックの腹心、マリア・ヒルによって、3人は脱出に成功します。
さらにニックが実は生きていたことがわかり、インサイト計画を阻止すべく再び行動を開始します。
スティーブたちはS.H.E.I.L.Dに乗りこみ、まずはスティーブが館内放送で職員たちに、自分たちの無実とヒドラに乗っ取られつつある現状を訴えます。
ナターシャは委員会幹部に変装し、ピアースと接触を図ります。
そしてインサイト計画の秘密を、ネットを使って暴露することに成功します。
スティーブとサムはインサイト計画阻止のため、ヒドラと戦闘を開始。
ウィンター・ソルジャーとスティーブは死闘を繰り広げます。
スティーブとサムは戦いの最中、ヘリキャリアの攻撃を阻止し、インサイト計画を破たんさせることに成功します。
スティーブはウィンター・ソルジャーに勝利できるチャンスを手にしますが、そこでむしろ彼を救出します。
スティーブの熱意のおかげか、ウィンター・ソルジャーは逆に最後にスティーブを救出してその場を去るのでした。
S.H.E.I.L.Dは組織崩壊、ニックはヒドラの情報を求めてヨーロッパへと旅立ちました。
そしてスティーブは消えたバッキ―の行方を探すことを決意します。
一方、ウィンター・ソルジャーはひそかにスミソニアン博物館を訪れ、自分がかつてキャプテン・アメリカの戦友だったバッキ―・バーンズであることを知り、物語は幕を閉じます。
あらすじ詳細解説① 前作から続くヒドラとの因縁
今作でも前作に続き、世界を操ろう暗躍する組織「ヒドラ」が登場します。
ヒドラの主要人物だったゾラ博士が、今作ではAIとして再登場し、ヒドラがまだ存在していたこと、そして実はS.H.E.I.L.Dに寄生虫のように寄生し、蝕んでいたことが明らかにされます。
ヒドラが計画していた「インサイト計画」は、「危険人物」とされる(実際にはヒドラの邪魔者)を先制攻撃して排除してしまおうという計画でした。
今作と続編『シビル・ウォー』のメガホンをとったアンソニー・ルッソとジョー・ルッソ兄弟が「『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』が政治サスペンスなら『シビル・ウォー』は心理サスペンス」と『シビル・ウォー』の公式パンフレット中のインタビューで語っているように、今作はヒーローものというメインに加えて、政治劇というサスペンス要素もふんだんに盛りこまれています。
権力が市民を監視するという問題は、例えばニクソン大統領のときの「ウォーターゲート事件」が代表的ですが、今作でも「危険人物を監視して先制攻撃するのは良いか」、「安全保障をどう守るべきなのか」といった政治的テーマが魅力の一つとなっています。
それゆえに、第二次世界大戦の時代を生きたキャプテン・アメリカ(スティーブ)の「人は自由であるべきだ」という正義感や信念がより重みのあるものとなっており、彼がなぜ「インサイト計画」に反対するのかが説得力を持って迫ってきます。
そして、ヒドラはスティーブの親友バッキ―を改造人間に洗脳していました。
スティーブ自身も、特殊治療で一般人とは違う能力を手に入れたゆえの責任や葛藤を感じていることから、バッキ―の境遇や改造したヒドラに対するさまざまな思いがありました。
そして、彼の思いがサムやナターシャを動かし、最後はバッキ―をも動かすことになります。
「人は自由であるべきだ」という信念と「友情を重んじる」、つまりは「誰や何のために戦うのか」といったキャプテン・アメリカの内面がより深まった一作となりました。
ちなみに、インサイト計画に必要な一部の技術を、アイアンマンであるトニー・スタークが提供したとニックは言っていましたが、政治的側面というよりは単に技術を提供しただけの可能性が高いです。
しかし、アイアンマンとしてさまざまな戦いを経験したトニー自身も、ヒーローや自身の立ち位置などに悩みや葛藤を持っており、それが次作『シビル・ウォー』でキャプテン・アメリカと対立していく原因ともなっていきます。
あらすじ詳細解説② 新たな友人、ヒーローのファルコン誕生
今作では新たなヒーローが生まれました。
それは同時に、スティーブの「現代」の新たな親友でもあるサム・ウィルソンこと、ファルコンの誕生です。
サムは元軍人で、かつてはアメリカ空軍の「落下傘部隊」という特殊部隊でウィング・パックを背負い戦闘に参加していました。
しかし、相棒を救えなかった後悔から退役した経緯があります。
スティーブと友情を育んでいた彼は、今作最大のピンチを迎えたスティーブの信念や正義感に共感し、ファルコンとして「インサイト計画」を阻止しようと手助けします。
今作以降、サムはスティーブのよき理解者となり、戦闘中のみならず、さまざまな場面でスティーブをフォローしたり、助言を与える立場となっていきます。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』まとめ
『キャプテン・アメリカ』シリーズは、キャプテン・アメリカの物語というだけでなく、MCU全体のストーリーでも重要な伏線となる、まさに中心的物語となっています。
シリーズを通して登場した「ヒドラ」の存在やその思想、攻撃性はアベンジャーズやS.H.E.I.L.Dの存在意義にも関わってくるものです。
また、ヒドラによって作られたウィンター・ソルジャーの存在、特に彼が戦後から現代まで行ってきた数々の暗殺や暗躍は、のちの『シビル・ウォー』でもアイアンマンとキャプテン・アメリカが戦わなければならない決定的な理由を生み出すことにもなるのです。
だからこそ、今作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は、まさにMCUの中心的ストーリーの一部を担っており、次作『シビル・ウォー』やそれ以降の『アベンジャーズ』シリーズへの重要な架け橋ともなっています。
ヒーローものに政治サスペンスを取り入れた重厚で大人な魅力にあふれている今作から『アベンジャーズ』シリーズをみることもおすすめです。
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