デジタル最盛期の昨今、CGで処理された映像が綺麗なのは当たり前。しかしフィルム時代の映画の映像美も実はすごいんです。そこで今回は映画の原点に立ち返り、往年のフィルム作品の中から映像美を感じられる5本を映像制作のプロに選んでいただきました!
- aukana編集部
CGに慣れ切った目に新鮮な、フィルム時代の美麗映像。インパクトある色使いや構図など、まるでアートを見ているような気持ちになる名作を映像のプロに厳選してもらいました!
水道橋駅、神保町駅から徒歩5分、クロマキー撮影スタジオを2つ完備。 年間1,000タイトル以上の映像コンテンツを作成しております。 豊富な経験と高い技術力をもつスタッフが、お客様の要望にお応えし、最適なご提案を行っております。 セミナー撮影からインターネット配信、社内研修ビデオや企業PR映像をご用命の方は弊社までよろしくお願いします。
『七人の侍』(1954年)
出典:amazonこの映画で特筆すべきは雨の表現です。驚くほど重量感に富んだ雨です。実はこれ、雨に墨汁を混ぜて撮っています。白黒映画だからこそできるギミックですよね。
他にも、当時としては珍しいマルチカム方式(複数台のカメラを使用する撮影手法)や、望遠レンズを多用しているのにパンフォーカス(画面すべてにピントがあっている撮影技法)であることなど、完璧主義の黒澤監督だけあって細部のリアリティと熱量は目を見張るものがあります。
ラストの壮絶な合戦シーンは真冬に撮っているそうです。役者は吐く息が白くならないように氷を舐めていたとか…。3時間半、まったく飽きない映画って他にあるでしょうか。私は他には知りません。
『気狂いピエロ』(1965年)
出典:amazon黒バックに赤と青の文字が少しずつ出てくるタイトルからすでに洒落ています。ゴダール映画の最高傑作として人気の高い作品です。内容は文学や絵画からの引用ばかりで少々難しいかもしれません。
分かったふりして何度も観ていた若かりし頃を思い出します。原色に彩られた映像美と、編集の自由さには自意識を揺さぶられました。音楽もファッションもすごく前衛的で、センスの塊のような映画です。
顔に塗った青ペンキ、赤と黄色のダイナマイト、爆発からの空と海。この歳で観たら理解できるのか? という話はさて置き、ラスト3分間、永遠に向けて突っ走る虚無的な疾走感。もう一度体験してみたいものです。
『2001年宇宙の旅』(1968年)
出典:amazon昭和43年。日本では三億円事件があった年です。この時代にCGなんて技術はもちろんありません。その前提でこの映画を観てください。息をのみます。オープニングタイトルの美しさは唯一無二です。
フォントは“Gill Sans”(高級ブランドのロゴなどに使用される芸術的なフォント)を使用しています。そのデザインの完璧さは、私の芸術的な指針となっています。
猿人が宙に投げた骨が宇宙船へと変わるカットつなぎは映像編集の醍醐味そのものです。映像制作者の目指すゴールがここにあるといっても過言ではありません。
ちなみにキューブリック監督は撮影にスーパーパナビジョンレンズ(なんと65mmフィルム※)を使用しています。百聞は一見に如かず。是非ご覧ください!
※一般的な映画は35mmフィルムです。
『暗殺の森』(1970年)
出典:amazon撮影監督はヴィットリオ・ストラーロです。アカデミー撮影賞を三度も受賞している名カメラマンです。彼の色彩感覚はとくに際立っていて、流れるようなカメラワークも特徴的です。
この映画の中で強く記憶に残っているのは、食堂でのダンスシーンと、雪林での暗殺シーンです。前者は窓から見える夜の街が極端に青く、室内の暖色系ライティングとの対比で美しい映像に仕上がっています。
一方、後者の色味は極力抑えられていて、服装も地味、空も薄曇りです。目に飛び込む色は女性の血に染まった真っ赤な顔のみ。鮮烈でした。ストーリーはうろ覚えなのですが、この二つのシーンはすぐに頭に浮かびます。
それだけ素晴らしい映像だった証拠ですね。
『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』(1986年)
出典:amazon原題は「三十七度二分、朝」。女性が一番妊娠しやすい体温だとか。これだけでどんな映画かだいたい想像がつきますね。
この映画の見どころは本気のラブシーンと(日本版はぼかしが入るので興ざめですが)、南フランスの海岸線や田舎町に映る風景美に尽きます。こんな素敵な場所、死ぬまでに一度は行ってみたいものです。
この映画のポスターが象徴するように、青と黄色のコントラストが甘美です。がしかし、内容は甘いだけではありません。最後は狂おしくて痛くて悲しい。鑑賞後の絶望的な疲労感を考えると、観るのに勇気が必要です。
まるでスプーンで目をえぐるかのような衝撃のラストは、あなたの目で確かめてみてください。ぜひ元気な時に。
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