劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』はハラハラの脱出劇！ 高層ビルを巡るサスペンスと迫り来る炎のスペクタクル

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』はどんな映画？

2001年公開の本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』は初期の名作として名高い1作です。『名探偵コナン』の主要素であるラブそしてミステリーに加え、パニック、アクション映画の要素が強く加わり、良質なエンタテインメントとして仕上がっています。

2棟の高層ビルが橋でつながるツインタワービルという大きな舞台で、スリルとサスペンスに満ちたスペクタクル・ストーリーが展開されます。コナンははたして真犯人を突きとめ、窮地に陥るツインタワービルから無事脱出できるのでしょうか？　手に汗握る作品です。

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劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』作品情報

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の制作スタッフとデータをご紹介します。

監督：こだま兼嗣
脚本：古内一成
原作：青山剛昌
音楽：大野克夫
撮影：野村隆
編集：岡田輝満
制作：トムス・エンタテインメント
公開：2001年4月21日
上映時間：100分

劇場版「名探偵コナン」シリーズも第5作目となり、シリーズとしての安定感が出てきた本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では、これまでストーリー進行の補助役的な存在だった少年探偵団が、終盤の重要な場面でメインとなって活躍します。アニメーションを見はじめた頃の低年齢層にも親しみが感じられる展開となったのではないでしょうか。

また、劇場版では初めて事件に黒の組織が絡むストーリーとなっています。本作を境に、劇場版においての重要な存在が登場してメインストーリーを進行させるという展開が次第に増えていきます。

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ ※一部ネタバレあり

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ①：気になる灰原の動き

キャンプのために西多摩市を訪れた阿笠博士と少年探偵団一行。もちろん、コナンや灰原も一緒です。西多摩市には2棟が隣り合って建つツインタワービルが建設されていました。探偵団の面々はキャンプの帰りにビルを見に行こうと言い出します。

オートキャンプ場は盛況で、コナンや探偵団もキャンプを楽しみます。その夜、トイレに起き出した元太は、灰原が誰かに電話をかけているのを見かけます。しかし翌日、そのことを訊ねてみても灰原は「電話などかけていない」と言います。

★　灰原哀の本心とは…　★

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ②：ツインタワービル建設を巡る人物たち

キャンプの帰りがけにコナンたち一行はツインタワービルを見ようと阿笠博士の車で乗りつけます。ちょうどそのとき、蘭が小五郎、園子と一緒にビルの玄関にいるのに遭遇しました。ツインタワービルのオーナーである常磐美緒は小五郎の大学の後輩とのことで、内覧に招待されていたのでした。

常磐美緒の秘書・沢口ちなみと専務でコンピュータプログラマーの原佳明の案内でツインタワービル内部を見てまわるコナン一行。A塔75階のパーティ会場でオーナーの常磐がコナンらを迎え、関係者を紹介しました。自身の絵画の師匠である日本画家・如月峰水、市議会議員・大木岩松、ツインタワービルの設計者・風間英彦の3人です。

ツインタワービルからは富士山が一望でき、その眺望に沸く少年探偵団。そこで「黒いポルシェ356Aを見かけた」というツインタワービルの社員らの会話を聞き、コナンは慌てて展望エレベーターで1階まで降りますが、ポルシェ356Aは目前で走り去ってしまいます。「黒いポルシェ356A」は黒の組織のジンが乗る車。彼らは何を目論んでいるのでしょうか。

★　「黒の組織」のメンバーとは？　★

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ③：連続殺人事件が発生

その夜、ツインタワービル最上階にあるホテルのスイートルームに宿泊した大木が何者かに殺害されました。遺体の横には飲み口を伏せたかたちで真っ二つに割られた猪口が1つ置き去られていました。

コナンと少年探偵団一行は独自に事件の捜査を開始。風間の設計事務所や如月宅を訪れて聞き込みをした後、原のマンションに向かいます。原の部屋のドアは無防備にも開いていて、覗いてみると原が血を流して倒れていました。遺体のそばには割られた猪口があります。大木殺害の犯人と同じ人物に殺害されたのでしょうか。

警察はこれを連続殺人事件として、近々、予定されているツインタワービルオープン記念パーティを中止するよう要請しましたが、予定通りパーティは開催されます。小五郎、蘭、園子、阿笠博士、コナンと灰原を含む少年探偵団らはパーティに出席することになりました。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ④：灰原の電話の相手は…？

しかしパーティの前夜、灰原はやはり深夜に電話をかけていました。電話の相手は今は亡き姉・宮野明美。明美が生前借りていて、家賃が前払いされているため現在も保存されているアパートらしき部屋に留守番録音機能付きの電話が設置されています。

留守番電話に録音されたメッセージを聞き、自分もメッセージを吹き込むという短い会話をするために灰原は電話をかけていたのでした。姉を亡くした寂しさを紛らわせるためです。

この日は「ツインタワービルのパーティに行く」という内容を話しました。すぐに録音は消去しましたが、アパートに乗り込んでいたジンとウォッカがこれを聞いていたのです。

テレビシリーズの灰原哀初登場は第129話「黒の組織から来た女　大学教授殺人事件」

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ⑤：ツインタワービル完成パーティとオーナーの悲劇

ツインタワービルのオープン記念パーティは開かれ、レクリエーションで行われたゲームで偶然にも好成績を収めた小五郎は、会場に展示された賞品の高級外車、フォード・マスタング・コンバーチブルを獲得。

しかし喜びもつかの間、パーティの最中に美緒が殺害されてしまいます。現場には猪口が置き去られていました。これも連続殺人事件のひとつなのでしょうか。

そして、直後に爆発が起きます。爆発が起きたのは地下4階の電気室、そして40階のコンピュータ室。40階からは火災が発生しています。電気室が爆破されたため、ツインタワービルA塔の照明がすべて落ちてしまいました。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ⑥：窮地からの脱出、そしてまた窮地

電源が爆破されてしまったためエレベーターも動きませんが、VIP専用エレベーターだけは電源が別のため、動かすことができます。女性と子どもはエレベーターで、それ以外は階段で地上階に避難することになりました。

しかし、途中の階で赤ん坊を抱いた女性がエレベーターを待っていて、定員オーバーを避けるため少年探偵団は65階で降りてしまいます。そこからB塔への連絡橋がある60階まで階段を降りますが、渡ろうとした目前で連絡橋が爆破されてしまいました。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ⑦：蘭とコナン、決死のダイブ

一方、エレベーターが満員だったため、階段で移動していた蘭とコナンはちょうど45階の連絡橋を渡ろうとしたところで爆発が起き、こちらの連絡橋も落ちてしまいます。ほかの客らは無事にB塔に渡れたものの、2人はA塔に取り残されてしまいました。

背後には煙と炎が迫ってきています。蘭は消防用ホースで自身とコナンをくくりつけました。地上から遙か高い場所から、ホースを命綱代わりにくくりつけたとは言え、飛び降りようというのです。怖くないはずがありません。それでも蘭はコナンを抱え、意を決してビルから飛び出します。振り子のように何度か振れながら下階のガラス窓を破り、何とか下階に降り立ちます。

そうして一度は蘭とともに地上まで避難しましたが、そこに少年探偵団と事件の犯人と目した人物がいないことに気づき、コナンはB塔のエレベーターを使って60階まで昇り、ターボエンジン付きスケートボードで大ジャンプ！　A塔へと渡り、少年探偵団らと合流します。

★　毛利蘭はモテ女？　その秘密とは…　★

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』あらすじ⑧：犯人とともに車でジャンプ！

ヘリコプターで救助して貰おうと屋上のヘリポートへ向かう途中に潜んでいた犯人と対峙し、真相を明らかにしたコナンは、薬物で生命を絶とうとした犯人を麻酔銃で眠らせます。

一方、救助ヘリを目前にしながら屋上のヘリポートは爆破された上に大炎上し、少年探偵団は生命からがら75階まで戻ってきました。2本ある連絡橋は2本とも大破、VIP用エレベーターも炎上して使えなくなっています。その上、コナンらが現在いる75階のパーティ会場にはいくつもの時限爆弾が仕掛けられていました。爆発まで4分と少し。

パーティ会場には小五郎が獲得したフォード・マスタング・コンバーチブルがありました。それに乗って飛び出したとしても、B塔には飛び移れないでしょう。しかし、ある条件をそろえれば……難しい計算式から導き出した答えと少年探偵団たちの決意と友情により、コナンたちの天国へのカウントダウンがはじまります。

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の登場人物

ここでは『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』に登場する主なキャラクターについて、簡単に解説します。劇場版という長尺のストーリーのため大勢登場しますが、本項をお読みの上、情報を整理して頂ければと思います。

メインキャラクター

原作から登場している、メインストーリーに関わる中心人物たちです。劇場版でももちろんストーリーの主たる部分に関わります。

江戸川コナン

『名探偵コナン』の主人公です。高校生探偵・工藤新一が黒の組織が開発した薬で身体が幼児化してしまった姿。もとの姿に戻る方法を探しながら「江戸川コナン」と名乗って小学生として生活しています。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では、少年探偵団たちとともに見物に行ったツインタワービルで事件に遭遇し、さらに思わぬアクシデントに遭い、決死のアクションを見せます。劇場版ならではのアクションと活躍が本作の見どころのひとつです。

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毛利蘭

工藤新一の幼なじみで、コナンが居候する毛利小五郎宅のひとり娘です。コナンの保護者であり、コナンが誰より守りたい相手でもあります。女子らしい弱さと気丈さを合わせ持つ蘭は、劇場版では毎作一際強い部分を見せますが、本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』ではその気丈さをもって、コナンとともに窮地を脱するために、大の男でも躊躇してしまうだろう大決断を見せます。

★　蘭が新一と正式に…することになる「神回」は？　★

毛利小五郎

通称「眠りの小五郎」。名探偵として世間には知られていますが、実はコナンに麻酔銃で眠らされている間に、小五郎を装うコナンが推理を披露し、事件を解決に導いているのです。眠らずに推理することもありますが、そのときもコナンのヒントや誘導によって真実にたどりつくのです。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では学生時代の後輩である常磐美緒の招待で、蘭や園子を連れて美緒が社長を務める「TOKIWA」がオーナーとなるツインタワービルの内覧に出掛け、オープン記念パーティにも出席します。そこでレクリエーションに参加して豪華な賞品をもらうのですが、それこそが本作終盤のキーアイテムとなります。

阿笠博士

工藤家の隣家に住む発明家。新一を幼い頃から知っています。身体が小さくなってしまった新一＝コナンの能力を補うためにさまざまな道具を開発。本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』で活躍するターボエンジン付きスケートボードやキック力増強シューズなども阿笠博士の発明品です。

★　天才!?　阿笠博士の発明品とは…？　★

灰原哀

コナンと同学年の少女ですが、もとは黒の組織で毒薬を開発していた科学者で、コードネームはシェリー。

黒の組織の一員だった姉の宮野明美が使い捨て同様の扱いを受けて亡くなったことで組織に反発しましたが、逆に拘束されてしまいます。自殺するつもりで自ら開発した毒薬を飲んだところ、工藤新一同様に身体が縮んでしまいました。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では深夜に人目を忍んで何者かに電話をかけるという不審な行動を取りますが、まだ黒の組織とのつながりがあるのでしょうか。

また、ストーリー終盤では科学者ならではの見識を披露。コナンと2人で難しい話をして、少年探偵団はちょっぴり置いてきぼりになってしまいます。

★　ツンデレ少女・灰原哀は実は…　★

小嶋元太／円谷光彦／吉田歩美

コナンと灰原の同級生たち。大柄でおにぎり頭の元太、ちょっぴり大人びた秀才肌の光彦、純真な女の子の歩美の3人は、コナンや灰原を仲間に「少年探偵団」を名乗っています。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では阿笠博士の引率でコナン・灰原とともにキャンプに出掛け、その帰路でツインタワービルを見物します。そこで運よく小五郎と出会ったことでツインタワービルオープン記念パーティにも出席することになるのですが、それが探偵団にとっての運命の分かれ目でした。

パーティに参加したことで大惨事に巻き込まれ、大脱出劇を演じることになるのですが、ここで見せる彼らの冒険心と諦めない心が、本作の一番の見どころと言って過言ではないのではないでしょうか。

鈴木園子

蘭の同級生にして幼なじみで親友。鈴木財閥の令嬢ですが、気取ったところがない現代っ子の少女です。本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では蘭と一緒に小五郎についてツインタワービルを訪れます。

ビル内覧の際のあることをきっかけに髪型を変えるのですが、それが原因で黒の組織に狙われることに。間一髪で園子を救うコナンのとっさの機転にも注目です。

★　園子と恋人が活躍する映画は？　★

ツインタワービル関係者

西多摩市に新しく建設されたTOKIWAツインタワービルにはTOKIWA社員だけでなく、ほかにも関わる人物がいます。ここでは主な関係者について紹介しましょう。

常磐美緒

ツインタワービルのオーナー会社である「TOKIWA」の社長で常磐財閥令嬢。小五郎の大学時代の後輩で、その縁から小五郎をツインタワービルの内覧に特別招待しました。如月峰水を日本画の師匠に持ちますが、如月の絵画を買い集めて高値で売りさばいたことが発覚して以来、師匠との間柄は険悪なままです。

沢口ちなみ

「TOKIWA」社長秘書。小五郎らと合流したコナンたちを出迎えてツインタワービル内を案内した女性です。

見目よく落ち着い女性ですが、専務の原からは猪年生まれで猪突猛進とからかわれます。ツインタワービルオープン記念パーティでは、如月が描いた日本画のディスプレイ操作をしていました。

先に他界した父親が汚職事件を暴く事件記者で、さらに連続殺人事件の犯行現場に猪口が残されていたことを理由に、小五郎に容疑をかけられます。

父の不正を許さない性格を受け継ぎ、猪年で苗字に「口」がつくからという推理ですが、小五郎の推理ははたして合っているでしょうか？

原佳明

「TOKIWA」専務取締役兼プログラマー。ツインタワービルに設置される最新ゲームのプログラムを担当している、眼鏡をかけた穏やかな風貌の男性です。

甘いものが好きでチョコレートを持ち歩いていて、食べているところを少年探偵団に見つかり、分けてあげる場面もありました。

優れたゲームを生み出す優秀な人物ですが、子どもっぽい面もあり、少年探偵団の面々とは気が合う様子です。

少年探偵団に自宅に来てゲームの感想を聞かせてくれるよう頼んでいましたが、彼らが訪れたとき、原の自宅はドアが開け放された不用心な状態でした。

大木岩松

西多摩市市議会議員。市長よりも強い権力を持ち、「TOKIWA」社長の美緒と専務の原から賄賂を贈られて、ツインタワービル建設の際は障害となる西多摩市の条例を無理やりに改正させました。

条例改正のおかげでツインタワービル設計の仕事が得られたと建築家の風間は頭を下げ、美緒も多少の無理は聞かなければならない立場にあります。

そのため、大木がオープン前のツインタワービル最上階のスイートルームに泊まらせろと強引な要求をしても、美緒は断れませんでした。

風間英彦

建築家。ツインタワービルの設計を手がけました。劇場版第1作『時計じかけの摩天楼』に登場した森谷帝二の弟子といういわくつきの人物です。

小五郎に対して自ら森谷の弟子と名乗り、「私は森谷のようにこのビルを爆破したりはしません」と言いましたが、はたして…？

如月峰水

富士山の絵で有名な日本画の巨匠。常磐美緒の師匠でもあります。しかし、自分の作品を美緒が高値で売りさばいていることをよく思っておらず、美緒との関係はよくありません。

何年も富士山の絵を描き続けており、3年前に富士山が一望できる丘を丸ごと購入して家を建て、アトリエを構えました。

老齢のため杖をついて歩きますが老人扱いされることを嫌い、ツインタワービル内で事故が発生したときに優先してエレベーターに乗せられるのを断って、地上75階から階段で地上階まで避難しようとします。

しかし、ビル内にいた者たちがビルを脱出した後も如月の姿は見えず…一度は地上に降りながら再びビルに飛び込んだコナンが捜索します。

警視庁の刑事たち

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の舞台は東京都西多摩市。事件が起きればそれは警視庁の管轄です。コナンらにはなじみの警察官が登場します。『名探偵コナン』ファンにも既におなじみの人物たちですが、簡単にご紹介しておきましょう。

目暮十三

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属の警部。でっぷりとした体型に口ひげ、茶色いコートにソフト帽、口ひげの中年男性という、いかにも「推理ものによく出てくる警部」といった風貌の人物です。毛利小五郎の元上司に当たります。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では市会議員の大木が殺害された事件で現場に現れます。

その後、ツインタワービルに関わる人物が次々に殺害される連続事件となったことで常磐美緒にオープン記念パーティの中止を勧告しましたが、聞き入れられませんでした。

テレビアニメで目暮警部が主人公の回は第217、218話「封印された目暮の秘密 （前編）（後編）」

高木渉

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係の刑事。階級は巡査部長。目暮の部下として現場に現れ、捜査に加わります。レギュラーキャラクターですが、本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では特にこれといった活躍はありません。

高木刑事が主役!?　テレビアニメ「本庁の刑事恋物語」をおさらい！

白鳥任三郎

警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係所属のキャリア組警部。劇場版第1作『時計じかけの摩天楼』が初登場の白鳥警部も出演を重ね、本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』までのすべての劇場版『名探偵コナン』に登場しています。

本作ではツインタワービルの事故の際、地上60階にいるコナンらを裸眼で視認するほどの視力のよさが明らかになりました。

また、前作まで白鳥を演じていた声優・塩沢兼人が亡くなったため、前作で犯人役だった井上和彦が役を引き継いでいます。

白鳥任三郎がテレビアニメ初登場は第146話「本庁の刑事恋物語（前編）」

千葉和伸

警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係所属の巡査部長。本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では高木同様に目暮の部下として登場し、捜査協力のため警視庁を訪れた小五郎らも出席する捜査会議で資料を読み上げるなど進行役をしました。

本作ではずいぶんスリムでしたが、この後、千葉は次第にぽっちゃり体型になっていき、劇場版第13作『漆黒の追跡者』では痩せたと言われて「ダイエットしているから」とうれしそうにしています。

黒の組織

工藤新一が江戸川コナンとなる元凶となった国際犯罪組織です。目的は定かではないものの、その規模は政界や経済界に大きく影響するほど。構成員が常に黒ずくめの格好をしているため、「黒ずくめの組織」、「黒の組織」と呼ばれています。

劇場版ではオープニングの新一がコナンになった経緯を紹介する部分には毎回登場していましたが、映画のストーリーに絡んで登場するのは本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』が初めてです。

★　「黒の組織」のボスって…？　★

ジン

黒の組織の幹部で実行部隊のリーダー。工藤新一に毒薬APTX4869を飲ませた当人です。目つきも実態も冷酷な、長身長髪の男性です。季節を問わず黒いロングコートを着込み、黒いポルシェ356Aを愛車としています。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では組織の一員であったツインタワービルに関係するある人物を殺害し、ツインタワービル内のある施設を爆破するためにビルの各所に爆弾を仕掛ける指示を出しました。

また、オープン記念パーティにシェリーが出席する情報を得て、自らライフルを持ち狙撃しようとします。

ウォッカ

黒の組織の幹部で、がっしりした体格と顎を持った男性です。概ね常にジンと行動をともにしていて彼を「兄貴」と呼び、手足となって動きます。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』でもジンの指示に従い、一緒にかつて組織にいた者の住居に押し入ったり、ジンの愛車ポルシェ356Aのハンドルを握って彼を運んだりしています。

ジン＆ウォッカが工藤新一に襲いかかるテレビアニメ第1話をおさらい！

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』はここが見どころ！ ※一部ネタバレあり

スリルとサスペンスに満ちた本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』には見どころが多数あります。ここではその中から6つの見どころをご紹介します。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ①：オープニングの秘密道具とあらすじ紹介は阿笠博士

劇場版『名探偵コナン』では毎回オープニングで、新一がコナンになった経緯やコナンの周辺の人物、コナンが使う阿笠博士の発明品などの紹介が行われます。

「俺は高校生探偵・工藤新一」からはじまるオープニングナレーションの語り手はもちろん、いつもコナンだったのですが、本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』では途中から語り手が交替します。

コナンになった経緯が終わってからは阿笠博士が「わしが天才発明家の阿笠博士（あがさ・ひろし）じゃ」と名乗りを上げ、腕時計型麻酔銃やターボエンジン付きスケートボードなどの発明品の紹介の後、コナンの正体を知る者たちの紹介に移っています。

灰原もコナンの正体を知る1人ですが、彼女の紹介の際には名のみながら本作に登場する宮野明美についてもふれています。

このように、劇場版ではその作品のストーリーに関わる道具や人物を特にピックアップしてオープニングで紹介するという、内容がわかりやすくなる工夫がされています。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ②：犯人追跡メガネに赤外線望遠鏡機能がついた！

阿笠博士の発明品の補助で活躍するコナン。常にかけているメガネも阿笠博士の発明品です。犯人追跡メガネはシール付き発信器とセットで使うと、左側のレンズに半径20キロメートル以内の発信機の位置がレーダー表示されるようになっています。

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』ではさらに右側のレンズに赤外線望遠鏡機能が追加され、冒頭の発明品紹介のくだりで阿笠博士自らがそのことを観客に説明しています。

赤外線望遠鏡機能によってコナンは、事故が起きたツインタワービルから避難するために展望エレベーターに乗っているときに、日が落ちた夜景の中から彼方のビルの屋上から狙撃しようと銃を構えるジンを発見しました。メガネサイズながら大変な高機能です。この機能は後に原作にも登場しました。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ③：殺害現場は赤くない

『名探偵コナン』は人が死んでばかりで子どもが見るには不適切であると、言われていたことがあります。しかし、実際には『名探偵コナン』は殺人事件ばかりではなく、暗号解読や宝探しなども扱っていますし、殺人事件も現場の描き方に工夫がなされています。

その工夫は本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』でも見ることができます。本作では西多摩市の市会議員・大木やTOKIWA専務・原、ツインタワービルのオーナー美緒の3人が殺害されますが、美緒以外は現場に血痕が見られました。特に、大木殺害現場の血痕は推理の大きなヒントとなります。

この血痕の色に注目してください。血は赤いものであり赤く塗るのが当たり前のように思われていますが、本作では赤よりもずっと暗い、黒に近いくすんだ色が使用されています。

この演出のおかげで生々しさが半減し、どぎつくなく見られるようになっています。本作にとどまらず、『名探偵コナン』では他の劇場版やテレビシリーズでも同じ配慮がなされています。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ④：園子のウェービーヘア

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』には、「10年後の姿が見られる機械」が登場します。最新鋭の技術を投入して「TOKIWA」専務でプログラマーの原がつくったものです。

ヘルメット状の機械をかぶり、頭部をスキャンしてCG合成した画像がプリントアウトされるのですが、蘭や園子、少年探偵団たちはこの機械で10年後の姿を見ています。

それぞれの画像を気に入る者、不満げな者がいる中で園子も蘭と一緒に10年後を見てみますが、その肖像は元太いわく「いるいる、こんなおばさん」。園子自身も「イケてない」と感じたようで、少しがっかりした様子です。

階を移動してもその画像には納得いかないらしく髪をいじりながら「髪型が問題よね」とつぶやき、目の前を通りすがる灰原に目をやっていました。

園子の次の登場はツインタワービル完成パーティ当日のことです。いつもストレートの髪を後ろに流してカチューシャでとめている園子ですが、この日は何とウェーブをかけて前髪を下ろした姿で現れました。まるで別人です。

前髪を下ろしている園子を見られるのは滅多にない機会。新鮮な雰囲気の園子も魅力的ですから、お見逃しのないように。

しかし、このイメージチェンジのおかげで園子は危機に直面することになります。ウェービーヘアの園子は、灰原の髪型を参考にしたおかげで灰原のもとの姿、シェリーによく似ていたのです。

そのために狙撃されそうになり、コナンのとっさの機転でからくも危険を免れます。コナンの機転の利かせ方もユニークなので、こちらも要注目です。

★　園子の乙女心が見られる作品は？　★

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ⑤：車での脱出劇に使われた計算式

本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』最大の見せ場と言えばやはり、燃えさかるツインタワービルA塔75階に取り残されたコナン、灰原、少年探偵団らがマスタング・コンバーチブルなる高級車に乗って、隣の69階建てのB塔屋上プールへとダイブするシーンです。

エレベーターは燃え尽きて、階段は炎で塞がれ、B塔への連絡橋は2本とも爆破されてしまい、屋上のヘリポートも破壊されてしまいました。その上、何とか逃れてきた最上階75階のオープン記念パーティの会場には時限爆弾が仕掛けられていたのです。爆発まで残り4分という瀬戸際です。

万事休すか、と思われたときに目についたのが、パーティのレクリエーションで賞品として用意されたマスタング・コンバーチブルです。これに乗って猛スピードで飛び出せば、B塔へ飛び移れるかもしれない。そう閃いたときに「無理よ」と否定したのは灰原でした。

ツインタワービルのA塔とB塔の間は50メートル。飛び移るのであれば60メートルは飛ばなくてはなりません。そして、コナンらがいるA塔75階とB塔屋上との高低差は20メートル。

地球上の物体は宙に飛び出したら横向きに進むと同時に、一定の割合で速度を上げながら落下していきます。つまり、緩やかな放物線を描きながら落ちた末に着地することになるのです。

その落下速度と距離、またB塔へ飛び移るためにマスタングが出さなければならない速度を計算するために灰原が口にしたのが次の式です。

t＝√2s/g　… 20メートル落下するための時間を求める式

t＝時間(秒)
s＝落下距離(20m＝A塔とB塔の高低差)
g＝重力加速度 9.80665m/sec^2(定数)

この式から導き出されるのは2.02という数字。つまり、物体が20メートル落下するのに約2秒かかるのです。2秒間で20メートル落下してしまうので、その間に横方向には60メートル進まないとB塔にはたどりつけません。

2秒で60メートルということは、時速に換算すると108キロメートルの速さでマスタングはA塔を飛び出さなくてはならないということです。

パーティ会場の広さを考えると加速してもせいぜい時速50～60キロメートルだとコナンは目算します。しかし、後部トランクを開けて背後からの強い風を大きく受けるようにすると…そうです。コナンはパーティ会場にいくつも仕掛けられた爆弾が爆発する際の爆風を利用して加速し、B塔へと飛ぼうというのです。

そのためには爆発するその瞬間にA塔を飛び出さなくてはなりません。爆発まで正確なカウントダウンが必要です。まさしくこれは「天国へのカウントダウン」。はてさて、コナンたちの運命は…!?

この計算式は本作の監督であるこだま兼嗣が、機械の設計に携わっているという弟に聞いて導き出したものとのこと。「それっぽい」のではなく、現実の物理学に即したものなのです。時速108キロメートルで地上75階からマスタングに乗って空中に飛び出すコナンたちの行方をぜひご覧ください。

『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』の見どころ⑥：EDで流れる「always」はコナン映画主題歌で初のフルコーラス

『名探偵コナン』のテーマ曲を手がける機会が多い倉木麻衣。本作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』公開までにテレビシリーズではオープニング1曲、エンディング3曲を担当していましたが、劇場版での起用は「always」がはじめてです。

テレビシリーズのエンディング曲としても使用されていた「always」は、劇場版『名探偵コナン』の主題歌としてははじめてフルコーラスが流れた曲でもあります。

本作公開後に改めてテレビアニメ版『名探偵コナン』でもエンディング曲として起用されたので、自宅のテレビで『名探偵コナン』を見ていて『天国へのカウントダウン』を見たときの興奮がよみがえったという人もきっといたことでしょう。

倉木は本作以降もテレビシリーズ・劇場版ともに『名探偵コナン』の主題歌を担当する機会が多く、『名探偵コナン』という作品と縁が深いアーティストの1人です。2019年現在、劇場版『名探偵コナン』全23作のうち、倉木は最多となる4作の主題歌を担当しています。

★　倉木麻衣が2度目に主題歌を担当した作品とは　★
★　倉木麻衣が3度目に主題歌を担当した作品は？　★
★　倉木麻衣が4度目に主題歌を担当した作品をおさらい　★

劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』まとめ

2棟並んだ高層ビル、近未来的ハイテク機器、燃えさかる炎にアクションとワクワクする要素がたくさん詰まった『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』。何度も起きた爆発もワクワク要素のひとつと言っていいでしょう。

派手な爆発とアニメーションならではの無茶なアクションは痛快です。『名探偵コナン』のラブとミステリー、サスペンスに加えて、劇場版ならではのアクションとスペクタクルをお楽しみください。